混乱
騎士団長サーテインはノンケか否か。
結局、それを確認するチャンスすら無かった。
そんな状況のまま、謁見の間へ。
お忍びとは言えど、突然のデュノー皇女による訪問。
それでも国王は快く歓迎の挨拶を交わす。
国同士の難しい関係とかは詳しくないけど、国王の懐の深さは私でも解る。
ついでに、私も労いの言葉を頂けた。
うん、私はオマケ。
皇女の訪問に比べると、要らない子な状態…
しかし、この場で予測すらしていなかった事態が起こる。
「ご歓談の中、失礼致します。国王陛下、皇女殿下!」
声の主は騎士団長のサーテイン。
「うむ。構わぬ、申してくれ」
「サーテイン様、ご遠慮なさらないで?」
応じた2人に、彼が続ける内容。
それは…
「ハッ!大変に僭越ながら申し上げます。 このサーテイン、メアリ皇女殿下との婚姻を…所望する次第にございます」
へっ?何ですと?
婚姻を…所望するって言いました?
それって、まさかの?
これ、プロポーズしてるって事…だよね?
メアリ皇女からじゃなくて、サーテインから?
場内が一瞬にして、凍りついた様な静寂に包まれる。
「サーテイン…様! う、嬉しいッ!私、謹んでお受けさせて頂きますわ!」
静けさを破ったのは、ポロポロと涙を流すメアリの声。
「な、なんと…!?」
絶句する国王。
だけじゃなく、皆が言葉を失った。
サーテインの元に駆け寄り、その胸に飛び込むメアリ。
「私も、お慕いしておりました…サーテイン様!」
ハッ!その台詞!?
それ以上は言っちゃ駄目…全てがパーになってしまう!
てへぺろするデューレの顔が脳裏をよぎる。
しかし、感無量のメアリはそれ以上の言葉を続けられなかった。
セーフ!!
私は心から安堵した。
「こ、今宵は宴を…至急に宴を開催する! 城下の街にも知らせるのだ!」
国王の伝令に、その後は王都中が大騒ぎとなった。
宴の開催を来賓室で一人待つ私。
結局、何もしてないんだけど…ミッション完了。
勝手に全てが終わってしまった。
でも、腑に落ちない。
やっぱり、何かおかしい。
先ず、何故にサーテインから求婚をしてきたのか。
しかも、国王との会談中である。
幸いメアリとは相思相愛だったから良かったけど…
あれ、相思相愛…なの?
むむむ?
そして、メアリの国であるディノー皇国。
次期皇帝が勝手に決まった事になるけど、これ大丈夫なの?
皇女が単身で婚姻を決めて、現皇帝は平気なのだろうか?
いろいろとモヤモヤする。
上手く言えないけど、サーテインの陰謀的な?
私がそんな思いを巡らせる中、宴が開かれる時間となった。




