疑惑
王城に入ると、待合室に通される私とメアリ皇女。
兵士が騎士団長を呼びに行った様だ。
「セーラさん、ひとつ気になる事がありますの…」
皇女が私に尋ねてきた。
ピロートークなら知らないから勘弁して下さい…
「サーテイン様の女性関係はどうなのかしら…? 私以外にも、縁談や求婚を持ちかける方は沢山いらっしゃるでしょうし」
良かった。普通の話だった。
「あー、そ、そうですね。 私も詳しくはないけど、多いんじゃないですか?」
実際のところは私も知らないだけに、こんな事しか言えない。
「今、お付き合いされてらっしゃる方とか…いらっしゃるのかしら…」
成る程、そりゃ気になりますよね。
「多分だけど、居ないんじゃないですか? 修練を直接に受けていた私も、浮いた話を聞いた事は一度もないですよ?」
うん、これは事実。
凄くモテてたのは知ってるけど、誰かと付き合ってるとかは全く無さそうな感じだった。
その気になれば正妻以外にも、お妾さんを娶ってのハーレムだって作れそうなんだけど…
ハッ!?
そこまで考えると、私は最悪の事態があり得ると気が付いてしまった。
まさか…?
誰しもが憧れるイケメン騎士団長は…!
男が好きなのか!?
確かに思い当たる節もある…
そりゃもう楽しそうに、若い騎士見習いに稽古をつけていたのを見た事があるぞ。
城内のご婦人達には、案外素っ気ない態度だったり。
勿論、私にもそうだったし…
つまり、騎士団長サーテインはノンケではない!?
どうしよう…。これはヤバいですよ?
大変な事に気が付いてしまったかもしれない。
乱れに乱れたBL!
イケメン団長と若き騎士達の、めくるめく夜の営み!
うわー覗きたーい!
いやいやいや!落ち着けセーラ!
そうじゃなくて!
目の前で緊張を隠せないメアリ皇女に、何と言えば良いの?
いきなり一人で焦り始めた私。
だが、非情にもメアリに伝える暇も無く…!
「失礼する!…久しいな、セーラ殿。 皇国に於いての大魔獣討伐、噂は聞いている」
来ちゃったよ…サーテイン本人。
相変わらずクールな感じ。
「うん…どうもです…」
「して、そちらの見目麗しいご婦人…? もしや、ディノーの…皇女殿下!」
あれ?知り合い?
ってか、面識あったんだ…メアリの事。
「サーテイン様、ご機嫌麗しゅうございますわ! お会い出来て光栄ですの!」
スカートの裾を摘んで会釈するメアリ。
うわ…凄い。これをする人、初めて見た。
まさに深窓の令嬢、本物のお姫様だ…
「まさか、ディノーの皇女殿下がご一緒とは…。 ご無礼お許し下さい。 私如きを覚えていて下さり、至極光栄に存じます。 早速、国王陛下との会談を用意致しますので……」
固い言葉で偉い人トークが始まっちゃったよ。
もう、なるようにしかならないね。
今はサーテインが男色じゃない事を天に祈ろう…
つか、これさ…
はっきり言ってさぁ。
私、居なくて良かったんじゃないですかー!




