凱旋
「間違いありません…ドラゴンの牙でございます!」
持ち帰ったドラゴン討伐の証である牙。
鑑定士が注意深く観察した後、国王に向けてそう告げた。
謁見の間に集まる騎士達がざわめく。
「良くぞ任務を遂行してくれた!ここに新たなる戦乙女の誕生を宣言するッ!」
「この2年間、本当に頑張りましたね…!」
国王と王妃がそう口にすると、集合した騎士達の拍手喝采が巻き起こる。
「やったね!セーラっち!」
隣にいるデューレが親指を立てて私に白い歯を見せた。
国王直々の任命を受けて戦乙女になる事が出来た。
私、本当になれたんだ……。
ドラゴン討伐から約1カ月、王都に帰還を果たした。
街の人々は私を見るや、戦乙女様だと持て囃して迎えてくれた。
過酷な修練をしていた頃は、気が触れた第2王子の婚約者だと誰もが忌み嫌ってたくせに…。
「無事で何よりだ…新たなる戦乙女…!」
私の肩をポンと叩きながら声を掛けてくれたのは、騎士団長のサーテイン。
その姿を見るや、デューレが彼に手を振る。
「あ、サーテイン! 久しぶり〜!」
「この度はデューレ殿にも、ご無理なお願いを申し上げました。ご同行下さり感謝致します!」
デューレが同行してくれたのも、実はサーテインがお膳立てしてくれてたんだ。
また、見習いではなく本物の戦乙女によるドラゴン討伐が行われると噂を広め、道中での民衆によるサポートも行われる様にもしてくれたのも彼。
何だかんだ言って、本質的に優しい人なんだな…。
ま、その程度では惚れたりしませんけどね!
つか、ローラン以外の男性に惚れるつもり無いし!
その夜は戦乙女と弓術士の凱旋祝賀パーティーが行われた。
デューレは色々な人の所に行っては、恋愛沙汰の話を仕入れている様だ。
私はサーテインに討伐戦の詳しい報告と、水属性を得た事を伝えていた。
「ほう、水属性か……」
それだけで新たに得た属性の力については終わってしまう。
私の師匠でもあるんだし、もう少し褒めたりしてくれても良いのに…。
まぁ、こういうクールな感じが好きな女の子には堪らないんだろうなぁとは思う。私は違うけどね。
宴も終わろうとしていた頃、再びサーテインが私に声を掛ける。
「これから、次はどうするかお決まりか?」
うーん。
何をすれば良いのだろう?
ローランみたいに、諸国を巡っての旅とか?
そう言われてみれば確かに、何も考えていなかった。
「先ず、四聖人の一人である大賢者と邂逅するのが良いだろう…」
大賢者…!
確かに3人集まっている方が、これからの戦いに於いて間違いなく有利となる。
「大賢者は海の向こう、ディノー皇国にある学問都市に居を構えておられる」
学問都市…前に聞いた事がある。
確か、それは…。
「その都市には、我が国の第1王子も留学しておられるな…」
ローランのお兄さんが居る所だ…。
サーテインの呟きを聞いた時、次にやるべき事は自ずと決まった。




