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転生したおじさん、目立ちたくないけど傾聴スキルでモテまくる  作者: なごやかたろう
新人冒険者編

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第21話 元パーティとの再会

「……あ」


ギルドの入口を見たフィオナは、足を止めた。

見覚えのある三人が入ってくる。

以前、一緒にパーティを組んでいた冒険者たちだった。


「……」


向こうもフィオナに気づいた。


「お前……」


男の一人が眉をひそめる。


「まだ冒険者やってたのか?」


フィオナの胸が、きゅっと縮んだ。


「……はい」

「へえ」


別の男が笑う。


「よく続けられるな。あれだけ役に立たなかったのに」


その言葉を聞いた瞬間。

以前の記憶が蘇った。

――お前、何の役に立ってるんだ?

――戦えないなら邪魔だ。

――パーティには必要ない。

手が震える。

声が出ない。

まただ。

あのときと同じ。

頭の中が真っ白になる。


「……」


何か言わなければ。

そう思うのに、言葉が出てこない。


「まあ、一人なら誰にも迷惑かけなくて済むもんな」

「……」


フィオナは俯いた。

そのとき――。


「フィオナ?」


後ろから声がした。

振り返る。

アルベルトだった。

今日は別の依頼を終えて戻ってきたらしい。


「アルベルトさん……」


彼はフィオナの様子を見る。

そして、元パーティの三人を見る。


「……何かあったか?」

「いや、こいつがまだ冒険者やってるみたいでな」


男が笑う。


「ちょっと昔の話をしてただけだ」

「そうか」


アルベルトはそれ以上、何も言わなかった。

フィオナを見る。


「……フィオナ」

「はい」

「どうする?」

「……え?」

「帰るか?」


フィオナは目を見開いた。

助けてくれないの?

そう思った。


でも――。

アルベルトは続けた。


「それとも、話すか?」

「……」

「決めるのは、お前だ」


フィオナは息を吸った。

怖い。

今でも怖い。

だけど――。

昨日までの自分とは違う。

自分を見てくれる人がいる。

自分にもできることがあると教えてくれた人がいる。

そして。

自分自身も、少しずつ変わり始めている。

フィオナは顔を上げた。


「……私」


声が震える。

それでも。

今度は、最後まで言う。


「私、今も冒険者です」


三人が黙る。


「まだ弱いです」


フィオナは続ける。


「剣も上手くありません。魔法だって、強くありません」


それでも。


「でも……役立たずじゃありません」


男の一人が鼻で笑う。


「何を言って――」

「私にも、できることがあります」


フィオナは相手の目を見る。


「魔物を見つけたり」

「……」

「危険を見つけたり」

「……」

「仲間が危ない場所に行かないように、知らせたりできます」


言葉にするたび。

胸の奥にあった怖さが、少しずつ薄れていく。


「だから」


フィオナははっきりと言った。


「私は、これからも冒険者を続けます」

「……」

「誰に何を言われても」


一瞬、静まり返った。

元パーティの男たちは、つまらなそうに視線を逸らした。


「……好きにしろよ」


そう言って、三人はギルドの奥へ歩いていった。

フィオナは、その背中を見送った。

足の力が抜けそうになる。


「……はぁ」

「よく言えたな」


アルベルトの声がした。


「……怖かったです」

「だろうな」

「途中で、また何も言えなくなるかと思いました」

「でも、言えた」

「……はい」


アルベルトは頷いた。


「それで十分だ」


フィオナは少し笑う。


「アルベルトさんが助けてくれると思ってました」

「俺が?」

「はい」

「俺が口を挟んだら、お前が自分で言ったことにならないだろ」

「……」


フィオナはその言葉を聞いて、胸が熱くなった。


「だから、あえて何も言わなかったんですか?」

「ああ」

「……ずるいです」

「そうか?」

「はい」


フィオナは笑った。


「でも……ありがとうございます」

「礼を言われるようなことはしてないぞ」

「しました」

「そうか」


アルベルトは少し笑う。


「じゃあ、受け取っておく」


そのとき。


「フィオナ!」


ギルドの受付から声がした。

リゼだった。


「大丈夫?」

「はい!」


フィオナは笑顔で答える。


「もう大丈夫です!」


その声を聞いて、リゼも安心したように笑った。

フィオナは思う。

少し前まで。

自分は「役立たず」と言われたら、それをそのまま信じていた。

でも今は違う。

自分にはできることがある。

そして――。

それを信じてくれる人もいる。


「……私、もっと頑張れそうです」

「だから、無理はするなよ」

「はい」


フィオナは笑った。

今度の「はい」は。

以前よりずっと、自信のある声だった。

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