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【受賞】10円魔力の駄菓子ごはん~錬金術じゃなくてただの料理です~  作者: 富士とまと


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スライムの攻撃????

「あ、チョコがなくなってます。食べたんだ……」

 そうだよと返事をするようにスライムが体を揺らしました。

「あれ?元の大きさに戻った?それになんだか真ん中らへん、うっすらピンクになっているような?」

 なんか半透明の魚が飲み込んだ餌が見えてるみたいな状態なんでしょうか?消化したら、色も元に戻るでしょうか?

 ……別のスライムが現れました。

「どうしよう……」

 チィロールチョコあげれば大丈夫なら……、5回米粒魔石を取らせてもらって、米粒魔石一つでチョコを出して渡せば……4つ米粒魔石が手に入ることになります。

 でも、もしチョコが体に合わなければ……と、考えている間に、スライムはみょんっと飛び上がって、私の脛にぶつかり弾けました。

「えええっ、」

 驚いている間に、ミニスライムは集合して再びみょんっと私の脛に体当たりして弾けます。

「ま、まさか……魔石をくれるために?」

 それとも、攻撃されている……?

 イチゴチョコマンのスライムは、ほんのりピンクのお腹で幸せそうに揺れ続けています。

 ……あっちは攻撃してこないよ?

 と、戸惑っている間に、5回繰り返されたところでスライムの体当たり……自爆は終わりました。

 じぃーっと、見上げられている……ような気がします。目がないのでわかりませんが、無言の圧を感じます。

 こ、これは……。

 魔石をくれるためにというより、チョコを貰うために……だったのでしょうか?

 ポケットに入っていたバナナ味のチィロールチョコを取り出して、包みをほどいて地面に置くと、すぐにスライムがチョコの上に覆いかぶさりました。

「あ、こんどは黄色だ」

 予想通り、うっすらと中央あたりが黄色くなった肉まんが出来上がりました。

 かわいい。

 思わず可愛すぎてつんっと指先で突いたら弾けてしまいました。

「あー、ごめん、ごめんねっ」

 慌ててミニスライムを手で集めると、すぐにくっついた。

「ありゃ?」

 いつもの赤い魔石ではなく、中央がちょっぴり黄色い魔石が出てきました。

 米粒サイズなので、よく見ないと分かりません。気が付かなかっただけでもしかしたら他にもちょっと色が違う魔石とかあったのかな?

 魔石に気を取られている間に、二匹のスライムはどこかへ消えていました。

 とりあえず、スライムが出てきても脅威ではないということだけは分かりました。なので、安心して米粒魔石拾いをしたいと思います。

 森の中は、道に比べてたくさん落ちています。誰も拾わないからなのか、そもそもスライムが道に出ることが少ないからなのか。

「あ、またありました!」

 ほんの1時間ほどで、お茶碗半分くらいの米粒魔石を拾うことができました!いったいいくつあるのでしょう。

 しばらく食べるものに困りません。いえ、困りますけど。米粒魔石で出せるものだけでは困ります……。

 そうそう、干し肉を作るんでした。パンもありますし、干し肉とパンがあればちょっとは困らずに食べられるはずなのです。

 森を出ようとして道に向かって歩き……出そうとして、首をかしげます。

「あれ?道は、どっち?」


はい。安定の、リツさんどっか抜けてる。



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― 新着の感想 ―
[一言] 私も方向音痴なので、目印を決めて、そこが見える範囲で動くんですけど、街中みたいに目印を作れない場所ではよく迷いますからねえ。リツさんが森の中で迷うのは無理もない。
[気になる点] これが、妖怪すねかじり! (魔石を残すので違う)
[一言] 色んな意味でほっとくと危ない人だぁ…
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