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 ついてない人がいるらしい。


 ついてない人は、特に何をしたわけでもない。


 ただただ生きているだけである。


 それなのに、なんだか運がない。


 財布を落としたり、不良に絡まれたり。物を忘れたり。


 そういう人は、何が悪いのだろうか。他の人と比べてダメな点があるのだろうか。


 私は、そういう人を何人も見てきた。


 彼らは何も悪くはない。ただ、そういうものなんだと認識すればいいだけなのだから。


 私は、いつもの白いシャツに黒いパンツを着ていた。


 いつものコーデに加えて、チョッキを着る。


 髪の毛をオールバックにして、黒ぶちメガネをかける。


 両手はズボンのポケットにしまって、暗い夜道を歩いた。


 まばらに光っている街灯が、逆に夜の暗闇を強調しているように感じる。



 目の前の小道で、誰かが倒れていた。


 私は、倒れている人に近寄った。


 昔、倒れている若い人がいたので声をかけた。


 すると、「あ、大丈夫です」と返事が返ってきた。


 路上に寝そべりながら電話をしていたらしい。


 そんなことが頭をよぎったが、どうやらそんな感じでもないようだ。目の前に倒れていた人物は気を失っている。


 ジャンパーにサンダル、体の横には、中身の詰まったスーパーの袋が落ちていた。


 体を、起こして顔を確認すると、以前自分の店に来た人物であった。


「並木さん、大丈夫ですか」


 私は、声をかけたが、返事がなかった。体も揺すってはみたが、反応はなかった。


 


 私は、彼のことで意識を集中させていたが、ふと顔をあげて前を見てみると、誰かが立っていることに気がついた。


 細身で猫背。細い道に対して、正面を向かずに立っている。見るからに怪しい人物だ。


「あんた、ちょっと手を貸してくれないか」


 私は、大きな声で彼に呼びかける。しかし、反応はない。


 私は、並木さんを見た。依然としてぐったりとしており、意識が急に戻りそうな気配はなかった。


 このままでは、何も変わらないため、一つ行動をすることを決めた。 


 横たわっている並木さんの横を通り、細身の男へと私は向かう。


 アスファルトの上を歩くと、革靴がコツコツと音を鳴らした。


 男の正面まで来た。しかし、男は無反応である。


 私は、彼の方に手をかけようとした。


 しかし、さきほどまでの無反応とは打って変わって、ものすごい反応で私の手を払った。


 そして、彼は私の方を見る。首だけが動き、こっちを見ていた。

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