家
「お母さん、あとどれくらい?おなかすいた~」
「あとちょっとよ、2分ぐらい」
あの後私たちは家の中へと入り、リビングの椅子に腰を掛けていた。
ニオと、母親、父親がリビングにいる。
家族の温もりを感じられる。
リビングの中は、暖炉があって仄かに木の香ばしい匂いが漂っている。
だが暖かさが欠けている。
私の体は……。
「できたわよ」
そうニオの母親が言うと、トレーの上に4つのシチューを乗せ持ってきた。
「わーい!おいしそう!」
テーブルの上に置かれたのは、具沢山のシチュー。
ニンジン、ブロッコリー、ジャガイモ、アスパラ。
ホカホカと湯気も発している。
「いただきまーす!」
「ニオ、まだお母さんが席についていないだろう。行儀が悪いぞ」
「はいはーいごめんなさい」
(ニオは元気だな)
そんなことを考えていると母親が席に着いた。
それと同時に皆が口を開いた。
「いただきます」
「いただきます」
「いただきまーす!」
私もその流れに続いて口を開く。
「いただきます……」
手元のスプーンを手にして。
一口、シチューを口に流し込む。
ゴクッ
舌に広がったのは、無だった。
温かみも味も感じない。
皆が笑顔で微笑んでいる中、それを味わうことができない。
「どう?お口に合うかしら?」
ニオの母親は私へとそう問いかけた。
「とてもおいしいです、ありがとうございます」
「ならよかった」
そう返すことしか、私はできなかった。
まるで人間じゃなくなったみたいだ、なんで私がこんなことに。
「ごちそうさま」
父親が手を合わせそう、言った。
それに続いて母親も。
「ごちそうさま」
同じスプーンで食べていたはずだ、なのにこんなにも差が開いていたなんて。
私は手を早く動かしすぐにでも食べ終わろうとした。
だがそんな中ニオが口を開く。
「ごちそうさま!」
私はニオの方を向き思わず。
「え?」
そう口から出てしまう。
「ん?雪花ちゃんどうしたの?」
どうやら考え事をしすぎていたらしい。
気が付いたら全員食べ終わっていた。
「雪花ちゃんお腹いっぱいなの?私が食べてあげようか?」
「いや、いっぱいじゃないが………食べたいのか?」
「うん!」
食べる意味なんて、もう私にはない。
私は多分もうすでに死んでいる。
雪の中で起きてからというもの、おかしなことしか起きていない。
「雪花ちゃんありがとう!」
ニオは元気よく私にお礼をした。
そんな時、ニオの母親が私に向かってこう言った。
「雪花ちゃん……だったかしら?寝る場所用意したから、案内するわね」
「えー!雪花ちゃん私と一緒に寝るんじゃないの?」
「こらこら、雪花ちゃんに迷惑かけないの。じゃあこっちよ」
私は席を立ち母親についていく。
トントントン
階段を上り、二階へ上った。
二階の廊下には、三つの扉があった。
多分みんなの部屋だろう。
じゃあ私の部屋はどこだ?
そんな時ニオの母親が梯子を指さしてこう言う。
「この上の屋根裏部屋が雪花ちゃんの部屋よ」
「ありがとうございます、では」
私は梯子に手を掛け、上へと登る。
ガチャッ
屋根についている戸を押し上げ、部屋の中へと入った。
窓が一つある狭い部屋。
隅には布団が折りたたまれている。
私はそれを広げ。
「……寝てみるか」
そう呟き、眠りについた。




