仲直り
私は俯いたままのニオと一緒に家へと帰っていた。
歩いている間もニオはずっと黙ったまま。
繋いでいる手は力が入ったままだ。
「ニオ、もうちょっとで家に着く」
そう言うとニオは、こくりとうなずいた。
ザクッザクッザクッ
静寂の中で、足音だけが聞こえる。
それはまるでニオの心を表しているようだった。
そんな中、ニオが小さく呟いた。
「……お母さん、怒ってないかな?」
泣き出しそうな声でニオはそう言った。
「大丈夫ってさっき言っただろ、話せば絶対わかる」
「本当かなぁ」
そんな会話をしていると、すぐその瞬間は来た。
コンコンコン
私は戸をノックした。
バンッ
勢いよく戸が開き、ニオの母親が飛び出してきた。
「ニオ!ごめんね、怒鳴ったりして」
全力で謝る母親、その目には涙が浮かんでいた。
「い、いや……ママ」
ニオはそんな母親を見て、急いで返答を返そうとした。
だがそれを押し殺すように、母親は続ける。
「1日経っても帰って来なかった時は、もう帰って来ないと思ったよ」
「私があの日、送り出したから、私のせいで」
ニオの母親は、ただひたすらニオに抱き着き感情を爆発させる。
だがニオの母親から聞こえた言葉を聞いて、私は思わず口を挟んだ。
「いいや、違いますよお母さん」
「……え?」
「謝るのも大事だけど、今はニオが帰ってきたことを祝うべきだ」
その言葉を聞いた母親は、下を向いた。
「そう……よね……」
そう言い母親は再びニオを強く抱きしめた。
「ニオ、帰ってきてくれてありがとう」
「う、うん!ただいま」
ニオも母親を強く抱きしめる。
さっきまでが嘘だったように場には静寂が漂った。
私はその様子を見て、少し肩の力が抜けた。
少しの静寂が過ぎ去った後、最初に口を開いたのはニオだった。
「お母さんの料理食べたいから、家に入ろう!」
「そうね、ニオの好物のシチュー作ってあげるよ」
「やったー!楽しみ!」
そう言って二人は家の中へと入ろうとした。
私の事を完全に忘れているようだ。
「あ!そうだお母さん」
「ん?どうしたのニオ」
「この子森で迷っちゃったらしくて、でこの家に泊めていいかな?」
ニオのお願いに母親はこう返す。
「いいわよ、ちょうど部屋が余っているから」
「やったー!雪泊まっていいって!」
忘れられていなくて私は安堵の息をついた。
「ありがとうございます、少しの間お世話になります」
「いえいえ、あなたはニオを助けてくれたんです、ですからこちらもお返しをしなくては」
母親がそう言うと、ニオが急に走り出す。
「寒いから早く中入ろう!」
そう言ってニオは家の中へと入って行った。
「ただいま!」
そんなニオに続くように私も。
「ただいま」
家の中へと入った。
それに対しニオの母親は。
「おかえり」
そう静かに返すのだった。




