ニオの心
「四日………?」
ニオの母親が口にした言葉に、私は固まった。
あのニオという少女、いったい何者なんだ?
そう思った次の瞬間。
バンッ
「ママなんてもう知らない!」
戸を全力でこじ開け、ニオは全速力で駆け出す。
「あ……?」
そんな一瞬の出来事に私は唖然とした。
「あの子……私は心配していただけなのに」
そう言いニオの母親は涙を浮かべる。
「私は怒鳴りつけたばっかりに……」
後悔を浮かべ、ニオの母親はひたすらに自分を攻め立てた。
私はもう見ていられないと思い、ニオの母親へと言った。
「あの子は私が連れ戻します、だから安心して待っててください」
そう言うとニオの母親は、私の目を見つめ。
「あの子のお友達?頼んでしまっては申し訳ないわ、だからギルドに連絡を……」
「い、いや大丈夫です、ニオもきっと大事にはしたくないだろうし」
「そう……?」
「ですから、私に任せてください」
私は何とかニオの母親を説得し、ニオを追いかけ始める。
「頼みました」
そんなニオの母親の言葉を背にしながら。
ザクッザクッザクッ
ニオが向かった方角的に多分村の中央の方だ。
時間はまだあまり経っていない。
だからまだ近くにいるはず。
全力で駆け抜けていると、見たことある背中が一つある。
多分あれがニオだ。
狙いをつけさらに速度を上げた。
そうすると段々と、ニオとの距離が狭まる。
年の差を考えれば、当然のことだった。
「ニオ!お母さんが心配しているぞ」
私はニオに向かいそう声を掛ける。
だが。
「うるさい!私の事情も知らないくせに!」
事情……?
引っかかることはあったが、私は遂にニオに追いついた。
「ちょっとやめてよ!」
ニオはまだ少し怒っているようだ。
体をバタバタさせ全力で抵抗する。
「ニオ落ち着け、お母さんも心配しているんだ」
「でもママ怒鳴りつけてくるもん!」
「大丈夫だ、話せばきっとわかってくれる」
「でも……」
ニオは逃げ場をなくしたせいか、すぐ静かになった。
だが次の瞬間にその状況は変わった。
「でも……でも!」
「ニオのお母さんは、優しいんだ、だから」
「でも、ひぐっ」
ニオの目には涙が浮かんでいた。
事情は知らないが、四日間森から命からがら帰ってきたなら。
まず心配してほしかったのが本心だろう。
だが心配より先に怒りが来てしまったのが。
どうも納得いかなかったようだ。
「ニオ戻ろう、私も一緒に行くから」
私はニオの頭をなで、そう言った。
「だめ!雪花ちゃんには迷惑かけたくないよ」
「もう掛けてるだろ、迷惑なんて思ってないが」
「でも」
「でもじゃない、安心してくれ私はお前の味方だ」
「ありがとう……」
ニオは少し納得はしていなかったが。
なんとか説得に成功する。
大事にならなくて私は少しほっとした。
「さあ、戻ろうニオ」
「うん……」
私はニオの手を取り、家へ向うのだった。




