仕事
「……ん」
昨日私は寝ることができた。
いままでで一番うれしいことかもしれない。
どこまで生きていてどこまで死んでいるかはわからない。
だが、夢を見れたこの感覚は少し心が救われた気がした。
横を見てみると、カーテンから光が漏れ出していた。
「眩しい」
カーテンを開けると、目を瞑ってしまうほどの光が流れ込む。
目に焼き付くような感覚、初めてではない気がする。
だが、なぜだか元気を貰った。
「そろそろ降りるか」
私は少し伸び、下の階へと向かうことにする。
梯子を下り、2階へと降りるとそこにはニオがいた。
「あ……雪花ちゃん……おはよ」
目を擦りながらふらふらと壁の方へと向かっている。
そんな姿を見て私は少し心配してしまった。
「ニオ、そっちは壁だぞ」
「え、壁!?」
ゴツンッ
「え?」
私は指摘をした、したはずだったがニオは止まることができなかったらしい。
「ニオ、大丈夫か?」
「う、うん大丈夫……」
ニオの額は赤くなっていた。
朝から大変だな、ニオは。
「雪花ちゃん、じゃあ降りよう」
深呼吸したニオがそう私に言った。
「わかった、降りよう」
私はそれに返事をして二人で階段を下りた。
1階へ降りると、椅子に座って新聞を読んでいるニオの父親。
そしてキッチンで料理をしているニオの母親がいた。
ニオは1階に着くや否や、椅子へと勢いよく腰を掛けた。
「ママ!今日の朝ごはん何?」
「今日はワッフルよ」
「ワッフル!やったー!」
椅子に座りながら手を上げニオは喜ぶ。
私はワッフルという食べ物を初めて耳にする。
というかもうすでに知っているのかもしれない。
「できたわよ」
テーブルの上に置かれたのは、アミアミ状の物。
ふわりとした甘い匂いが漂う。
「いただきます!」
ニオは手を合わせご飯にがっつく。
私もそれに続き。
「いただきます」
そう一言、言いそのワッフルと言うものを口に運んだ。
ふわふわした食感が口の中に広がる。
だがやはり、その味を感じることができない。
「雪花ちゃん、どうしたのそんな暗い顔して。こんなにおいしいんだよ?」
「そんなに暗い顔してたか?」
「ならいいんだけど」
自分の顔が全く想像がつかない。
でも私は目覚めてから一度も笑っていない。
そんな時一度たりとも動かなかった父親が口を開いた。
「そういえば君はこの家無償で泊めてもらう気か?」
「ちょっとあなた、少しの間はいいでしょう?この子はニオの恩人なんだから」
「いいやだめだ、うちにそんな余裕はない」
ニオの父親の言葉は厳しいが、正しい。
「分かった、この村で働く、それでいいか?」
「ああ、それでいい。働く場所は知っているのか?」
「ちょっと、雪花ちゃんはまだ子供だよ、働くなんて……」
ニオが不意に口を開いた。
私のことを心配してくれているんだと思う。
だが私はこう返事を返す。
「大丈夫だニオ、元はと言えば私のわがままだ。だから働かせてくれ」
ニオは少し納得がいかない顔をしていたが、一旦引き下がる。
「そうしてお父さん、私は働く場所を知らない、だから教えてくれないか?」
そう質問をすると、ニオの父親は一枚の紙を静かに差し出してくる。
その紙には、ギルドと言う物の案内が書かれていた。
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「行ってみるといい」
そう言い再び父親は新聞に目を通した。
「ありがとうございます」
そう感謝をし、私はテーブルの上のその紙を手に取った。
「行くか」
椅子を立ち、私はそのギルドと言う場所へと向かうことにした。




