初めての嘘
私はどこへ向かうかもわからず、少女と雪道を歩いていた。
正直よろしく頼むといったものの、何をよろしく頼むのかは分かっていない。
どうしたものか……。
「そういえばさ雪花ちゃん。」
とニオが急に話を振ってきてくれた。
助かった。
私はすぐその話に乗る。
「どうした?ニオ」
「雪花ちゃんってどこから来たの?」
と急に踏み込んだ話題を出してきた。
私が知りたいと言いたい所だが、無視をしてはいけない。
そう思い口を開く。
「遠くの町だ」
「なんて町?」
一瞬にして問いが帰ってきて、私の思考は止まった。
まるで尋問を受けているときのような緊張感が私に走る。
「遠くの町は遠くの町だ、それ以外ない」
「ははは、そうなんだ」
少し愛想笑いをされた気がしたが、無事誤魔化すことができた。
ニオが優しくて本当に助かる。
安堵の息をついていると、再びニオが口を開く。
「来た場所はわかったんだけどさ、どこに向かってるの?」
次から次へと私へと試練を与えてくる。
これは誤魔化すことができないので、ある方法を使うことにした。
「ニオはどこに向かっているんだ?」
「私?私は村に帰ってるんだよ」
「じゃあ私も村に向かっている」
「じゃあ?」
とニオは首を傾げた。
少し心が先走り、ついじゃあなんて言葉が出てしまった。
だが多分誤魔化せたはず。
再び安堵の息をつこうとした時、一つの疑問が思い浮かんだ。
それは、少女がなぜ村に帰ろうとしているかだ。
少女は防寒具とカバンそして、ランタンしか持っていない。
この場所には少なくとも少女が一人で歩き回る理由はない。
遊びに来ることもないだろう。
そのうえこの場所には暴漢もいる。
つまり少女がここにいるのはおかしいってことだ。
そうと思い、直接ニオに聞いてみることにした。
「私からも質問をしていいか?ニオ」
「質問?いいよ!」
「ニオ、お前はどうしてこの森にいるんだ?」
そう質問を投げかけると、ニオは目を大きく見開く。
「い、いや私は」
即座に答えようと、ニオは口をぱくぱくさせた。
「答えられないのか?」
少し気になったため、詰めてみることにした。
「この森には暴漢がいた。それも銃を持っている」
「そんな森になぜ来たんだ?」
そうニオに深く問い詰めた。
ニオの顔を見ると少し涙目になり、うつむいている。
そんな姿を見て、私は罪悪感におぼれた。
優しい子に対して、少し攻撃的になりすぎたかもしれない。
私はそう反省しつつ、ニオにこう問いかける。
「言えない事情があるんだろニオ。問い詰めてしまってすまない」
と言い頭を下げる。
「い、いや謝らなくていいよ!それよりもう少しで村に着くよ!」
すぐ元気を取り戻したようで私は少しほっとした。
ザクッザクッザクッ
二人で歩いていると、目の前には見慣れない光が広がっている。
これが先ほど言っていた村だろう。
「これが……村か?」
「うん、知らずに言ってたの?」
多分嘘はばれている、そう察したが。
何も触れないことにした。
ザクッザクッザクッ
そうして私たちは、光の中へ足を踏み入れるのだった。




