少女
「……?歩けている?」
そんな違和感を感じていた。
無我夢中になっていたせいか、足を動かしていた。
「なんなんだ?この体は」
この体の不気味さは、時間が経つごとに増していく。
「気持ち悪い……」
自分への嫌悪感はすでに限界に到達しそうになっていた。
そんな時、不気味な視線が後ろから私に刺さる。
全力で振り返り、すぐさま銃を構えた。
「誰だ?」
そこに立っていたのは、小さな女の子だった。
また追っ手か……
そう思った瞬間、その少女は口を開いた。
「お姉さん、大丈夫ですか?」
少し怯えたような声色でそう告げた。
その問いに私は銃を向けながらこう返答した。
「大丈夫だ。だがお前もこんな場所に一人でいるなんて危ないんじゃないか?」
そう言って、私は少女を睨みつけた。
互いに警戒をしているせいか、少しの間沈黙が訪れた。
互いに動かず声を掛けず。
そんな中口を開いたのは少女だった。
「お姉さん、名前は?」
焦っていたせいかちぐはぐな質問がなされる。
その質問に私はこう返す。
「こういうのはまず最初に自分が名乗るものなんじゃないか?」
そう言うと、さっきまで合っていた視線が少しずれた。
「えっ、ごめんなさい……そうだよね。私ニオっていうんだ、お姉さんは?」
この時私はこのニオという少女は緊張していただけで、追っ手ではないと確信した。
その瞬間、私の肩の力は抜けた。
私は構えていた銃を下に置き、口を開く。
「先ほどは疑って済まない、私は雪……」
そこまで喋り、言葉が止まる。
いつも口にするであろう名前、それを言おうとしていただけだ。
まさか私は、記憶を失っている……?
「全然大丈夫だよ」
今まで当たり前だったためか、普通のことにすら気づけなかった。
「雪ちゃん?聞いてる?」
その言葉が耳に入り我に返る。
誤解を解こうと、私は急いで口を開く。
「いや違う、私の名前は雪ではなくて。」
「じゃあ名前何なの?」
首を傾げ私へと疑問のまなざしを向けてきた。
どれだけ考えても思い出すことができない。
「雪、、、雪、、」
「雪?」
早く返事しなければ、そんな気持ちで心がいっぱいになる。
疑問のまなざしに耐え切れなくなり、私は視線を逸らした。
そんな時、私の視線にあるものが写った。
これしかない、そう思った私は咄嗟に。
「雪花だ、よろしく頼む」
そう返事をした。
「雪花ちゃんって言うんだね、よろしく!」
不意に安堵の息が漏れてしまった。
私はこの出会いに、何かの始まりを感じていた。




