対話
木の陰から一気に飛び出し私は男と相対していた。
考えなしに飛び出したわけではない。
「お前の目的はなんだ?」
飛び出すや否や私は男へと問いかける。
私が望んだものは、対話だ。
無謀なのはわかっていた。
だが、一つの選択肢に縛られて終わるのが嫌だった。
だから私はこの選択肢を選んだ。
「やっと諦めたかお嬢」
奴は不意に目を見開き、返事を途中で終えた。
その行動に驚き、次に出す返答を見失う。
その次の瞬間、奴の口が開いたと同時に。
バンッ
「は……?」
大きな音が響き、男が放った弾丸が私の足を貫いた。
焼けるような痛みが、太ももを襲う。
バランスを崩しその場に膝をつく。
そして。
ザクッザクッザクッ
男はゆっくりと私の近くへと歩み始めた。
「お前、ボスが言ってた女だろ」
先程とは声色が全く違う声でそう問いかけた。
「ボス……?私はそんなの知らない」
すぐ返事をしたが。
そんな抵抗は虚しく。
「いいや間違ってない、生きてさえいればいいと指示されている、だから」
そう言い私へと近づき奴は。
ボスッ
私の腹を強く殴りつけた。
その場に倒れこみ腹を抱えた。
その時違和感を感じた。
(……なんともない?)
その瞬間ある作戦を思いついた。
私は息を完全に止めその場で静止した。
そしてその時を待つ。
待っていなくともその時は訪れた。
「気絶したか、まあ所詮女だな」
そう呟き、私の手首をまとめ、ひもを巻き付けようとしたその時。
「なっ!」
私は飛び起き、奴の首に腕を回し。
全力で首を絞めつける。
少し不自然な体勢だったが。
そんなのもお構いなしに首を絞め続けた。
「クソ!女のくせに!」
奴も全力で暴れる。
そのせいで浅く入れていた銃が飛んでいく。
そして、その力で腕の拘束が外れてしまう。
「まずっ」
男は立ち上がり、こちらへと向かってきた。
「女のくせに生意気なんだよ!」
先程とは違い、声を荒げて私へと怒号を浴びせた。
終わった、と思った時私の目に一つの物が写る。
次の瞬間私は全力で地を蹴った。
「どこへ行くんだよ女!」
私の後ろを追ってきていたが、そんなことは関係なかった。
なぜなら
バンッ
「は………?」
落ちていたものは、奴との攻防で飛んで行った銃。
胸を貫かれた奴はその場にばたりと倒れた。
「クソが、女のくせに……」
そんな汚い言葉を吐き、奴の動きは完全に止まった。
安堵の息をついた時、私は再び重大な違和感に気づいた。
「……?歩けている?」




