疑問
この場所には見渡す限り、何もない。
あるのはただ木だけ。
風の音が際立ってしまうほど殺風景だ。
「どうすれば……」
この体は歩いていても疲れはしないし。
喉も乾かない。
どこまででも行けるのだろう。
だが歩けば歩くほどわかる。
目的を失っていることを。
そもそも生き返っていたとして。
なぜ私が選ばれてしまったのだろうか。
「私は何者だ?」
そんな疑問の連続が私の足取りを重くした。
次の瞬間
バンッ
大きな銃声が聞こえた。
音の大きさからして距離はある程度近い。
「……銃声?」
私は即座に木の後ろに隠れ、状況を確認する。
さっきの射撃は私に当たらなかった。
つまり、威嚇射撃かそれか別の人間を狙っていたか。
人数は今のところ1人と断定するしかない。
「なぜ?」
疑問が膨らむ。
なぜここに、なぜ私が、なぜ……
まず最初に行うべきは相手の位置確認。
私は息を止め、木の陰を伝いながら奴の位置を特定することにした。
サクッサクッ
静かにそして冷静に、私は銃声の方向へと向かう。
バンッ
「……?」
銃声が鳴り響き、銃弾が先ほどまで隠れていた木を貫通した。
私の思考は停止した。
私が追っているのだと思っていたが、私の位置は思いの外もうばれてしまっていたのだ。
「おいおい……どこへ行くんだ?お嬢さん。」
そう言いながら銃を向け男がこちらへと近づいてくる。
私は即座に木の陰へと身を寄せたが。
バンッ
打ち出された銃弾が木を突き抜け、私の頬をかすめた。
「無視だなんていただけないなぁ、悪いことは言わないおとなしくついてきてくれよ」
記憶がない私でもわかった、これは確実に噓をついている。
でもなぜだ?私を売り飛ばすため?それとも単純に殺したいだけか?
サクッサクッサクッ
奴は足音を立てこちらへとゆっくり近づいてくる。
とりあえず時間を稼ぐか……?
サクッサクッサクッ
どんどん近づいてくる足音に、先ほどまで止めていたはずの呼吸が無意識的に出てしまう。
サクッサクッサクッ
どうすれば……
ザクッ
そんな音を不意に立て奴の足音は不気味にも止まった。
そして……
「今から10秒数える、それまでにそこから出て来い、出てこなければ―――お前を撃ち殺す」
奴は私に選択肢を与えた、たった一つの選択肢を。
今すぐ出てきて投降しろと、そんな理不尽な選択肢だ。
その選択肢に対して、覚悟を決めた。
深呼吸をし、私は木の陰から飛び出した。




