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魔女を探そう

「さあ、これであの日のことを話す事が出来ます。何をお知りになりたいのですか?」

ザラはスッキリとした顔をして言う。長い間黙っているのが辛かったのだろうか。


「まずは、あの会場に乱入してきた賢人について教えてください」

僕が聞くとザラかあっさりと言う。

「あの人? 名前はマーヤといいます。魔法使いという事で私に弟子入りしたのですけど、唯一できる魔法は変身でした。それ以外は全くダメでした。修行が嫌いだったせいでいつの間にか辞めてしまったのですが、姿を変えて賢人として会場に現れた時はびっくりしました」

「そんな力の人がこんなに大きな事を起こしたんですか?」

チェスターが驚く。

「それが不思議なのです。これほどの効力がある魔法は精巧な魔法陣が必要です。もちろん、我々賢人でもです。しかし魔法陣があれば誰でも高位の魔法が使えるわけではありません。効力の高い魔法陣を使うには高い魔力が必要なのです。しかし彼女はその魔力を持っている様には感じられなかった」

我々は考え込んでしまった。

「誰かが彼女、マーヤを使って裏で魔法を使っていたと考えるのが妥当かな」

僕が言うとアビゲイルが続けた。

「とにかくそのマーヤに会ってみましょう。今はどこにいるのかしら?」

僕たち3人はじーっとザラを見つめる。

「え? わたくし? マーヤの場所を探れと仰るのですか?」

「先生、私達は何も言ってないですよ。でもそうしてくださると、とーっても助かります!」

アビゲイルのおねだりにザラは頷く。

「分かりました。最近は個人の情報を追うのはいろいろとうるさく言われるのですが、今回は特別ですよ。国王御一家の命に関わる事なので」


ザラは不思議な言葉を唱え出した。きっと古代ルーンなのだろう。するとザラの手が光って中から小鳥が現れた。小鳥は目を閉じてしばらく考えているように見えた。そして目を開けると同時に窓から飛び立って行った。


「小鳥のまま飛び立っていったという事はここから近い場所にいるという事です」

「距離によって姿が変わるのですか?」

僕は尋ねた。

「そうですね。遠いと大型の鳥になります。鳥では行けないくらい遠い場合は竜ですね」

竜ときたか! すごい。

しばらくすると先程の小鳥が戻ってきた。小鳥はザラの指にとまり話しかけている様に見えた。

「王都の城下町にいるとの事です」

と告げた後、僕らをしばし見つめて言った。

「すぐにでも彼女にお会いになりたいのですよね?」

「「「もちろんです!」」」

3人同時に答えた。


それから間も無く僕たちは王都の城下町にいる。

魔法酔いっていうのか頭の中が回っている気がする。

「私も初めてザラ先生に跳躍してもらった時は酔ったわ。しばらくすると治るわよ」

「そう言えば先生も一緒に来ていただいてしまったのですが、魔法院の方は大丈夫ですか」

チェスターが尋ねる。

「こちらの方が重要な事ですので大丈夫ですよ。それに魔法使いの相手は魔法使いの方が適してますし」

ザラは僕たちを安心させる様ににっこり笑った後急に顔に影を落とした。

「というか長い間沈黙を守る羽目になった元凶を見てみたいのですよ。一刻も早く」

ああこっちが本音なんだ。沈黙ってよっぽど辛いものなのだなと僕は思った。アビゲイル達もきっとそう思っただろう。


街でマーヤの事を聞き回った結果、マーヤは現在宿屋を経営している事が分かった。


いやいやいやいや、ここ、2カ月くらい前まで僕が宿泊していた所だ! 王都には宿屋は数多あるというのに、なんという偶然だ。

「本当に偶然なのかしら」

だからどうしてアビゲイルは僕の考えが読めるんだよ。


「いらっしゃいませ」

店に入ると元気の良い挨拶が来た。

「あら? お客さんまた来てくれたの? うちの料理は自慢じゃないけど王都一だからね。忘れられなかったんでしょ!」

確かに料理は美味しかった。でもこの国の料理じゃなかったな。おそらく料理人はうちの国出身かうちの国で修行をしていたのだろう。見慣れたメニューが多かったから。

彼女は僕の後ろにいるチェスター達に気付く。

「今度はグループでお泊りなのね」

そう言って僕たち一人ずつの顔をみる。だが視線がザラに向いたと同時に慌てだした。

「あ、あたしちょっと急用が……他の人に代わ……」

言い終わる前にザラが彼女の腕を掴む。

「いいえ。わたくしは貴女とお話がしたいのよ、マーヤ」

「!!」

退路を断たれた哀れなマーヤ。小刻みに震えている。いや、元々はお前の責任なのだが。



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