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私は王子様の幸せを望む〜ある日婚約者では無くなった令嬢の話〜  作者: 漆原 凜


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7/8

気づき

「姫様とレオンハルト様また一緒で仲睦まじいわ」

「あんな素敵な方ですものね」


噂にも慣れてきた。こちらにきてからしばらく立つが最近は仲睦まじいとまで言われるようになった。見初められた敗戦国のラッキーな王子様から、姫様を射止めた王子様になるくらいには評判は上がった。張り付けてきた理想の王子様だからね。


「くだらない。」


ある日出かけようと誘われたので馬車に乗り込みマリアベル様を見る。どこに行くのかな。


「レオンハルト様はどれが本当ですか?」

「は?いや、どうしてですか?」

「たまに出ますよね。今みたいに。それが本当のお姿ですか?」

「…あぁ。いや。」


何とも言えず困惑してしまう。バレてた。フローラにも誰にも言われた事ないのにな。頑張って理想の王子様してたのに。


「私どちらも好きです。もっと出してもらえるように頑張りますね。」

「意味が分からない。」


ニコニコと言っているお姫様に呆れる。こんな奴好きな訳ないじゃないか。理想の王子様が皆は好きなんだよ。はぁとため息をつきながら遠くを見た。


「レオンハルト様!今日は美術館に行きましょう!」

「はいはい。」


レオンハルト様レオンハルト様と毎日やってくる。いい加減煩わしくてチッとつい舌打ちをしてしまった。あ、しまった。と思ったのだが驚き嬉しそうな顔をする。なんでさ。怒りなよ。王子様は舌打ちなんかしないって幻滅するでしょ。


「毎日よく来るね?」

「へ?はい!レオンハルト様と仲良くなりたいです!」

「…はぁ。飽きないのかね。」


それからも素が出てしまう時が増えてきてしまった。理想の王子様仮面が外れてきてしまったみたいだ。それでも微笑み寄ってくるお姫様に多少の情は湧いてくる。小さな犬を拾った気分だ。


「レオンハルト様ご実家に行きましょう!」

「へ?いいの?2度と行けないのかと。」


マリアベル様を伴って里帰りが許された。姫様がお父様にお願いしてくれたらしい。急に引き離した事まだ気にしてたのかな。


「皆どうしてるかな?あ、フローラ元気かな?すっかり考えなくなっていたな。幸せになってるかな?」


ふとフローラの事を思い出した。忘れてたのが自分自身とても衝撃だった。あんなに想っていたのに。なんとなく原因に思い当たり複雑な気分になる。


「レオンハルト!元気だったか?」

「はい!父上もお元気そうで。母上も。」

「会えて良かった。もう会えないかと…。」

「私もです。マリアベル様が気を遣ってくださって。」

「そうか。王太子の事だってそうだ。マリアベル様にはお礼を言わないと。」


久しぶりに会う両親は少し老いを感じた。あれ以来大変だったのだろう。あの後すぐ兄が即位し様々な事が一新された。両親は処理に追われ最近やっと落ち着き領地へ引きこもる準備が整ったとの事。最後に私に会えて良かったと泣いている。


「また会えますから!会ってもらえるので!許可もらってます!」


マリアベル様が私達に言ってくれる。もう笑ってしまうよね。気にしなくていいのにって気持ちと嬉しいって気持ちが入り混じる。


「私のために無理しないでよね。」

「レオンハルト様のためなら何だって出来ます!」

「マリアベル様ありがとうございます。レオンハルトをこれからもよろしくお願いします。また領地にもきてください。」

「えぇ嬉しいです。」

「レオンハルトが幸せそうで良かったよ。」


はいと頷く。私を想って大事にしてくれるお姫様を大事にしたい。


「マリアベル様本当に色々ありがとう。」

「いえ。私がしたくてしてるだけなので。気にしないでください。」


本当このお姫様は私に対する贖罪が終わらないみたいだ。もういいのに。


「レオンハルト明後日壮行会があるんだ。参加して欲しい。マリアベル様と共に。」

「はい。もちろん参加させて頂きます。」


2日後に小さいながらも両親の壮行会が行われるらしく参加させてもらう事になった。昔から仲良くしていた人達が集まるらしい。フローラ達もくるのかな。


「レオンハルトいいか?」


1人で寛いでいたら父上が訪ねてきた。マリアベル様とは部屋が別なので、わざわざ居ない時に来たのだろう。


「父上どうされました?」

「久しぶりに会えて嬉しいよ。本当にすまなかった。お前には苦労ばかりさせて申し訳無い。」

「いいのです。何不自由無く育てて頂き、王族として当たり前の事です。」

「実は最近フローラ嬢から手紙が届いたんだよ。」


フローラの名前を聞き体が強張る。思い出さなくはなってきていたが、一緒に過ごした場所で聞くとやはり意識してしまう。


「亡き兄の友人と縁があり婚約に至ったと。ずっと心配していたがフローラ嬢も前を向けたようで安心したよ。」

「そうですか…。フローラが婚約を。」

「マリアベル様との様子を見て大丈夫だと思って伝える事にした。壮行会には婚約者を伴って参加する事になっている。」

「はい。お気遣いありがとうございます。思っていた以上に受け止めれています。幸せそうで良かったです。」


そっか。婚約者が出来たんだ。良かった。フローラは良い子だから絶対幸せになって欲しい。


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