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私は王子様の幸せを望む〜ある日婚約者では無くなった令嬢の話〜  作者: 漆原 凜


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5/8

出会い

ある日友人が戦争で亡くなった。学生時代から仲良くしていて良い奴だった。隣の大国が急に戦争を吹っかけてきて本当に突然だった。平民貴族関係無く国の為に戦い数多くの人達が亡くなった。


友人は嫡男だったが家族想いだったから、家族のために出たんだなってすぐ思った。最後にまともに会ったのはいつだろう。王宮で偶然会ってまたご飯行こうなって別れてすぐ戦争だった。花を手向けに行こう。


「学生時代から友人のアルフレッド=ウィリアムズと申します。まだまだ大変な中、対応頂きありがとうございます。」

「本日は兄の為に来て頂きありがとうございます。妹のフローラと申します。両親は少し体調を崩しておりますので、私がお相手させて頂きます。」


公爵家に連絡をし訪問すると可愛らしい令嬢が対応してくれた。可愛らしいが儚げで消えてしまいそうだ。綺麗な礼をする子だなって思った。


「わざわざ来て頂き申し訳無いです。兄も喜びます。」


お墓に案内してもらう。こちらですと導かれれ墓前にしゃがみ花を飾り手を合わせると急に実感が湧き泣いてしまう。家族を残し逝くのは悔しかっただろうな。


「どうぞ使ってください。」


フローラ嬢がそっとハンカチを渡してくれる。受け取り洗って返します。と立ち上がる。


「泣いてしまってすいません。」

「泣けるのはそれだけ兄を想ってくれてるからですよ。私は薄情なのです。兄が亡くなったのに涙1つ出ませんでした。」

「受け入れられないのも当然です。私もあいつが何処かにまだいる気がしてしまいます。」

「今日は兄のためにわざわざ足を運んで頂きありがとうございました。」


今度ハンカチを返しに来ますと話をしたが断られる。それでも!と私は引かない。このまま終わると何かダメな気がする。この子は何処か危うい。


「あ!そういえば…」


妹が第二王子様の婚約者ってあいつが言ってたのを聞いた気がする。最後に会った時にもうすぐお嫁に行くって嬉しそうに言っていたな。寂しいが妹は婚約者とずっと仲が良く割り込めないし、お互い家族になるのを皆楽しみにしてるって言っていた。


噂の悲劇の公爵令嬢があの子だ。向こうの姫様に惚れられた為に、第二王子様は大国に婿入りをした。見送りも別れも出来ずいきなり離ればなれになったと聞く。兄も亡くなり婚約者もいきなり居なくなった。さらに体調の悪い両親の面倒まで見ている。泣けない筈だ。また会いに行こう。あいつも妹は私にも妹だ。


「また来たんですか?」

「来たよー。はい。これ皆で食べて?」

「何も持ってこなくていいですよ。お仕事忙しいですよね?」

「まぁそこそこ?でも大丈夫だよ。」


週に1回はやってくる私にフローラ嬢は呆れた様に言ってくる。最初はハンカチを返しに。次はお菓子を持ってと毎回何かと口実をつけ訪ねている。段々警戒心も解け少しは笑ってくれる様になった。


「街へ散歩に行かない?」

「良いですよ。お供します。」

「え?いいの?嬉しい。フローラ嬢欲しいものある?」

「無いです。あっても自分で買うので大丈夫です。」

「いつでも言ってね。」


細やかながら交流も出来ている。あいつもこのままだと安心できないだろうと思い活動している。


「なんか新聞配ってるね。何だろう?」

「…」


街を歩いていると新聞の号外が配られていた。第二王子様の結婚式が盛大に行なわれたと。フローラ嬢を見ると真っ青になっている。心配になり手を繋ぎ公園に連れて行く。


「座って。飲み物いる?」

「いえ。いらないです。」


大丈夫?と聞くと、知ってたんですねって。幸せそうで良かったですと言っている。用事思い出したので帰りますって立ち上がり歩き出した。送るよと手を取る。凄く冷えている。


「今日はありがとうございました。もう帰ってください。」

「無理しないで?ずっと泣きそうだよ?」


家に送り中までついて行く。手を広げおいでって呼ぶと、フローラ嬢は泣きながら抱きついてきた。背中を撫でながら話を聞く。


「本当に幸せそうで良かったって思ってるんです。でもどうして私が彼の横にいないのだろうって…ずっとずっと一緒に居るって言ったのに。仕方が無い事だって!誰も悪くないってわかってるのに…。彼が1番ツライのに私には泣く資格なんかないって…」


うわぁぁーって子供の様に泣いている。大丈夫大丈夫って背中を撫で慰める。急に婚約者を取られたら誰だってツライよね。


「君は被害者だ。大事な人を奪われ文句を言ってもいいし怒っていい。」

「そんな事言えない。」

「私が聞くよ。私にだけ言えば大丈夫。」


ギューッと抱きついてくる。頭を撫で気が済むまで泣かせてあげる。ずっと気を張り詰めていて泣けなかったんだな。可哀想に。


「あれ?寝た?」


しばらくすると寝息が聞こえた。泣きつかれて眠ってしまったようだ。侍女に説明し部屋へと運ぶ。帰ろうとすると彼女の両親に出会った。


「私達が弱くフローラに迷惑をかけてしまった。アルフレッド様にまで迷惑をかけ申し訳無い。レオンハルト様の事で全然泣けなかったのが泣けて良かった。」

「兄の代わりにはなれたかな?あいつには学生時代迷惑かけたからコレでチャラで。」

「またいつでも遊びに来てください。」


もうあの家は大丈夫だろう。

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