第三十九話 第二の覚醒
第三十九話!
零の誕生日の夜の出来事!
楽しんで!
強制転送の光が消えた先は、砂塵が吹き荒れる無機質なコンクリートの広間だった。
二歳のシンの手を掴み損ね、独りこの「砂漠の研究所」へと放り出された絶望を、僕は即座に思考の隅へと追いやる。
「……ッ、迎撃システムか。お祝いの後にしちゃ、無作法だね」
広間の天井から、魔力レーザーを装備した自律型ドローンが四体、僕を包囲するように降下してきた。
僕に残された【再構築】の回数は、一日わずか『五回』。
この脆弱な七歳の身体で、科学の盾を張り続けるには、あまりに心もとない数字だ。
――リビルド
「一回目……!」
僕は床のタイルを剥がし、瞬時に「電磁遮蔽」を構築した。ドローンの放つ雷属性のレーザーを、物理的に地表へと逃がす。
だが、次々と襲いかかる火、風、土。
――リビルド
――リビルド
――リビルド
「二回目! 三回目……くそっ、四回目!!」
高濃度のアルカリ溶液を散布して風の刃を中和し、窒素ガスを噴出させて火を消し止める。
防戦一方。一分も経たぬ間に、僕の手のひらには最後の一回を告げる熱が宿る。
――リビルド
「これで、最後……五回目……ッ!」
僕は研究所の配線を強引に引き抜き、『テルミット反応』を強制発動させた。数千度の高熱でドローン3体を溶かし切る。だが、最後の一体が、僕の細い脚に狙いを定めていた。
「……あ」
リビルドは、もう使えない。
計算外の6体目が、影から現れる。
レーザーが発射されるコンマ数秒、死を悟った僕の視界に、あの日別れた誠の顔がよぎった。
(……嫌だ。……あいつを、また一人にするなんて、僕の計算にはないんだ……!)
その瞬間、胸の奥でドロリとした「黒い熱」が爆発した。
研究所の最深部から呼び寄せたのか、あるいは僕自身の絶望が産んだのか。
――『全属性適合魔袋』の強制起動。
「ガ、アアアァァァッ!!」
身体中の血管が沸騰し、脳内を数億行のバグコードが駆け抜ける。
火、水、雷、風、土……。
拒絶していたはずのすべての属性が、僕の神経細胞へと強引に「インストール」されていく。
「ヒ……ハハッ……ハハハハハッ!!」
意識が焼ける。
リビルドの制限という物理的制約が、全属性という名の無限の暴力によって、粉々に粉砕された。
ドォォォォォン!!
研究所の入り口が、僕の意志とは無関係に放たれた「全属性の衝撃波」で吹き飛ぶ。
零という演算装置(OS)が、魔法という名のウイルスにハッキングされ、書き換えられた瞬間だった。
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