第二十話 神のOS
第二十話!
楽しんで!
3、、2、
カウントダウンが「1」を刻む直前、
ーーリビルド
不本意ながら、この非合理なシステムを利用して作り出したのは、高純度の銀を用いた『超伝導導線』だ。
僕はそれを石像の台座の隙間、魔素が最も激しく流れる「回路」の接点へと力任せに突き刺した。
「――オーバーロード(過負荷)。そのまま焼き切れ!」
バチバチッ! という激しい放電音と共に、石像の瞳の赤い光が明滅し、プスンと音を立てて鎮まった。神殿を揺らしていた鐘の音も、まるで電源を切られたように途絶える。
「……ふぅ。医学的には心臓麻痺だけど、工学的にはただの『ショート』だね」
一歳のシンが、僕の肩でようやく安堵の息を吐いた。
「助かった……。でも零、さっきの石像に書かれていた文字……あれは、どういう意味なんだい?」
僕は台座に刻まれたアルファベットを指でなぞり、苦い笑みを浮かべた。
「『もし死すべき定めの者がこの聖域を汚せば、破滅への十秒の鐘が鳴り響く』……そう書いてあるよ。シン、これはこの世界の言語じゃない。僕たちのいた世界の言葉――英語だ」
「英語……? ということは、零。まさか、このシステムを作ったのは……」
「……いや、それだけじゃないみたいだ。見てくれ、シン」
僕はショートして剥がれ落ちた装飾の下から、別の刻印を見つけた。英語の綴りと並んで刻まれていたのは、逆五芒星の紋章。この世界の住人が恐怖と共に語り継ぐ、『魔王』の印だった。
「科学の知識を持って、魔王になったってわけか。最悪のバグだね」
僕は台座を睨みつけながら、ある仮説を口にする。
「……今の迎撃魔法、火、氷、雷、重力が混ざっていた。普通の魔物なら属性ごとに魔袋の構造が違うはずなのに。……まさかこの魔王、すべての属性を一つで出力できる『全属性適合魔袋』を持っているんじゃないかな」
医学的に見れば生物の限界を超えた万能器官。工学的に見ればあらゆる現象へ変換する究極のエネルギー・ユニット。
「……面白いじゃないか。その魔王の『袋』、僕たちが解体して、その仕組みを丸ごとコピーしてあげよう」
先駆者が残した、究極のデバイス。それを奪い、僕たちの「人工魔導心臓」の部品にする。
六歳の少年と一歳の相棒は、さらなる深淵へと足を踏み入れた。まだいろいろな属性の『武器』を作る必要がある。
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神のOS 意味は、「神の奇跡だと思われていた魔法の正体は、実は誰かが作った『管理システム(OS)』
に過ぎなかった」という意味です。




