第十八話 不具合の検証
第十八話!
楽しんで!
ラボに戻った僕の機嫌は最悪だった。魔法なんて非論理的なバグに魂を売ったような不快感が、脳裏にこびりついて離れない。
「……零、新しい力が手に入ったんだ。医学者としては、リソースが増えるのは歓迎だよ」
僕の肩で、一歳のシンが能天気な声を出す。
「歓迎なものか。……でも、手に入れてしまった以上、このバグの『仕様』は把握しておかないとね」
僕は右手をじっと見つめ、検証を始めた。
一日に五回。構造を理解している物質の再構築。
だが、試験管を出そうとした瞬間、僕の脳内に一つの「仮説」が浮かんだ。
(……待てよ。このスキル、物質を『出現させる場所』に制約はあるのか?)
僕は、解剖した魔族の死骸の切れ端を机に置いた。
瓶を作る必要なんてない。瓶を投げるプロセスすら、非効率だ。
――リビルド
僕が狙ったのは、肉片の「内部」。
次の瞬間、パチリと小さな音がして、肉片の内側からジュウゥゥと煙が上がった。
瓶を通さず、TEA(液体)そのものを、肉の繊維の隙間に直接生成させたのだ。
「……零、君……。今、何をした?」
シンが、戦慄したように目を見開く。
「……効率化だよ。皮膚に触れる距離まで近づけば、容器なんていらない。相手の肺や、あるいはあの『魔袋』の中に、直接地獄の火を注ぎ込んであげればいいんだ。」
魔法の障壁も、強固な皮膚も関係ない。
内側から焼き尽くす、回避不能の処刑。
「あぁ、やっぱり気持ち悪いシステムだね。……でも、これなら『デバッグ』の時間は大幅に短縮できそうだ。」
僕は煤だらけの顔で、冷たく笑った。
嫌悪していたはずのスキルを、誰よりも凶悪な殺しの道具へと作り替えて。
ご覧いただきありがとうございます。
この思考ちょっと零にはサイコパスすぎたかも。(笑)




