第十六話(番外編) 一ノ瀬零の最期
第十六話!
前世の記憶、一ノ瀬零の最期を書きました。
楽しんで!
それは、青い空が魔法の炎に焼かれる、ずっと前の記憶。
国立研究所の最深部。私は、人類の歴史を数百年進めるはずの『新エネルギー制御システム』の最終実験に立ち会っていた。
成功すれば、電力は無限になり、飢餓も格差も消えるはずだった。
「零! 異常燃焼だ、すぐに停止させろ!」
モニター越しに叫ぶのは、同僚の佐伯誠の声だ。
だが、私は動かなかった。
「……いや、これは計算の範囲内だ。この臨界点を超えなければ、真理には辿り着けない」
私の瞳に映っていたのは、死の恐怖ではなく、完成されつつある「完璧な法則」への陶酔だった。
私は、自分自身の命さえも、実験を完遂するための『素材』の一つだと考えていたのだ。
直後、警報が鳴り響き、視界が白熱した。
爆発ではない。エネルギーが凝縮され、物質の理が崩壊する音。
「……零ッ!!」
佐伯の声が遠ざかる。
崩れ落ちる天井。焼き切られる神経。
薄れゆく意識の中で、私は自分の未熟さを呪った。
(……ああ、そうか。私の計算には、『人間の脆さ』という変数が欠けていたのか)
法則は正しかった。だが、それを扱う肉体が、あまりに不完全すぎた。
もっと強固な、もっと効率的な……。
次に目を開けた時、私は「魔法」という名の、最も非合理で、最も興味深い不具合に満ちた世界にいた。
あの日、真理に届かなかった一ノ瀬零は死んだ。
だが、その執念だけは、青い髪の少年「カイ」の中に、静かに、しかし激しく燃え続けている。
ご覧いただきありがとうございます。
本編と比べて文字数は少ないですが番外編なので許して!
次回は本編!




