第十三話 魔導器官の解体新書
第十三話
この物語の主人公、一ノ瀬零の姿について。
目を引くのは、冬の澄んだ空のような「青色の髪」。魔法を使えない人間たちの間では珍しいその色は、ラボの薄暗い灯りの中でどこか無機質な光を放っている。
整った幼い顔立ちに宿るのは、5歳児にはあり得ない冷徹な知性。
青い前髪の隙間から覗く鋭い瞳が、世界の理を「観測」する。
可愛らしい外見と、中身の「怪物」のようなギャップを想像しながらお楽しみください。
ラボに運び込んだ魔族を前に、僕は自作のメスを握り直した。
隣のゆりかごでは、シンが、その鋭い眼光で「検体」の喉元から胸にかけてを凝視している。
「……始めるよ、シン」
慎重に、かつ正確に表皮を切り開く。
魔法が使えない人類にとって、魔族の肉体は未知の恐怖そのものだった。けれど、医学の目と工学の知性が合わされば、それはただの「精緻な機械」に過ぎない。
(……零。もっと深く。その大動脈の裏側にあるはずだよ)
医学者である彼の見立て通り、そこには人間には存在しない特異な器官があった。
青白く発光する、半透明の小さな袋。周囲の血管から魔素を吸い込み、内部で高圧に圧縮しているのが見て取れる。
「これだね……『魔袋』。魔族を魔族たらしめる、生体バッテリーだ」
シンは満足げに瞳を細めた後、その器官の「致命的な欠陥」を僕に示唆した。
(……この袋、魔素を凝縮しているせいで、内部のエネルギー圧力が限界に近いんだ。外側から強い衝撃を与えるか、高熱で反応させれば……)
「魔法の源が、そのまま自爆装置に変わるってわけだね」
僕はその『袋』を見つめ、不敵に笑った。
正体が分かれば、それはもはや神秘ではない。ただの「攻略対象」だ。
「工学で殺し、医学で暴く。……僕たちの新しい『牙』の材料は、もう決まったよ。……ねえシン、五歳の子供が扱うには少し刺激が強すぎるけど、君もワクワクしてるだろ?」
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これからも零と誠をお願いします!




