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第十二話 工業の牙、医学の牙

第十二話!

早いですね、気づいたらもう二桁になってます。ありがとうございます!

麻酔薬が完成した、けれでまだわかっていないのはそれを血液までどう送るかだ。それが工学者の仕事だ。私は急いで木を伐りそこに板バネの端をひもで結んで気に取り付けた。

「強度良し、照準のずれなし、完成!」

私はラボで街の廃材から無音の『クロスボウ』を作った。

 魔法の詠唱もいらず、火薬の爆音もいらない。

 ただ、工業の牙を使って医学の牙を魔物の体に当てるだけでいい。

夜、街の境界付近。

 石鹸によって活気を取り戻したこの街を不気味に思い、調査に送り込まれた魔族の斥候が、闇に紛れて移動していた。

 自警団の槍など通さない強固な皮膚と、一瞬で人を焼き切る魔法。彼らにとって、人間は依然として脆弱な獲物でしかない。

 だが、私はその頭上、屋根の影から冷徹に彼を見下ろしていた。

(……零。風速、0.5。偏差修正は任せるよ)

 脳内でシンの声が聞こえた気がした。

 私は引き金に指をかけ、魔族の首筋――血管が最も皮膚に近い一点に狙いを定めた。

「――物理法則デバッグ開始」

 プシュッ、という微かな空気の音。

 放たれたのは、先端にシンの設計した高濃度麻酔を塗布した鋼の針だ。

 

「……なっ、何の魔法だ……!? 体が……動か……な……」

 魔法を唱えるための指先が凍りつき、魔族は膝から崩れ落ちた。

 自分の体に何が起きたのか。毒なのか、呪いなのか。その答えに辿り着く前に、彼の意識は強制的にシャットダウンされた。

 私は屋根から飛び降り、動かなくなった巨体を見下ろした。

 工業の牙がその身を貫き、医学の牙がその神経を断ち切った。

「さて。まずは『解剖』から始めようか、シン」

ご覧いただきありがとうございます。

工業の牙はクロスボウ、医学の牙は麻酔を意味します!

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