表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/45

第十一話 清潔という名の革命と、静かなる牙

第十一話!

楽しんでください!

私が作った石鹸は町で驚くべき速さで、売れた。

きっかけは腹を壊したあの衛兵だ。彼が私の作った石鹸を使い手洗いを徹底したところ、彼の家族全員が病気にかからなくなった。

「あの子供の石鹸を使えば『呪い』から逃れられる!」

そんな迷信じみた噂は町中にすぐに広がり、私のラボの前にはたくさんの人が押し寄せた。私は、その人々から『対価』として「珍しい石」や「高純度の酒精エタノール」を交換した。

だが、私の本当の目的が単なる「石鹸売り」なわけがない。

それには別の目的がある。

私はそれらを持ちシンの元へと行く。

(零、、麻酔薬を作るための材料は集まった?)

彼の視線がそう問いかけてくる。そこで私は交換した珍しい石やエタノールを見せた。

「ああ、これでシンの言う『麻酔薬』が作れる。麻酔は爆発のような目に見える牙ではなく、目に見えず相手を次々と倒していく、『静かで不可視な牙』だ。」

 私はシンの医学的知見に基づき、鉱石から抽出した成分をエタノールに溶解、精製を繰り返していく。五歳の私がフラスコを振り、ゼロ歳の彼がその色の変化を厳しく「観測」する。大人が見れば奇妙な光景だろうが、ここで行われているのは、この世界の常識を『数百年先取りした』化学合成だ。


(……完成だ。これ一滴で、あのガスト・ウルフのような大型種も、数分は『標本』に変えられるはずだよ)

 シンは満足げに瞳を細めた。

 工学者の私が「投射手段」を考え、医学者の彼が「薬液」を設計する。

魔法が使えない私たちが、魔法を操る強者たちを『解体』するための準備は整った。

 だが、その時。

窓の外、街を見下ろす遠くの山嶺で、不気味な青白い光が揺れた。

街から「絶望」が消え、人々が活気付き始めた。それは魔族にとって、管理下の家畜が勝手な行動を始めたのと同じことなのだろう。


「……計算通りだ。おびき寄せて、まとめてデバッグしてやるよ」


 私は完成したばかりの麻酔薬の小瓶を握りしめ、闇の中で静かに笑った。

 石鹸がもたらした平和は、あくまで猛毒を隠すための『泡』に過ぎない。

ご覧いただきありがとうございます。


おかげさまで、累計121PVを突破いたしました!

 数ある作品の中から、『一ノ瀬零』と『シン』の物語を見つけて読んでくださり、本当にありがとうございます。

 最初は一人だった零ですが、前世の相棒であるシン(マギル)と合流し、いよいよ「工学×医学」の本格的な攻略が始まります。

 石鹸で街を救い、裏では魔族を狩るための牙を研ぐ……二人の快進撃をこれからも描いていきますので、応援していただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ