表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
屑屋と呼ばれた男 planetarian 外伝  作者: オーガスフロンティア
3/12

第三夜 白鳥座の少年(2)

屑屋と呼ばれた男の物語は、襲来するミサイルから怯える悲劇から始まる・・・。

 《住民の皆様にお知らせします。只今、日本政府から、つくば市に対し、緊急避難命令が発令されました。別都市の地下シェルターへ向かうバスを順次発車しますので、住民の皆様は、あらかじめ指定された最小限の荷物をお持ちの上、各ブロックのバス乗り場にお急ぎください。繰り返します・・・》


 自宅のマンションの前の公園で遊んでいた俺たちは、公園内に設置されたホログラム投影機からの緊急放送を聞いた。

 それと同時に市内の空にサイレンが鳴り響き、俺たちを含むツクバの市民を恐れさせた。


「兄ちゃん、なんか怖いよ。どうしよう。」

「ちょっと待ってろ。母さんに電話してみる。」

 僕は、左手の腕電輪(電話機能があるリストバンド)に向かって喋った。

「コール、母さん。」

 ⦅レオ?いまどこ?⦆

 母は、すぐに電話に出た。

「うん、今、公園にいる。ユウも一緒にいるよ。」

 ⦅よかった・・・。じゃあ、すぐにウチに帰って、防災リュックを出しておいて。お母さんもすぐに戻るから。すぐよ。⦆

「うん、わかった。」

「母さん、早く帰ってきてよ!絶対だよ!」

 弟のユウが、事態の異常さに敏感に反応して怯えている。

 しかし、今は、それにかまけている余裕はない。

 ⦅ユウ、大丈夫よ、母さんもすぐに戻るから。慌てて転ばないようにね。レイ、しっかりお願いね。⦆

「うん、わかった、僕とユウは大丈夫だから。」

 ⦅じゃあ、頼むわね。⦆

 母さんは、そういうと電話を切った。


 直後、

 《ビーッ!ビーッ!ビーッ!ミサイル警報!本市に向かってくる複数ミサイルを確認。ここから、東2km、北3km、着弾予想。あと7分で到達します。付近の皆さんは、衝撃波に備えてシェルターや、頑丈な建物や塀に隠れてください!》

 と、公園に備えられているスピーカーから警告が発せられた。

「うわぁ、兄ちゃん怖いよー!」

「大丈夫だって、あそこに隠れてやり過ごそう!」

 もちろん自分に自信があるわけではなかったが、弟を守って母さんと会うまでの責任感を子供なりに感じて、僕は必死だった。

 戦争が始まりそうになった頃から、こういった時の対処法をいろいろと訓練されていた。

 市内には、戦争が始まってから設置されたシェルターがあり、攻撃された時の一時的に避難場所として認知されていた。

「あそこのシェルターに隠れるぞ!」

 幸い、公園内にシェルターが設置されており、近くの人達が我先にと逃げ込んでいる。

「みんな急げ―!はやくー!はやくー!」

 大人達が口々に叫んで、近くの人達を必死に招き入れている。

 僕は、ユウの手を引き、コンクリートと金属で覆われた楕円形のシェルターに向かって走り出した。

 動きの鈍いお年寄りの手を引いたり、背負っている人もいた。

 《ビーッ!ビーッ!ビーッ!ミサイル警報!複数ミサイル、ここから、東2km、北3km、着弾予想。あと6分で到達します。付近の皆さんは、衝撃波に備えてシェルターや、頑丈な建物や塀に隠れてください!》

 警告は、鳴り続けている。

 東の方から、オレンジ色の光の玉が、西に向かって10発くらい飛んでいくのが見える。

 と、同時にロケットの推進音が、地上にも届いた。

 迎撃するためのミサイルなのだろうか、幼い僕達にそれを理解する能力は無かった。

 ただ、必死に恐怖と戦いつつ、走り続けるだけである。

「君達!早く入って!」

 シェルターの入り口に立っている知らない男の人が必死に叫んでいる。

 《衝撃波到達まで、あと5分。シャッター閉めますので、急いでお入りください。》

 シェルターの入り口のスピーカーから、非情なアナウンスが流れる。

 間に合わない人は、どうなるのだろうか・・・。

 もちろん、もしこれが核弾頭だったり、戦略兵器であれば、シェルターの意味もないのかもしれない。

 だが、今は、それにすがるしかない。

 僕らは、転がり込むようにしてシェルターに飛び込んで座り込んだ。

 弟は、息を切らし、苦痛で顔をゆがめている。

 僕だって必死だ。

 繰り返し激しく吐く息が、僕らの心臓を叩き続ける。

 僕は、ユウの手を握りしめて、不安に怯える大人たちと、閉まっていくシャッターを見続けていた。

 

やがて、シャッターが閉まりきると、

 《着弾予想まで、あと一分。》

 と、アナウンスが流れ、怯え声を出していた大人たちは息をひそめた。

 薄暗い非常照明の中で、じっと重たい空気に耐えていると、突然、

「バシャーーン!」

 と、低いとも高いとも思えない、衝撃音がシェルター内に響いた。

 シェルター内の大人達は身を縮こませ、一斉に悲鳴を上げた。

「うあーーーん!」

 弟は、恐怖と周囲の大人達の悲鳴に驚いて泣き始めた。

「泣くなよ!大丈夫だって!」

 泣いている大人もいたが、自分は泣かなかった。

「お、タチバナさんとこのレイ君じゃないか。レイ君は強いな。」

 知らない大きな男の人が話しかけてきた。

 その人は自分のことを知っているようだったが、僕は知らなかった。

「僕は、君のお母さんと一緒に働いている友貞というものだ。君の写真を何度か見せてもらったことがあるよ。」

 そのトモサダという人は、そう言って親しげに笑った。

 僕は言い返す言葉もなく、ただ黙って聞いていた。

「お母さんとは連絡が取れたかい?」

 親し気にするこの大人に警戒感を抱いていたが、僕は黙って頷いた。

「そっか・・・、それは良かった・・・。君は、しっかりと君のお母さんと、弟君を守るんだぞ。しっかりな。運がよかったら、また会おうな。」

 トモサダさんは、そう言って僕の肩を叩くと、皮の厚そうな顔で、ぐっと笑顔を作った。

 僕は、父親以外の男の大人の強さというものを見た気がした。



 だけど、その時の僕はにはまだ、その人の強さに応える言葉を吐き出すほど強くなかった。


今回は、初めてプロットを作りながら構想を練っています。

(まだできてないんかい!)


戦略的に小説を書くのもありですね。

(当たり前だっちゃ!)※うる星やつらリメイク記念。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ