歪な心(4)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。
武器を奪われた少女1人に対する彼らの扱いはひどく、黒猫は回復するスキすら与えてもらえないほど、絶え間なく集団リンチされ、さらには数え切れないほどの銃弾を腕や足に受けた。
それでも、痛みに強い黒猫の闘志はまだ折れていない。その証拠に、彼女は倒れてもなお、デビルアイで真っ赤に染まった目で憲伸を睨みつけている。
「ほう。まだそんな目を向けれるのか。大した根性だ。だが……それもここまでだ」
そう言う憲伸の手には、黒猫から再び奪った菊一文字零式・真打が握られている。
それを見た黒猫は案の定激昂し、取り返そうとしたが、彼の部下がそんな勝手を許すはずがなく、銃創で穴だらけになった腕を踏みつけられた彼女は、その痛みに悲鳴を上げ、苦悶した。
「静かにしろって。にしても、親の形見ねぇ……もしかしてこの刀、影部隊のリーダーで剣術師範の闇の愛刀か?」
「えぇ。それが何か?」
「やっぱりか。あの時見た物と同じだったから、もしやと思ってな」
憲伸の言うあの時とは7年前のブラック・ナイト本部襲撃のことである。当時彼も源士郎に同行して本部に攻め込んでいたのだ。
「なら、ちゃーんと親の元へ送ってやらないとな。1人寂しく憎んでばかりじゃ、親不孝者もいいところだろう?」
「大きなお世話よ」
「そう言うな。これも親切心ってやつだ」
そう言ってすぐ、憲伸は何かを思い出したらしく、ニヤリと笑った。
「あ、そうだ。親切ついでにいいことを教えてやろう。冥土の土産として、な」
「……何?」
「お前の母親・黒揚羽を殺したのは、この俺だ」
憲伸の口から母の死の真相について明かされた黒猫は驚き、母の仇に対し、怒りを露わにした。
「あなたが、ママを……? なんで、なんでママをーっ!?」
「犯罪者だから。それ意外に理由があると思うか? わかったら、その怒りを抱いたまま死んでいけ。美しくも愚かなお嬢ちゃん」
憲伸はそう言うと、菊一文字零式・真打を鞘から抜き、大きく振り上げた。
このまま母の仇に為す術もなく殺されるのか。そんなことが頭によぎった黒猫は、悔しさから下唇を噛み締め、心の中で亡き両親らに詫びた。
集団リンチされた挙げ句、母の仇に父の形見を奪われる。この時点で黒猫の心身はズタボロでしょう。




