青龍と赤龍と伝説と(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。
そんな相手に勝つ術など学んでいない。そう思い立ち尽くすアレックスの尻を叩くように、渓は彼にV-0を奪還するよう促した。
「アレックス曹長。何をしている? 奴の相手は龍君に任せて、早くV-0を!」
「ちゅ、中佐……」
「急げっ! 私達軍人の使命は、侵攻勢力から祖国を守り、与えられた任務を全うすること。それを成し遂げるのが、軍人の責務でしょう!?」
強い口調でそう言われて、アレックスは悟った。渓が立派な軍人であるということを。そして、そんな彼女をバカにした自分の愚かさを。
「アレックス曹長。V-0を奪還せよっ!」
「サー! イエッサー!」
他国の軍人である渓の命令に、これ以上ない気持ちで敬礼したアレックスは、自身が1番使い慣れた武器であるグレネードランチャー付きのアサルトライフルを手に、突っ走った。
無論、そう簡単に進ませてもらえるはずもなく、E・Cに足元を掃射されて、足止めされたが。
「そんな無粋なマネを許すとでも? V-0に指一本触れさせるわけにはいかん。あれは我が帝国の象徴なんだ。それを奪おうとする者は、私が排除する!」
E・Cのその言葉に、アレックスは動じることも怯えることも一切せずに、冷静さを保っていた。
それは、戦化粧のおかげではなく、ここに突入する前に例のプランBが発動したと、上層部から知らされたことによる悲壮感からだった。
その内容とは、日米の首脳が協議した結果、日付が変わると同時に、米空軍がステルス爆撃機で核攻撃するというものだった。
グリーンベレーが作戦開始から一切連絡が無いことから失敗と判断し、奪えないぐらいなら樹海ごと核で消滅させてしまおうという考えからである。
この決定は言うなれば苦渋の決断であり、アメリカは使う予定だった貴重な兵器と精鋭を失うし、日本は核攻撃を誤魔化すために、極秘核施設が実験失敗したという大失態があったことにして、全世界から大バッシングを受けることになる。
それを聞かされた青龍と渓は、一気に血の気が引いた。
「もうお遊びは終わりだE・C! 核の炎に焼かれたくなければ、大人しく投降しろ!」
「……なるほど。そうきたか……アメリカはまたしてもこの私を……おのれ、アメリカめーっ!」
E・Cはそう怒鳴ると、怒りに任せて顔の包帯を破り捨てた。
そこに現れたのは、バーコード状にハゲた頭と、焼け爛れたであろう痛々しい顔面だった。
アメリカと日本が発動した作戦・プランB。
個の命より国益を優先するやり方は、僕からすれば人間らしいの一言です。




