青龍と赤龍と伝説と(1)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。
その時だった。アジトの入口のドアが切り刻まれ、起爆スイッチが撃ち落とされた。そんなことをするのは彼らしかいない。
「どうやらお取り込み中だったようですね。それはそうと、E・Cさん。あなた、性根悪すぎますよ。罠作りすぎです」
さぞかし大量の罠を突破してきたのだろう。青龍とアレックスは明らかにうんざりしていた。
「ほう。やはり来たか侵略者。おや? そこにいるのは、さっきのクッキー売りの腰抜けではないか。こんな所に何しに来た。わざわざ殺されに来たのか?」
いかにも安い挑発。こんな挑発でも、昼までのアレックスなら怯えて何も言い返せなかっただろう。
だが、今の彼は違う。アレックスは自身の顔をちゃんとE・Cに見せながら、
「Shut up! 私はクッキー売りでも、ましてや腰抜けでもなぁい! 私はグリーンベレーのアレックス曹長! またの名を……怒れる軍人・赤龍だーっ!」
と、怒鳴った。その左目の下には龍の紋章のような物が刻まれている。
実はあの時、アレックスが青龍に頼みながら差し出したのは、戦化粧用にと持参していたマーカーだった。
アレックスはそれを使って青龍に紋章を書いてもらい、彼にあやかるというゲン担ぎをすることによって、E・Cに対する恐怖心に打ち勝ったのである。
もちろん、あくまで自分のモチベーションを上げるだけで、これを見たからと言って、相手が怯えたり過度な期待をするような効果はない。百戦錬磨の兵士である彼なら尚更で、E・Cは失望感を露わにした。
「ふん。戦化粧とは笑わせる。貴様は自爆覚悟で私に挑んできたこの女以下だな。顔におまじないをするような少女趣味の坊やが、本気で私に勝てるとでも?」
「当然だっ!」
「なら……見せてみろ」
そう言ってE・Cは渓を壁へと放り投げると、無数のガトリングガンをナイフのように投げ放った。
それをゴングと受け取った青龍が1つ残らず微塵切りにすると、E・Cはアサルトライフルと槍が合わさったような武器を手に襲いかかってきた。
「Good! そうこなければな」
「それがあなたの得物ですか?」
「今の、な。君があのダガーナイフを断ったから、現状はといったところだ」
「それはすみませんね!」
そう言い2人が怒涛のバトルを繰り広げているのを見たアレックスは、渓を保護し呆然としていることしかなかった。
それもそのはず、今まで彼ら人間の軍隊がしてきたのは、所詮人間が相手と想定しての訓練と実戦。
しかし彼らの戦闘力は、人という領域をとうに逸脱しているのである。
いよいよE・Cと真っ向勝負です。
戦化粧をし、怒れる軍人・赤龍と名乗ったアレックス曹長の活躍も必見です。




