戦士の帝国(4)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。
その瞬間、1発の銃声が響き渡り、目を血走らせて突進するジャックの頭が撃ち抜かれた。見るまでもなく即死である。
「ほら、だから言ったんですよ。『油断だらけ』だって」
「Hey ジャック! ジャーックッ! 何てこった! これは……スナイプか!? だが、いったいどこから!?」
いきなり仲間を失い、動揺したアレックスがあたりを見渡すも周囲には誰もおらず、その間にもグリーンベレーの隊員達が次から次へと射殺されていった。
この事態に渓も当惑していたが、龍の機転で死角に逃れることができた。
そう。龍はどこから狙撃されているのかわかっていたのである。
その証拠に、木々の間を差した龍の指先から500ヤード以上離れた岩場に、顔を包帯でグルグル巻きにした大男がスナイパーライフルを持って立っていた。
「ほう。私の狙撃の死角に気付いた者がいたか。ふふふ、実にいい。ようこそ異国のお客様。心よりおもてなしいたしましょう。ふふふふふ、ふはははは!」
そう言って高らかに笑うこの男、彼こそが今回のターゲット・E・Cである。
数分後。弾切れなのか誘っているのかわからないが狙撃が止むと、アレックスら生き残ったグリーンベレーは、仲間の仇を討つべく進軍した。
冷静さを欠いた彼らでは犬死には免れない。自分達はどうしようか尋ねようと龍が振り向くと、渓は手にガトリグガンを持ち、腰に手榴弾と両肩にガトリグガンの弾を装備しており、すでに臨戦態勢に入っていた。
「よし、私達も行きましょう龍君」
「は、はぁ。それはいいんですけど武石中佐。さっきあの人が言ってたことって……」
彼が気になっていたのは、アレックスが言っていた『E・Cに辱められた』という言葉である。
その言葉は真実で、彼女はあの日、E・Cに強姦されていた。そんな女性として最も深い傷をつけた相手とこれから再び対峙する彼女の心を龍は案じていたのである。
しかし、彼女は覚悟を持って前に進む。私怨などではなく、軍人としての心を胸に抱いて。
「私のことなどどうでもいい。この国を侵略の魔の手から守るのが私達軍人の責務。そのためなら私は、女を捨てて職務を全うする」
そう言って先行する渓を見た龍は、彼女に危うさを感じ、自分の仕事をしつつ彼女を守ろうと同行した。
ついに牙を剥いたE・C。
遮蔽物の多い樹海にいる敵を狙撃する技量も恐ろしいですが、彼の強さはこんなものではありません。




