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死獣神~腸の書~  作者: 天馬光
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軍隊の試験(3)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。

 そんな未来があるとは知らず、応接室に通された龍は、ソファーに座るや否や葉巻に火をつける岩男に促されて、彼の対面のソファーに腰をかけた。


「すまねぇな。一戦交えさせて。あぁでもしないと、お偉方が納得してくれなくてな」


「はぁ。ところで僕のことは……」


「あぁ心配すんな。軍人には守秘義務ってのがある。だから、素性をバラしたりはしねぇよ。それよかどうだ? 今から入隊しねぇか? お前ならいい兵士になれる」

 岩男がそう勧誘すると、渓は咳払いし、彼を諫めた。


「お言葉ですが元帥。それは……」


「おっと、こいつは失礼。無理に誘うもんじゃねぇわな。まぁ、そんぐらいお前の強さに惚れたってことだ。そんなお前に依頼したのは他でもない。人を、いや、化け物を1匹殺してほしい。何せそいつは、俺の虎の子である日本最強の陸軍精鋭部隊・出水(いずみ)中隊を壊滅させやがったんだ。武石中佐、あれを」

 岩男がそう言うと、渓は龍達の目の前で服を脱ぎ、上半身裸になった。

 無論そんなことをしたら、どこぞのスケベ男が見とれて、


「あ~やっぱ武石中佐、ナイスバディー……」

 などと言って鼻の下を伸ばすが、そこは案の定、元恋人の恋に耳を引っ張られるという罰を受けることになる。そんな彼らのことなど気にせず、渓は龍に背中を向けた。


「そいつはナメてるんだ。この国を、いや、世界をな」

 岩男がそう言うのも無理はない。彼女の背中には、ナイフの傷でこう刻まれていたのだ。

『Welcome the fool, to my empire. E・C』と。


「和訳するとな、『ようこそ愚か者よ 我が帝国へ E・C』って意味だ」


「E・C……それが今回のターゲット?」


「うん。『emperor colonel』皇帝大佐だから略してE・C。あいつはそう自称してる」

 恋や翔馬からの説明で、龍は今回の見据えるべき獲物がわかった。


「まぁ、おたくのサイトオーナーに大まかな話はしたが、そのE・Cって化け物をやってくれんか? 報酬は7000万。我が旧友・犬飼の特捜5課を追い詰め、剣菱京士郎と渡り合ったその力で奴をこの世から消してくれ」

 岩男からの依頼を承った龍は、E・Cが今、富士樹海に自身の国を作っていることと当日渓が同行することを聞き、翔馬と恋と共に応接室を出た。



 が、1つだけどうしても解せないことがあり、すぐには出発できなかった。


「てなわけで、後で小型翻訳機と柚ちゃんのコピー資料用のビデオカメラを渡すから、それらの準備が済み次第出発だ」


「うん。それはいいんだけど、なんで河合さんが僕らのことを知ってるの?」

 そうこの問題である。恋に教えたわけでもないのに、彼女が死獣神のことを知って同席していたのが謎で仕方なかったのだ。


 それを聞かれた翔馬は悪びれもせず、今回の一件のことで、同じ職場である恋にも便宜上知ってもらった方がいいと思ってバラしたことや、そのついでに零にも話していたことを包み隠さず話した。


 その口の軽さに、龍は咎める気も起こらないほど、呆れて物も言えなかっかったが、とはいえ、岩男や恋達から期待されてる以上やり遂げなければいけない。そう思った龍は帰宅すると、早速E・C殺害のための準備を始めた。

 僕の作品で度々登場する小型翻訳機。

 これは耳にはめるだけで、瞬時に自国の言葉に翻訳し、自身が話した言葉も相手の国の言葉となって伝えることができる天国製の超便利アイテム。まぁ、言ってみれば、某猫型ロボットの有名なコンニャクみたいなものです。

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