軍隊の試験(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。
兵士らはやはり身内である工藤が勝つと予想しており、賭けが成立しないほどだった。
「大佐は本気を出す気か……だが、そうしたい気持ちはわかる。こんな無意味なことに時間を割くぐらいなら、さっさと異国民共との戦争を終わらせた方がいい」
「まぁそう言うなって樫村。それに、お前の言葉を借りんなら、その異国民が戦争で混乱してるスキを突いて、人様の土地に土足で上がり込んでるんだぜ? それはそれで許せねぇだろ?」
上官である翔馬に真っ当なことを言われて、樫村はぐうの音も出なかった。
「それに、無意味かどうかは見てのお楽しみです。何せ、龍は強いですから。ね? 翔馬」
「おうよ」
その言葉が示す通り、翔馬も恋も何一つ心配などしておらず、なんなら工藤の身を案じていた。
そうとは知らない工藤は、どう料理してやろうかと考えていたが、程なくして、龍に違和感を感じた。やる気満々で戦闘態勢に入っている自分に対し、龍は最初の位置から一歩も動かず、ボーッと立っていただけだったのである。
(ん? なんだ? 何故構えない? やる気が無いのか……?)
戸惑いながらそう思った直後、彼から強烈な殺気を当てられた。自分が殺されるイメージを脳内に叩きつけられた工藤は錯乱し、一瞬にして戦意を失った。
普段の工藤を知る樫村や兵士達は、今まで見たこともない彼の取り乱す姿と結果に唖然としたが、こうなると読んでいた翔馬と恋は当然と言わんばかりに頷き、互いにハイタッチした。
と、そこへ、1人の女性を連れた男が、拍手をしながら現れた。
「いやぁ見事だ。殺気を放って屈服させるとはな。流石は死獣神のエースキラーといったところか。申し遅れた。俺は日本軍の陸軍元帥の東條岩男。んで、こっちは陸軍中佐の武石渓だ。よろしくな」
「あ、はい。こちらこそ」
「さて、腕も見せてもらったし、場所を変えて話をしようか。すまんが田中中佐と河合中尉も一緒に来てくれるか?」
そう言われて了解した翔馬と恋と一緒に、龍はビジネスの話をしに岩男についていった。
ちなみにこの一戦の後、軍人としてやっていく自信を無くした工藤は退職届を提出。以後、争いとは無縁な穏やかな生活を送ることとなった。
今回登場した樫村は、これで出番終了です。
にもかかわらず出した理由は、今後の別作品でちょくちょく登場するかもしれないからです。
(要はただの紹介というやつです)




