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最終話

「……これが3年前に起きた第二次魔神大戦となります。何か質問はありますか?」


「はい、先生!」


「何でしょうか?」


「そのお話に出てくるレイヴェルトってこの学園の生徒だったんですよね? 一体どんな人だったのですか?」


「ええ、彼は1年だけですが滞在していましたね。元学園長のシルフィード様の弟子として4年間修行していた彼は、入学当時で既に学年の中でもずば抜けていましたからね。対抗戦では本気を出して、クラス全員を1人で倒していましたし。

 後は色々な方とお付き合いしていましたね。この国の第1王女でランウォーカー王国の女王のアレクシア様やその国の宰相として働いているヘレンディーネ様。他にも各国の王女や身内ともお付き合いをしていました……おっと、時間が来ましたね。今日はここまでとしておきましょう」


 そう言って先生は教室から出て行きます。しかし、教室の中はお兄様のお話で持ち切りです。中にはお兄様を見た事がある方もいらして、その事を自慢したりしている方もいます。


「レイヴェルト様の事を聞くならフィーリアちゃんに聞いた方が良いわよ! 彼女は兄妹なのだから。フィーリアちゃん、この歴史に出てくるレイヴェルト様ってどんな人だったの!?」


 みんなの話を聞いていたら、そんな声が聞こえて来ました。その声によって皆さんが私の方を見て来ます。どんな人ですか。そうですね〜。


「お兄様は……」


「フィーリア様〜。お迎えに上がりました!」


 お兄様の事をみなさんに話そうと思ったら、教室の扉が開かれ、ミルミが入って来ました。何時もなら学園でも私の側にいてくれるのですが、今日は手続きをしなければならないため少し席を外していたのです。


「わかりました、すぐに行きます。皆さん、ごめんなさい、失礼します」


 今日は一年で一番大切な日です。早く行かないと。そう思い席を立とうとすると、私の前に影が出来ます。一体何かと思い上を見上げると


「やぁ、フィーリア。もし良かったらこれからお茶でもしないかい?」


 と、前髪をふわっ、と揺らす男の子、マイケルが立っていました。毎回毎回何かと私に話しかけてくる人です。


「いえ、私今日は用事がありますので」


 私は断って部屋を出て行こうとすると、何故か私の前に立ちます……邪魔なんですが。


「なに、そんな用事、僕のところの侍女にさせるさ。だから……」


 まだ何かマイケルは言おうとしていましたが、口を開けたまま固まります。何故なら


「邪魔ですよ。フィーリア様はこれから大切な用事があるのです。あなた程度が煩わせないでください」


 後ろからミルミがマイケルの首元に剣を当てていたからです。少しやり過ぎな気もしますが、今日は許します。私は黙って頷くマイケルを横目に教室を出ます。ミルミも私の後ろについて来ます。


「ミルミ、少し時間がかかった分を取り戻すため転移魔法を使いますよ」


「わかりました、フィーリア様!」


 ◇◇◇


 フィーリアのいなくなった教室


「な、なんだあの女は! せっかく僕が誘ったというのに!」


「あんた馬鹿じゃないの? さっきの歴史の授業寝てたの?」

 

「なにを言っている! そんなもの聞いていたに決まっているじゃないか!」


「それなら、今日はどういう日よ」


「なんだそれは? それは第二次魔神大戦が終わった日だ。だから、今日は放課後にフィーリアを誘おうと思って……」


「はぁ〜」


「な、なんだそのため息は! 舐めているのか!」


「舐めているのはあなたでしょ! 今日が魔神大戦の終戦日だったら、その日がフィーリアちゃんのお兄さんの命日でしょうが!」


「……あっ」


 そんな話があったとかなかったとか。


 ◇◇◇


 ふぅ、ようやくたどり着きましたね。久し振りのランウォーカー領です。ここにくるのも久し振りです。


 ……しかし、早いものですね。あれからもう3年が経つのですか。私もあの時のお兄様と同じ年齢になってしまいました。


 戦争が終わった後はほとんど被害のなかったレガリア帝国、ワーベスト王国の援助のおかげでどの国も早く立て直すことが出来ました。


 死者は数万人。負傷者はその倍以上はいましたが、どの国も協力する事で何とかその危機を乗り越える事が出来たのです。


 私自身も死んだと思っていたのですが、あの瞬間ファシィーが助けてくれました。そのせいで精霊王としての力を失ってしまったそうですが、一精霊として楽しむと言っていましたね。今日は一足先に来ているはずです。


「既に皆様は来ているようですよ」


「そうなのですか、それは急ぎましょう」


 私は急いで、ランウォーカー家の屋敷に入ります。今日は一年で一番大切な日、お兄様の命日です。


 今でも、あの時の絶望感が忘れられません。傷を負って気を失っていた私が気が付けば、既にお兄様はいないと聞かされた時は。


 一体何かの間違いかと何度思った事でしょうか。でも、それを目の前で見ていたアレクシアお姉様に比べたら、私は大分マシなのでしょう。


 アレクシアお姉様は、あの頃は毎日後悔していましたし。自分が目の前にいながら止められなかったと。私たち婚約者の誰かに会う度にアレクシアお姉様は謝ってきて。


 アレクシアお姉様は最近でもあの時の夢を見るそうです。いくら手を伸ばしてもお兄様に届かず、お兄様が消えていく夢を。


 そんな、私たち以上に辛い思いをしているアレクシアお姉様を、誰も責めることは出来ませんでした。


 ただ、悲しい話ばかりではありませんでした。それは


「来たわね、フィーリア。ほらフィーママが来たわよ、エレネ」


「フィーママぁ!」


 そう言って歩いて来たのは、エアリスお姉様でした。その隣で手を繋いでいるのは赤髪の少女。エレネ・ランウォーカー。お兄様とエアリスお姉様の娘になります。それから


「あら、ようやく来たわ。ほら、アレン、久し振りのフィーママよ」


「……」


 屋敷からはお母様がやってきて、隠れて手を繋ぐように歩いているのは銀髪の少年。アレン・ランウォーカーです。彼はお兄様とアレクシアお姉様の息子になります。


 私たちの大切な息子と娘です。


「アレン、エレネ、良い子にしてましたか?」


 私はしゃがんで頭を撫でてあげると、2人とも気持ち良さそうに目を細めます。ふふ、可愛いですね。


「ごめんなさいお義母様。アレンを任せっきりで」


 そんな風に2人を愛でていたら、お母様の後ろからアレクシアお姉様たちが出て来ます。3年前は腰まであった髪の毛も今では肩のところで揃えるほどしかありません。お兄様が亡くなって、アレンが生まれてからバッサリと切ってしまいました。


 今も目元が赤く腫れています。多分、泣いていたのでしょう。


「お久しぶりです、アレクシアお姉様!」


「ふふ、久し振りね、フィーリア。学園は楽しい?」


「はい!」


 そんな話をしていたら、皆さんが揃いました。ここから1時間ほど馬車に乗って魔の大地まで行きます。魔物が出る危険はありますが、ライトたちが先に行ってある程度は倒してくれているのでそれ程危険では無いでしょう。

 

 全員来て、屋敷を開けるわけにはいかないので、行くのはお父様、お母様、私、ミルミ、アレクシアお姉様、エアリスお姉様、キャロお姉様、フェリスお姉様、ヘレンお姉様、クロナ、エクラちゃん、カナお姉様、マリお姉様、プリシアお姉様、マーリン先生にハク、マイ、ロイになります。


 お父様も戦争の後にウォントお兄様に譲ってしまいました。お父様もお父様で悔やんでいるようです。


 一言も会話が無いまま目的の場所へ着いてしまいました。みんなが馬車から降りて、神殿があったと言われる空き地に行きます。この場所だけ3年間、木々が生えずにこのままになっているそうです。


「……大丈夫、アレクシア?」


「……だ、大丈夫よ」


 その空き地に近づくにつれて、アレクシアお姉様は顔を青くして辛そうです。みんなが側に寄り添ってみんなで支えます。みんなアレクシアお姉様の気持ちはわかりますから。


「うぅっ……うっ!」


 しかし、アレクシアお姉様は耐え切れず涙を流します。


「おかあさまぁ。どうしたの? どこか痛いの?」


 そのアレクシアお姉様の姿を見て、アレンは心配そうにアレクシアお姉様を見上げます。アレクシアお姉様はそわなアレンを抱き締めて


「ごめんね! ごめんね、アレン!」


「ううっ……おかあさまぁ、くるしいよぅ」


 アレクシアお姉様は涙を流しながら謝ります。その光景を見たみんなも涙を流します。うぅっ、お兄様……もう一度会いたいです。


 そんな時でした。


 ズドドドドドド!


 と、地面が揺れ始めたのです。一体何が? と、みんなで周りを警戒していると、かつて神殿があった空き地に天から一筋の光が降り注ぎます。


 みんなはアレンやエレネを囲むように武器を手に取ります。一体何が起きているのでしょうか? でも、何があろうとも2人は守ってみせます。


 そう思いながら少しずつ細まる光の柱を見ていたら、現れたのは、見たことも無いような絶世の美女でした。金髪碧眼の整った顔で、モデル体型ですらっとした足。とても際どい服をきた女性でした。


 先ほどまでの事が嘘のようにみんなが見惚れます。


「皆様、遅くなり申し訳ございません。3年もかかってしまいました」


 すると、その女性は私たちにそんな風に頭を下げてきました。私たちは訳もわからずに、その女性を見ていると、今度はその女性の隣に再び光の柱が出来ます。


 そして、現れたのが


「え……う……うそ……でしょ……えっ?」


 アレクシアお姉様は戸惑う声を出します。それもそうでしょう。私たちも驚きのあまり声を出す事が出来ませんでした。でも……


「ただいま、アレクシア。みんな」


 あぁっ……3年間ずっと求めていた声。ずっと求めていた姿。みんな再び涙を流し、そのまま走り出します。だって、だって! 私たちの愛しのお兄様が帰ってきたのですから!

これで、本編は完結します。

6月19日投稿を開始し始めて約9ヶ月ほど、なるべく毎日更新を心がけて続ける事が出来ました。

これも皆様、読んでくださる方のおかげです!


改めて、活動報告で完結のご挨拶をしたいと思いますが、本当にありがとうございました!


前までの予定では、「転生少年」が終わり次第新しい話を始めようと思っていたのですが、この終わり方でも何と無く気が付いている人はいると思いますが、後日談を書きたいと思います。


綺麗に終われたら良かったのですが、すみません皆様。もう少しお付き合い下さい。


明日はお休みしまして、土曜日から始めようかと思います。


取り敢えずは、本当にありがとうございました!

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