238.魔神大戦 最終決戦
ナノール王国
レイ視点
「行け、四神たちよ!」
バロンの号令で、俺に向かって来る四神たち。青龍、白虎、玄武、朱雀。さっき倒した朱雀まで復活してやがる。
「行くぞ、バロン」
俺も四神に向かって走り出す。それと同時に俺の周りに出現した武器を展開する。右手を横に出すと、背後から1つの武器が飛んで来て、それを掴む。
「グルゥア!」
俺に向かって腕を振り下ろして来る白虎。手の先には俺の身長程の爪が伸びていて、それで俺を切り裂こうとして来る。俺はその爪を真っ向から受け止める。
「デュランダル!」
俺は右手に持つ剣、デュランダルを振り上げ、白虎の爪へとぶつける。白虎は勢いに負けて跳ね返されるが、直ぐに体勢を立て直して、反対の手を振り下ろして来た。
地面を叩きつけるその威力は地面にクレーターが出来るほど強力な一撃だが、俺に当たらなければ意味がない。俺は既に空中に跳んで避けていた。そして左手に持つ真紅の槍を投槍する。
「穿て、ゲイボルク!」
俺がゲイボルクを投げた瞬間、ゲイボルクは幾重にも分かれて数えるのが面倒になるほどの数になり、白虎に降り注ぐ。
白虎は断末魔も上げる事なく消し飛ばした。
「ギルゥアアア!」
そこに空を飛べる青龍が飛んで来る。その後ろでは朱雀が翼をはためかせ、羽を飛ばして来る。飛んで来る羽はデュランダルで打ち落すが、その隙に近づいた青龍が、尻尾を振り下ろして来た。
デュランダルで受け止めるが、耐え切れずにそのまま地面へと叩きつけられた。背中を打ち付けられ咳き込むが、地面に這いつくばっている暇は無い。気が付けば、近くには体に蛇を巻きつけた玄武が足を振り上げて俺を踏み潰そうとしていた。
「グゥォオオオオ!」
「ちっ、潰されるかよ! ミョルニル!」
俺はデュランダルを消して、新たに右手に光り輝く大槌を召喚する。その大槌を踏み潰そうと振り下ろしてくる玄武の足にぶつける。その瞬間、玄武の足は吹き飛んで、勢いに負けてひっくり返る。
その隙を逃すわけもなく、俺は玄武の頭に向けて、ミョルニルを投げる。かなりの速度で回転しながら、ミョルニルは進み、玄武の頭、巻きつく蛇を潰し手元に戻ってくる。
頭を無くした玄武は、ズドォンと地面を揺らしながら倒れた。
「ギルゥア!」
仲間が倒されたからかは知らないが、怒りで俺に向かってくる青龍。俺は両手に剣を召喚する。
「魔剣バルムンク、魔剣グラム!」
俺に噛み付かんと向かってくる青龍を受け止めるために、両手の剣を交差させて受け止める。ちっ、なんて力だ。剣を突破される事は無いが、少しずつ後ろへ押される。
「ギルゥアアアアアアアアア!」
「負けるかぁぁぁぁあ!!」
俺は一歩前に出て、下から青龍の牙を上へと打ち上げる。その勢いに負けて、青龍は顔を逸らす。両手の剣を消して、新たに剣を召喚
「切り裂け、天羽々斬!」
鞘に入った剣、天羽々斬を一気に振り抜く。居合で振り抜かれた天羽々斬から一筋の斬撃が飛び、青龍の体を両断する。青龍はそれでも死なずに、残った上半身で突っ込んでくるが、切り裂く。
細切れになった青龍は光となって消えていった。
残るは朱雀のみ。あいつは俺にやられた記憶があるのか、無闇に近づいて来ようとしない。空中を旋回しながら炎の羽を飛ばしてくるだけ。それならそれでいい。ここから切り裂くだけだ。
俺は手に何も持たないまま、上段の構えを取る。それを見て隙を見せたと思った朱雀は一気に炎の羽を放つ。俺の視界を覆い尽くすほどの量の羽。だけど、俺はここから動かない。
理由は簡単だ。それは俺が必ず勝つからだ!
「切り裂け、エクスカリバー!」
上段から振り下ろすと、手に持つ光り輝く剣から一筋の閃光が放たれる。その閃光は視界を埋め尽くすほどだった羽を、初めから無かったかのように消しとばし、そのまま突き進む。
飛んでいた朱雀は光の奔流に巻き込まれて、そのまま消え去った。
俺はそのままバロンの方を見る。バロンは怒りに顔を染める。
「さあ、後はお前だけだぞ、バロン」
「ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな! 貴様ごときに、俺の計画を潰されてたまるか! 神域魔法、光龍転化!」
バロンが魔法を発動した瞬間、バロンの体が変わっていく。体から禍々しい瘴気が溢れ出て、腕が肥大化し、尻尾が伸びて、翼が生えた。
あれはなんと言うか龍というよりかは、悪魔だな。
「グルゥゥ! 行くぞ!」
俺に向かって走りだすバロン。さっきまでならこの威圧感、体が萎縮して動かなかっただろう。だけど今の俺なら
「負ける気がしねえな」
俺は背に大量の武器を召喚。全てをバロンに向けて放つ!
「ぬっ! 小癪な!」
バロンは飛んでくる槍、斧、剣、様々な武器を避けて弾いて、防いで行くが、それはただの武器じゃ無い。俺が思い描く最強の武器だ。当然防ぎ切る事は出来ない。
初めに槍がバロンの右腕を穿つ。バロンは槍を抜くが、その先に空から剣が降り左膝を貫く。避ける事が難しくなったバロンは、魔力で強化した腕で武器を弾いて行くが、どんどん削って行く。斧が降り落ち両翼を切り裂き、剣が突き刺さる。
「くそがぁ! 貴様! 貴様如きにこのオレガァァァ!」
「悪いな。俺にも譲れないものがあるんだよ。だからお前に世界を壊させるわけにはいかない!」
バロンは自分の力を爆発させて、刺さっていた武器が消し飛ぶ。そして、俺に向かってくる。俺は手に一筋の聖槍を出現させる。
「シネェェェ! メガミノシトヨォォォ!」
「悪いが死ぬのはお前だ! 放て、ロンゴミニアド!」
俺の手にある光り輝く槍がバロンに向けて突き進む。バロンは殴りかかってくるが、その腕を貫き、そのままバロンの胸へと突き進む。バロンの胸に刺さった瞬間、俺は一気に力を解放する。
「ガァァァァァ! ヤ、ヤメロオォォォォ! オ、オレガ、オレガ、キエルゥゥゥゥゥ! マジンデアルオレガァァァ!」
「悪いな。道連れになってもらう! はぁぁぁぁ!」
バロンに突き刺さるロンゴミニアドは光り輝き、辺り一面を光で覆い尽くす。バロンの禍々しい瘴気も覆い尽くし消してしまった。
辺りには何も無く、ただ真っ白な空間が広がるだけ。
「……終わったか」
俺はその場で座り込んでしまう。この世界に転生して14年。何気に前世よりも短かったな。しかし、前世以上に内容の濃い人生だった。
それでも思い出すのはみんなの顔だ。
アレクシア、フェリス、キャロ、エアリス、ヘレン、プリシア、エクラ、香奈、麻里、クロナ、フィーリア、マーリン。
前世ではいなかった俺の大切な人たち。みんな俺のために泣いてくれるんだろうな。寂しい思いをさせてしまうかもしれない。それだけは申し訳ない。
だけど、元気に生きて欲しい。俺の分も。これから生まれる命のためにも。
「……体の感覚が無くなってきた」
俺は座っている事も出来ずに多分寝転んだ状態のはずだ。もう上下左右という感覚も無い。前世では感じる暇も無かったけど、これが死ぬという感覚かな? でも
「案外、悪く無いな」
最後に笑いながら死ねるのだから……
◇◇◇
ナノール王国
ジーク視点
「うおっ! マルコ、ライト、大丈夫か!?」
「つっ、はい、大丈夫です父上」
「私もです」
ここは……外か? 俺とマルコとライトが魔兵と戦っていたら突然床が光り出して飛ばされたと思ったら神殿の外に飛ばされちまった。これも何らかの罠なのか?
そう思って辺りを見回していたら、目の前の地面が光りだす。俺とマルコとライトが構えて見ていると現れたのは
「一体何だったんだい、今のは?」
「学園長!」
「おや、ジークにマルコ、それからライトじゃ無いか。どうしてここに?」
シルフィード学園長だった。どうやら学園長も外に飛ばされたらしい。しかし一体誰が? そしてもう1つ魔法陣が現れる。そこから現れたのは
「レイ! レイ!」
アレクシア王女だった。左右には確かレイの精霊のヒカリンとマリリンがいる。ただ様子がおかしい。3人とも涙を流していた。
「アレクシア、一体何があったんだい?」
「……ししょぉ……レイが……レイがぁ……」
学園長がアレクシア王女に何があったのか尋ねるが、アレクシア王女は学園長に抱きついて涙を流すだけ。そしてその瞬間
「なっ!」
目の前にあった神殿が消えてしまった。神殿があった場所は切り取られたかのように消えてしまったのだ。そして、ここにレイがいない事。アレクシア王女が涙を流している事でわかってしまった。
レイが神殿に残った事を。どういう力を使ったかはわからないが、神殿が消えたのもレイの仕業だろう。
……あの馬鹿野郎。
辺りにはアレクシア王女の泣く声が響いた。
◇◇◇
第二次魔神大戦
数万の死者と、その倍以上の負傷者でこの戦争は幕を閉じた。
歴史に残る世界を巻き込んだ戦争が終結して、それから3年の月日が経った。
次話で完結します。




