第二章①~冒険?編~
016_第二章①~冒険?編~
~引っ越しする?~
【ミユカメ工房】を開いて1ヶ月余り。
ミユカメ工房はさらに拠点レベルを上げて、もはや「辺境伯邸ですか?」の屋敷へと変貌していた。
広い玄関ホールに立派なキッチンと食堂、大勢がくつろげる広間、十五の寝室、大浴場にサウナと露天風呂。
「何?この庭ッ!」
工房の前に広がる、完璧に左右対称に整えられた美しい庭園。中央には巨大な噴水が水を噴き上げ、見たこともない異世界の花々が咲き誇っている。
「隠蔽の魔道具っと。」
早い段階で隠蔽の魔道具を設置していたので、客に気付かれる心配は無いのだけど。
「ねぇ、エド……ここにいるの疲れるんだけど……」
「え?なんで?お風呂めちゃくちゃ豪華で素敵じゃん♪」
「そーれーをーだーれーが掃除するのかなー?」
「ミユカメ!」
「…………はーい!エドくーーん!拠点をニート湖のクランハウスへとー変更しますよーーー!」
「えー?やだー。」
「では、掃除手伝ってくれると?」
「それ、もっと嫌。」
「では、拠点変えますね。店のバックヤードへゲート移動させますよ?」
俺は工房に設置されていたゲートをバックヤードへと移し、「錬金釜」と「炉」と「ベッド」をエドのアイエムボックスでクランハウスへ持っていく事にした。
【クランハウス江戸屋】
「ふぅ。引っ越し完了っと。AIWatch、拠点に誰か来たら通知くるようにしといてくれる?」
「設定シマシタ。ですが、こちらはゲートで繋がってイマスのでデキマス。遠征へ出られると厳しいかとオモワレマス。」
「……なるほど。」
「ミユカメ!上に誰かいるみたい!」
ガタガタガタガタ
「魔素サーチ起動。」
「エド、白い丸だよ。魔物では無さそう。」
「俺、ちょっと見てくるね!」
女神像の前に……踊ってる?老人が1人。
「Yo!ヘイヨォーー!俺たちの拠点!俺たちのクランハウス!江戸屋ァーー!ヘイヨォーー!江戸屋ァーー!」
「そのラップっぽいの……もしかして?Hot-Ice?Hot-Iceもファンタジアに来てたんだ!」
「で、で、出たーァア!魔物ォオオ!ホイ!ホイ!ソレっ!ホイ!ホイ!」
「Hot-Ice?ソレ、攻撃してるつもり?(笑)」
「私のこのホットでアイスなネームを呼ぶのは??その金髪イケメン!その腰の剣!!」
「お゛ま゛え゛ーーーゆうじゃぁでどわーどがァァア!」
泣きながら叫ぶ、ホットなアイス。言葉になってねぇ(笑)
エドは泣き叫び突然笑い出すホットなアイスをなんとか宥めて地下の幸の所へと連れていく。
「ええええ!?Hot-Iceさんなの?え?え?」
「ねぇミユカメびっくりするよねぇ。Hot-Iceさんのアバターめっちゃ若者ラッパーだったじゃん?」
「ん?ワタシ?私のこと?アバターは自由じゃないのー!?ってミユカメ??ミユカメだーのーー?ミユカメぇええええ!グワーーンウワーーーン!」
「ご老人また泣いちゃったよ(笑)」
俺たちはソファに腰掛け。このご老人?もとい、Hot-Iceの話をゆっくりと聞くことにした。
ゲーム時代、既に60代半ばの年齢であったこと、若者に混ざるために必死で若者文化を勉強?していたこと。老衰で亡くなった後に【創造の部屋】で1度だけ、1度だけでいいからあの頃に戻れるか聞いたこと。戻れはしないが「ファンタジア」が異世界として存在していることを聞いたそうだ。
「ワタシ、私、必死だったんだぞ?異世界へ冒険者として転生させてもらったは良いが……」
「錬金術のスキルが存在しなったんだね?」
「基礎ステータスはそれなりにあったのでね、死ぬことは無かったんだけどね……目的をね、目標をね……」
俺たちは言葉を失いかけていた……
「Yo!ヘイヨォーー!俺たちの拠点!俺たちのクランハウス!江戸屋ァーー!ヘイヨォーー!江戸屋ァーー!があったんだ……あった……」
「うんうん……あったね。あったね。良かったね。」
「また会えたね!」
「錬金術を失ったワタシ、私に何が出来るのだろうね……」
『また、見つければいいじゃない!』
俺は少しだけ考えてしまっていた。
転生者は一部の例外はあるにしろ「亡くなった年齢」で固定される。
年老いて亡くなった者のほとんどが輪廻へと還るこの世界。
そんな世界へたった1人。1人でやってきたHot-Ice。
どれほど心細く、どれほどの不安の中ここへとたどり着いたのだろうか……と。
「ワタシ、私、ここに、いて、いいのかな?」
『もちろん!仲間じゃない!』
3人で冒険するのも悪くないね。
エドは
「ねーHot-Iceって家事出来るの~?」
江戸屋の切実な人材不足を早速Hot-Iceにぶつけたんだけどね(笑)




