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41.結果が同じなら飲み込みましょう

 いくつもの白い柱が立ち並び、帝国の貴色である緑と豊かさの象徴である金が装飾されている。そして各所にオアシスから流れ出た水が川となり涼しい。

 ここは大抵の成人した貴族なら一度は、訪れたことがある皇城だった。


「話が早すぎるわ。婚約の承認を貰えないと困るのだけれど」


 元から婚約させるつもりでまとめていたのか、本当にナルソスが皇帝に働きかけたというのか。


「この際方向性が同じなら些事ですよ」


 エイダーが、やや緊張した面持ちで言い切る。


「そうね」


 それに二つの大きな情報を得られている。一つは、皇帝の座を得るために反乱を起こすつもりであること。二つ目は、港の重要性に気がついていること。今後の帝国で起こる嵐の元になる。


「アフェクシオン侯爵、シュルプリーズ令嬢面会許可がでた入れ」


 皇帝の謁見室の紗が護衛達により持ち上げられ、奥の部屋が見えた。皇帝は、一段上の台座に座り退屈そうにエルメスたちを見ていた。礼儀に則り皇帝の前に膝を折った。

 皇帝の言葉があるまで顔を上げられなので待った。


「アフェクシオン侯爵、最後にあったのは何時だっただろうな」

「侯爵位を賜った時でしょうか。その後、縁者がいないため領地に籠もっておりました」

「周りが使えないものばかりというのも考えものだな。アフェクシオンへ移住を考える者がいれば勧めてもよいぞ」


 顔を見れていないものの、アフェクシオンを馬鹿にしているとも手のものを遣わせるともとれる内容だ。呼ばれていないエルメスが発言出来なかった。


「心配りありがとうございます。ですが前より改善されてきています。だからこそ今回婚約となりました」

「ふむ、そういえば許していなかったな。面を上げよ」


 人に対して偏見を持たず欲するものを考えると、義兄のグッチが亡き両親に教わったこと。しかし皇帝に対して意地の悪い、人を見下すことに長けた人物と思ってしまう。顔を上げたエルメスを舐め回すように見るのが不快だった。


「寛大な心でもって婚約を許そうではないか。この時期にいるのだから例年と違い新年の祝いに出席するんだ」

「偉大な皇帝の御心のままに」




 帰り道では婚約が認める旨が書かれた書簡に安堵しつつ、皇帝の心意が測りかねて困惑していた。


「緊張しましたよね」

「歓迎はされていないようでしたわね。それに新年の祝いに出席を促すなんて。いったい何を考えているのでしょう」


 エイダーは、珍しく足を組み考え込む。エルメスの方でも色々調べる必要がありそうだ。


「嫌がらせをするためでしょうがそれのためだけとは思えません。何か他の思惑もありそうですが領地に籠もっていたので伝手があまり」

「そういうことなら私にお任せくださいませ。私は貴族女性で商人でもありますもの。うふふ」

「なんだかやる気になっていますが危険なことはしませんよね」

「しませんわ。お茶会を開こうと思いますの。元々侯爵領のものを売り込むために企画しておりましたの」


 侯爵領で暮らして気がついたのだがよいものがあるのにそれを発信する力が弱い。侯爵領の発展と地位向上は、アフェクシオン家を存続させるためにも必須だろう。力がない家をあの皇帝とナルソスがそのままにするとは思えない。


「そんなことを企画してくれていたのですか」

「まだまだ色々考えていますのよ。ずっと共にいてくださるのでしょう? あなたとならいくらでも頑張れそうなのですわ」

「元気になってくれてよかったと思いますが僕との時間をとってくださいね。僕とエルメスは、家族になるんですから」


 屋敷に着いたようで馬車が止まった。二人で外に出るとおめでとうございますと声をかけられて花びらがひらひらかけられる。嬉しさと驚きで足が止まった。


「エイダー様、エルメス様。ご婚約おめでとうございます。元々本日は、お食事を豪勢にと伺っておりました。しかしさらにお祝いをさせていただきたく準備をしておりました」


 オンラードが花まみれになりながら話し続けた。


「離れていても旦那様が、頑張ってきたことを知っておりました。ですので皆で企画したのです」

「とても嬉しい。ふふっ、もう結婚しちゃったみたいだわ。ねぇ、エイダー。エイダー?」

「…胸がいっぱいで」


 エイダーは、目を押さえていた。エルメスが下げられたままのエイダーの手をとると強く握られたのだった。


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