負けヒロインの両親と俺の両親と、時々デート
「偶然だな、水瀬。もう、こっちに来てたのか?」
俺はこの偶然に驚き軽く目を見開きながらも、水瀬に返事を返した。
「ううん、私は今日引っ越して来たんだよ。今は一段落して家族でご飯食べに来たって感じ」
「へぇ、じゃあ俺と殆ど同じだな。俺はこの後色々買いに行かないといけないけどな」
「私もこの後、生活必需品と食品買わないといけないんだ。意外とやること多いよね、引越しって」
「まぁ、大体二日三日かけて終わらすものだからな、頑張るしかない」
そう言うと、俺達はお互いにこれからのことを想像し小さく溜息を吐き、その後それがおかしくって笑った。
「相変わらず妙なところで息が合うな?」
「ふふっ、私は嬉しいよ。好きな人と楽しいことが共有できて」
「///本当に、水瀬容赦ないな」
俺は自身が恥ずかしいのを誤魔化すように、ドリンクバーにコップを置きボタンを置く。
「えへへ、湊川君照れてる。クラス会の日に言ったでしょ?覚悟してねって、えい」
水瀬は掛け声と共に俺の背中に抱きついた。
「ちょっ!?ここは公共の場だぞ!」
「そんなの知ってるよ〜。だけど湊川君に会えたから嬉しくって。それにこれは湊川君から元気をもらっているんだよ?この後の引越し作業を頑張れるように」
「〜〜///!って、そんな服装でこの後作業あるわけないだろうが!離れろ、マジでばずい」
俺は突然の出来事に頭が回らなくなっていたが、水瀬の服装を見て引越しは業者に頼んでいるのだと分かり、彼女の言い分を封殺する。
「あははっ、わかったよ!今のところはこれくらいにしといてあげる。でも、この後からは覚悟しといてよね?」
「えっ?どういうことだ」
俺は彼女の発言の意味がよく分からず、疑問を漏らす。
「さぁ、どういうことでしょう?」
水瀬はそんな俺を揶揄うのが楽しいのか、悪戯っ子のような笑みを浮かべジュースを入れたコップを持ってこの場を立ち去った。
「まじ、どゆこと?」
ポツンとこの場に取り残された俺は、ただただ意味がわからず首を傾げるのだった。
◇
「なるほど、こういうことね」
「そっ、さっき言ってたのはこういうことだよ。湊川君」
数十分後、目の前に広がっている光景を見て何故水瀬がああ言ったのか理解した俺は、そういやそうだったなと納得した。
「いやぁ、まさかお互いの子供が同じ大学に進学しているなんて思いませんでしたわ」
「そうーねー、私もあの時はそんなこと全く思いませんでした!」
「そちらの息子さんに多大なご迷惑をお掛けしました。申し訳ない」
「いやいや、息子はもう気にしてないですしそんな頭何て下げなくても……そちらが迷惑をかけたと思っているならそれだけで。さっ、とりあえずこの話はおしまい。協力してお互いの子供達のために動きましょう?」
目の前で我が両親と水瀬の両親が会話をしている。
何故こんなことになったかというと、水瀬の両親が卒業式の時に勘違いをしたままで水瀬を傷つけてしまったことを悔やんでいたらしい。そして、その傷を癒した俺に対してかなりの恩を感じていたようで、何らかの形でお礼をしたいと卒業式に意気投合した俺の両親に相談していたらしく、その相談中に俺達が同じ大学に進学することが判明。なら、お礼として引越しの手伝いをしてくれないか、と俺の両親が提案したことで現在こうなっている。
「じゃっ!お母さん私たちあっちの方で色々見てくるねー!さっ、行こ湊川君」
「おっ、おう」
「ふふっ♪湊川君とデート♪湊川君とデート♪」
おい、やめろ水瀬可愛すぎて俺の脳が処理が追い付かん!後デートって意識しちゃうんでデートって言うの辞めてもらっていいっすか。めっちゃ恥ずかしいんですけど!?
そんなわけで、新天地に来てそうそう俺は水瀬とデートをすることになった。
どうやら、二度目の恋をした負けヒロインは運命の神様に愛されてるいるようだ。
新天地いきなりヒロインは攻め攻めです。
次回もお楽しみに




