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引越しと偶々


 ガタガタと、車の後ろに積まれている荷物が揺れ、いつ崩壊するのかとヒヤヒヤしている俺は現在引越しのために家族と車で高速を移動中だ。

業者に頼む人も多いが、俺の家から持っていくものはマンガやラノベと本棚。家庭用ゲーム機が二台、後は服と衣装ケース、食器や調理器具くらいで家族全員で運べる量しかない。

冷蔵庫やテレビなどの大型の家電は、明日に届けてもらい設置してもらうし、食器棚も設備として付いているため本当に楽な引越しである。

ただ、唯一不満があるとするなら………


「……酔った」


そう、電車やフェリー、バスと言った交通期間は大丈夫なのだが、飛行機、新幹線、車のような長い間密閉空間にいると俺は酔う。後、特に新幹線や飛行機は空気が淀みすぎてるので乗って10分くらいで酔う。あれらに乗っている時ほど切に窓開けさせて欲しいと思ったことはない、まぁしたら色々大惨事になるけど。


「あははっ、相変わらず奏は車に弱いな!運転してる時は大丈夫なのに」


うっせえ、俺が代わりに運転したろうか?乗り物げき弱親父。


「そういう貴方も運転しなかったら、しょっちゅう酔ってるでしょ?奏窓の外の景色でも見てたら少しはマシになるわよ、後こまめに飲み物飲んでなさい」


「………りょーかい」


母さんからの有り難い言葉を受け、俺は大人しく窓の外を眺める。

引越しシーズンなため周りには引越し業者のトラックが多く見られ、車も平日なのに少し多めでたまに短い渋滞に陥るほどだ。周りは特に何にも山、山、山、高速を通っているのだから当たり前だが景色はあまり変わり映えしない。

ただ、将来俺はこの辺で生活すると思うと少しワクワクする。まぁ、四年後の話なんだけど。


「それにしても、もう奏が一人暮らしかー。時間が過ぎるのは早いなぁ」


「えぇ、本当ミルクをあげてたのが昨日のようだもの、本当子供の成長は早いわね」


「そういうのは、もうちょっと先に言うことじゃない?父さん、母さん」


感慨にふけるのはえぇよ。前世の親もそうだが子供の独り立ちの時やたら過去の話をしたがる。

まぁ、一人息子が親元を離れ寂しいのは分かるが過去の赤裸々な話を掘り起こされるのは勘弁願いたい。

嫌な話は、聞かないことにした俺はショルダーバッグからイヤホンを取り出し耳に装着、スマホを操作して最近ハマっているアーティストの曲を流し、早く目的地に着かねぇかなと頬杖をつきながら思うのだった。


















「……ようやく着いた…」


目的地に着いた俺は、早々に車を出て外の新鮮な空気を吸う


「ほら、シャッキとしなさい今から大家さんに会うんだから」


「うぃー」


その後、なんとか気合を入れて愛想笑いを浮かべながら大家さんと軽い話をした我が家族は再び車に乗り、俺の住む場所に向かった。


築21年のそこそこ新しめのアパートで間取りは2LDKと学生が住むには明らかに広過ぎる。

選ぶ時に別に、こんなに広くなくてもいいと親には言ったのだが、結構こちらに仕事で来ることが多いため二つ部屋があると心置きなく泊まったりできるだろと言われ押し切られた。

まぁ、家賃は5万と高めの部類だが親が中々に稼いでいるおかげか学費も家賃もその他諸々の生活費も払ってくれるらしい。これもそこまでしてもらうわけにはいかないと言ったのだが、こちらに度々来るので食費や家賃を払うのは結局自分たちのために使うことになるから気にしなくてもいいし、今まであまり親らしいことをしてこなかったため、これくらいはさせて欲しいと言われれば折れるしかなかった。

遊ぶためのお金は自分で稼いでくれと言われているが、生活費が家賃分を抜いても8万もあるので全然余裕で余るのだ。まぁ、貯金をするつもりなのでそんなに使う気はないが充分過ぎる量だ。

早めにバイトをして、卒業する時にまとめて返そうと思っている。


「本当に良かったのか?こんな良い場所住まわせてもらって?」


「ずっと言ってるだろ?奏。俺達はお前が家の家事全般を小学校の高学年の頃から任せっぱなしで、お前が起きてる時間には殆ど帰って来られなかったんだ。ここ数年は母さんも早く帰れて家事をしているが、俺は何もしてやれてなかったからな。これくらいしないと格好がつかん。まぁ、8年分のお駄賃だと思え」


「そうよ、私たちが今こうやって元気に生活出来ているのは貴方のおかげなの。だから受け取って奏」


そんな素直に感謝の気持ちを告げられると困る。俺は恥ずかしくって部屋に荷物を一人運ぶのだった。


「本当にすまないな、奏。俺たちのために今まで」


「えぇ、本当にごめんなさい。貴方にはもっと華やかな青春を送って欲しかったのに、私たちのせいで」


奏の親である海斗、琴葉は彼の背中を眺め泣きそうな顔で謝るのだった。彼が抱えているダンボールに入っているある物を想像しながら。



「よし、これでおしまいかな?他に運んでない物もうないよな父さん」


荷解きも全て終わり父さんにもう物がないかを聞いた。


「ああ、全部運んだよ。それじゃあ、他の必需品を買うのも兼ねて昼飯に行こうか」


「何にしようかしらねぇ〜」


もう今できることはないみたいなので、とりあえず早めの昼飯を食べることになった。


そして、やって来ましたココズ。ここはフライドポテトが絶品である!大切なことなので何度でも言うフライドポテトが絶品である。他の料理は値段が高めで普段は食べないが、この機会に旨そうな物でも頼んでみよう。包み焼きハンバーグとか、食ったことがないので食べようかな。いっつも、ビーフハンバーグステーキだったし。

そして、包み焼きハンバーグのご飯のドリンクバー付きのセットを三つに、山盛りポテトを頼んだ。


ドリンクバーの飲み物を取りに行くと、そこには………


「あっ、……偶然だね!湊川君」


ドリンクバーのグラスを持っている青を基調としたチェックのブラウスに白のフレアスカートに身を包んだ超絶美人の水瀬が居た。











お隣の挨拶で会うと思ったか!残念、普通に会います。


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