負けヒロインは止まらない
「わぁぉ!ことちゃん大胆」
「流石に、私もこれは想定外だわ」
「ミナ!お前羨ましいぞ!」
「水瀬がこんなに積極的だとは思わなかったな」
シャッターが切られた後、水瀬の行動に対して皆んな一様に驚きの声を上げていた。
そりゃ、そうだろう。俺だって好意を持たれていることに気がついたのはつい先程なのに、こんなことをしてくるとは誰も思わない。
俺はキスされた頬を片手で抑え、恥ずかしいやら、嬉しいやら、どう表現したらいいのか分からない感情の中顔を真っ赤に染め苦笑いをしていた。
水瀬の方も、先程のキスで力を使い切ったのだろうか俺と同じく顔を真っ赤に染めていた。
だけど、彼女の瞳はしっかりと俺の方を見ていていかに自分が本気かを伝えてくる。
「あのさ、水瀬俺……」
だから、俺もと思い返事を言おうとしたが、それは水瀬に阻まれた。
「ううん、今は返事しなくていいよ湊川くん。これは私が過去を乗り越えるための行動であり、これからの決意を表す告白だから、まだ……」
「そ、そうか」
「でもね、私決めたんだ。今度は誰にも負けないくらい湊川くんにアタックするって。だから覚悟しててね♪」
そう言った水瀬は、俺の腕を抱き寄せ、その豊満なお胸様の中に俺の手を埋めさせる。
流石、作中最高値の96のお胸様柔らかくて大きくて俺の腕を埋めるだけでなく腹の右腹辺りまで届いている。
しかも水瀬は、俺の肩に自身の頭を乗せ、えへへと可愛くはにかんでいる。
可愛すぎんだろ!と内心叫びながら俺は頰に当てていた手で目を隠し天を仰いだ。
「あー、うん。今物凄く痛感してる。でもお手柔らかに頼むよ。これ以上のことをされたら身が持たなさそうだ」
「ふふっ、それは無理な相談だね。走り出した私を止めることは誰にも出来ないから」
「卓球みたいにか?」
「それ以上だね。だって卓球は湊川くんに止められちゃうけど、この気持ちは君にだって止められないから」
それを聞いた俺は、どうやら眠れる獅子を目覚めさしてしまったようだと今更ながらに気付いた。
「ヒューヒュー!いいぞことちゃんもっとやれ!」
「ミナ、そこは男らしく答えんかい!『俺もだ』ってな」
「アンタら……もう少し空気を読みなさいよ」
「まぁ、仕方ないだろう。次のクラスの奴らが待ってるからな。ここでいつまでもイチャイチャされても困る」
間宮達の冷やかしにより、ようやく周りの状況に気が付いた水瀬は顔をより赤く染めながら俺を引っ張ってその場を離れるのだった。
どうやら、俺には止まらないだけで間宮のような空気の読めない奴には、彼女は止められてしまうようだ。
まぁ、俺もそろそろヤバいなぁと思ってたので間宮達の声は、渡りに船だった。クラスの奴らだけでなく他クラスの男どもからの嫉妬の視線が痛いから、この場を早く離れたかったのだ。
後日どうなるかは知らん。そん時の俺はに期待だ。
◇
そうして、俺たちのクラス会は終わった。何とも驚きの出来事ばかりで、電車に乗っている今でもあの出来事が本当なのか疑ってしまうほどだ。
だが、俺に身体を預けスヤスヤと眠っている水瀬を見ると本当なんだと思わされる。
俺たちの出会いは、高校一年の時だがあの時はまさか彼女とこんな関係になるとは思いもしなかった。
けれど、卒業式の日に保健室で話して、親や主人公に勘違いを解いたり、卓球をしたり本当に濃密な時間を過ごした。
だけどこの時間は余りにも短い。
前世の記憶を得たことで生まれた、価値観の相違。過去の自分との決別をするためにはこの期間は余りにも。
「………大好きだよ、湊川君」
夢の中でまで俺に告白とは、本当に君は。
「俺も………」
俺も君のようにこの先を言えたらいいのに。
と思いながらも俺は窓の外に映る暗く先の見えないトンネルを眺めるだった。
さて、此処で第一部的なのは終わりです。
次回から舞台は大学へ!
の前に、引越し編があります。そちらをお楽しみに




