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負けヒロインと集合写真

遅くなりやした。

今度から夕方投稿に変えます。


 初あーんを体験した俺は、その後羞恥に身を悶えさせながらも残りのアイスを食べ切り、バイキングの会場を一人後にした。


「……空気に呑まれるとかあり得ないだろ?……俺」


そういってバッグの中に入れていた。もう一本のジュースを取り出し開けて飲む。それを飲んで口を離すと思わず溜息を溢す。

普段の俺ならあーんを受け入れるという選択肢をまず取らない。何より水瀬が無理をしてやっていたのは明白だった。

彼女が望んで自身を変えようとしているのは分かっている、何より()()()()()()()()()()()

だが、それを理解した上で言う早過ぎると。

そう思っていたのに、何故か俺は断ることが出来なかった。

あの時のことを振り返っても未だに自分のことが分からない。

いや、本当はもう答えは分かっている。だが、それを前世の記憶が邪魔をするのだ。お前には無理だと、釣り合わないと。何よりお前にそんな資格はないと囁いてくる。

だから、俺は踏み出せない。彼女の背中を応援することはあっても隣に立つことは、今の俺には。


ブッー、ブッー!


俺はその音の発信源であるスマホを取り出し、届いたメッセージを見た。

有馬や加藤、水瀬から会場に見当たらないが今どこにいるのか?そろそろ集合写真を撮るから戻ってこいという内容のものだった。


「どうしたら俺は…………良いんだろうな……」


誰に向けるでもなく発した俺の言葉は夜の街の喧騒に溶けていくのだった。













「悪い!ちょっと親から電話がきて話してた」


俺は、適当な言い訳をしつつ加藤達の元に戻ってきた。


「お前が突然ふらっと消えるから心配したんだぞ?ミナ罰としてお前帰りの電車賃はお前持ちな」


そう言った有馬の顔は全然心配しているように見えなかった。


「わーったよ、それより集合写真はどこで撮るんだ?」


だが面倒をかけたのは本当なので大人しく従う。そして、辺りにクラスの奴らが集まってないのを確認して俺は加藤に質問した。


「今店の前で三組が撮ってるだろ。あそこでクラス順に撮るらしい」


「じゃあ、ギリギリ間に合ったわけか」


と俺がほっ、と安堵の息をもらす。


「本当ギリギリだけどな」


加藤はそう言って冷ややかな目を向けてくる。


「はーいじゃあ次のクラスの人集まってくださーいー!」


「おっ、今から撮るみたいださっさと行こうぜ加藤、有馬」


俺は加藤からの送られる視線を逃げるように写真撮影をしている先生の元に向かった。





「俺らどの辺に入る?」


いざ写真撮影をするとなるとどこに映るのかというは気になってしまう。そんなわけで友人達に意見を仰ぐと返ってきたのは


「そんなの決まってるだろ!俺たちは今日の主役だ!ど真ん中に決まってるだろ」 


という有馬らしい答えだった。


「俺は遠慮「いくぞ!カト、ミナ」ぐはぁっ!ちょっ有馬タイム首、首!締まってる」


加藤は基本的に目立つのが嫌いなので端の方に行こうとしていたが、有馬に連行されていた。

俺はその二人の後を追いかけ、真ん中の中段に入った。



「ことちゃん、花凛ちゃん私達どこで映ろっか?」


「私は別に何処でも良いわよ?けどまぁ、どうせなら真ん中なんてどうかしら?」


「///私は何処でも良いよ?」


間宮達が写真撮影の場所に到着したようで、何処で映るのか話し合っているのが聞こえた。


そして、案の定有馬が間宮達を見つけるとこっちに来いよー!と呼んだため、間宮達は俺たちがいる場所の下段に来た。


「み、湊川くん間に合ったんだね?良かった」


加藤の位置に黒瀬、有馬の位置に間宮とくれば、残る水瀬は俺の前に座る。そして、後ろを向いて水瀬は俺が間に合ったことを安堵していた。


「ああ、ちょっと親から電話が来て外に出てたんだ。心配かけたな」


「そうなんだ……避けられたわけじゃないんだ、良かった」


「ん?何か言ったか」


「い、いや何でもないよ!?」


水瀬は俺が小声に反応したので、驚き何でもないと手を振って誤魔化した。

まぁ、何を言っていたかはおおよそ検討が付くのだが、生憎今の俺は自分のことで手一杯だ。彼女の気持ちに応えるのはまだ先になるだろう。それがいつになるかは分からないが。


「はーい、じゃあ皆さん位置についたようなので写真を撮りますよー!まず1枚目普通に」


カシャっ!そう言った先生はシャッターをすぐ切り普通の集合写真を撮る。


「そして次は、ポーズ取ってください!」


ここは、無難にピースとかでいいだろうと思い片手でピースをし、映る。



「最後にもう一枚、好きなポーズで!」


いや、もうピースしかネタが無いんだが。どうするんだよ。と俺がどうしようかな迷っていると不意に前から手を引かれ、俺は少し体勢を崩した。


そして、チュッと頬に柔らかな唇の感触を感じた、タイミングでシャッターが切られた音が響く。


どうやら、負けヒロインは俺に悩む時間を与えてはくれないようだ。

















一度吹っ切れた女は強い。リアルは知らんけど

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