負けヒロインとクラス会 5
「よし!ターキー達成だ」
「凄いよ!湊川君。イェーイ!」
一巡目に水瀬とハイタッチしてからというもの彼女は俺がストライクを取ると真っ先に褒めて、ハイタッチをしてくる。
しかも、水瀬は自分がスペアやストライクを取った場合も真っ先に俺の元に来るようになった。
彼女が純粋楽しんでいるのだから、何も悪くはないんだが今日の距離感は少しおかしい。
彼女の中で何か変化があったのは察することが出来た。しかし、それが良い変化なのか悪い変化なのかは分からない。
ただ、俺には彼女が無理をしているようにも見えた。
だから、俺はつい水瀬のことが心配で彼女に視線を向けてしまう。
無理をして変えたとして、それが最善だとは限らないと俺は知っているから、彼女には俺のような失敗をして欲しくないと思った。
「ミナ、急にボーっとしてどうしたんだ。考えことか?それとも、水瀬に見惚れてたのか?」
俺が水瀬に目を向けて考えていると、暇なのだろう有馬は俺をいじってくる。
「あぁ、まぁそんなとこだ」
しかし、見ていたこと自体は間違いではないので俺が正直に答えると
「…ッツウ///!」
ガタンっ、水瀬が放ったボールは投げる途中で手元が狂ったのか投げてすぐにガーターに落ちた。
「ドンマイ、水瀬。次頑張ろうぜ」
「う、うにゅ///」
やはり、彼女の様子がおかしいな本当に大丈夫なのだろうか?。返事も噛んでたし
(ここは友人の黒瀬にでも聞いてみるか、何か分かるかも知れないしな)
「黒瀬、今日の水瀬なんか変じゃないか?」
「………そんことないんじゃないかしら。ねぇ、レイ?」
「うん、普通普通。シンプルイズベスト?平常運転?情緒不安定?とりあえずいつも通りだよ」
「何か変なの混ざってるわよ、レイ。そう言うことだから私達から見て特に変なところはないわね」
黒瀬達から見て、違和感を感じていないのなら俺の思い過ごしの可能性が高いな。
「そうか、悪いな。急に変な質問して」
俺は知りたいことが知れたので、黒瀬との会話を止めることを伝えるためドリンクに手を付けた。
花凛『……何とか誤魔化せたわね』
レイ『花凛ちゃん、あの変な間は危なかったよ。それに比べて私は完璧だったね!』
花凛『いや、急に話振られて適当に返してるでしょ!?』
黒瀬と間宮の二人ともは俺との会話が終わるとすぐにスマホを取り出して弄り始めたので、本当に気にするようなことではないのだろうな。
ガコンッ、と音がしたので俺はボールを投げている水瀬の方を向くとピンを全部倒してスペアをとっていた。
「一回ミスしたけど、何とかスペアが取れてよかったよ」
「ナイス、スペア水瀬」
そう言って俺はこちらに戻ってきた水瀬に向かって手を上げハイタッチをする。
「ナイス、スペア小鳥」
「うん。流石〜ことちゃん私のライバルだけあるね」
「ナイス水瀬」
「イェーイ、察すが水瀬さん連続でスペアだな」
そうして、黒瀬達ともハイタッチをし終えると水瀬は席につき顔をパタパタと扇ぐとドリンクを飲みクールダウンしていた。
「よし、じゃあ次はあたしの番だね!ここはライバルとして良いとこ見せないとね」
「頑張れー、レイちゃん」
「間宮ファイトー」
「頑張れ」
「レイ、ストライクよー」
「ファイトだ、間宮」
次の番である間宮がウキウキでボールを取りに行くのを、俺達は応援して、俺は杞憂だろうなと考えてこのメンバーでわいわいとボーリングを楽しむのだった。
◇
「優勝のチームは…………………ドゥルドゥルドゥルドゥル」
セルフBGMなんだ。まぁ、一応貸切とはいえ楽器とか借スピーカーを借りれるわけないし当たり前か。
「デン!湊川君と水瀬さんがリーダーの五番チームです」
「うおぉぉぉーーーーやったぜ!」
「やった、やったね、花凛ちゃん、ことちゃん!」
「当然だな」
「ふふっ、私のラストの二回連続ストライクが効いたのかしらね」
俺達はまさか優勝できると思っていなかったため、テンションが爆上がり、口数が少ない加藤も口角がかなり上がっている。
「やったーーー湊川くん、優勝だよ!」
「あぁ、ッツ!」
俺は水瀬の声が聞こえたので振り返ったら、彼女が突っ込んできて何とか受け止める。
水瀬は余程嬉しいのだろう、俺に抱きついて上目遣いで満面の笑みを浮かべている。
嬉しいのは分かるんですけどね。ただですねー、ちょっとそのけしからんものを押し付けないでもらえるとありがたいんですけどー!
息子が!息子よ静まれーーー!
「それでは、優勝したチームの皆さんには優勝商品としてこの後の、バイキングの料金はタダになります!はい、それでは皆さん優勝したチームに拍手!」
あっ金欠なんで、地味に助かります。でも、もう少し良いの期待してたんだけど……すいません生意気言いました。
水瀬に抱きつかれてるんだから、それが何よりの景品だ。
彼女の身体はどこも柔らかくてドキドキして、彼女に俺の鼓動が聞こえていないか不安である。
「………ふふっ、湊川君の鼓動も早くなってるね」
自身のことに気を取られているには、彼女が溢した呟きは届かなかった。
おっぺえは最強




