第三話 『輪廻の神』
「どう?ノクスちゃん何か言ってる?」
「いえ、特に何も…」
大分無理矢理だったから拗ねちゃったのかな。
【なんだと?拗ねてはおらん】
「ファアッ!!??」
脳内に不機嫌そうな声が響き思わず飛び退いた。
そっか、思考共有してるんだっけ。
「喋った?」
「はい、拗ねてはいないそうです…」
「そう。なら成功ね」
統治者さんは苦笑する。
「じゃあ早速、核の回収に行ってもらうわ。
最初に回収するのは火の神、ニノフェルノの核よ。
彼の核は『ポッセ』という星で発見されたわ。
ポッセの一番特徴は、武器が生きているってところね。
だから武器に認めてもらわないと所有者になれないの。
さらに、ポッセにはおっきくて強いモンスターが野良猫感覚で闊歩してるわ。
そのせいか分からないけど、実力至上主義が染み付いた星ね」
【血気盛んなニノらしい星だ】
「血気盛んなんですか…」
武器が生きている…イメージしにくいな。
モンスターが闊歩て、もうちょっと安全な星のほうがチュートリル的な感じで丁度良いのでは?
いやチュートリアルとかゲーム感覚はよくないな。
緊張感を持って頑張ろう。
しかし実力至上主義か。
急に放り出されてもまともに戦えなさそうだけど、そこらへんはノクスさんがカバーしてくれるんだろうか。
でも過信するなった言われたんだよな。
イメージトレーニングだけしておこう。
「心の準備はできたかしら」
「大丈夫、です」
急にドキドキしてきた。
うまくできるかな。
…かわいい女の子とかいるかな。
ダメダメ、そんなことに現を抜かす暇とかないから!!
宇宙の命運を背負ってるんだから!!!
「それじゃ、いよいよ転生ね!ループちゃんのところに行きましょうか」
プラネットマテリアルに連れていかれた時のように、手で包まれた。
再び視界が開けると、人魂がうようよと浮いていた。
転生待ちの魂たちなのだろうか。ちょっと怖い。
もしかしてだけど俺も今これらと同じ状態なのか…?
まあどうでもいっか。
大量の人魂の中心部には、男とも女とも言えない奇天烈な格好をした者が、分厚い本に囲まれながら慌ただしそうに動き回っていた。
「あ゛ー、お前は人間、お前も!お前は…鳥でいいや。もうめんどくさいからお前らはミジンコ!!」
「あの子は輪廻の神、ループちゃん。魂の記憶を消したり、生物を転生させたりするのが仕事よ。今は何に転生させるか決めてるみたいね」
「ほう」
あんなに適当に決められてたのか。
人間に生まれてこれたのは結構奇跡なのかもしれない。
とりあえず、めんどくさいという理由でミジンコにされた方々に敬礼。
せめてプレパラートにされないことを願っております。
「ループちゃーん」
統治者さんが呼ぶとループさんはすぐに反応した。
めんどくさそうなのが手に取るように分かる表情をしている。
手いっぱいに掴んでいた魂をパッと放し、一冊の本を持ってこちらまで来た。
「今度はそいつ?ポッセでいいんだよね?」
「ええ、よろしくね」
ループさんは本開き、俺を雑に掴んだ。
本には地図が描かれていて、3Dみたいに立体的に見える。
遠目から見ると大陸が太陽のような形をしている。
「僕ちゃん細かい場所とか指定できないから、激戦区に放り出されても文句言わないでよね」
「は、はい」
「それじゃ、下ろしまーす」
「いってらっしゃい」
「いってきます」
「さーん、にーい、いーち、ゴー!」
カウントが終わった瞬間、俺は本に乱暴に押し付けられ、そこで意識が途切れた。




