第二話 酒鬼聖斗
【蛭田、店の扉を開けて入ってくる】
蛭田: いよー、お待たせ。迷ったよ、ここ陸の孤島? 辺り誰もいないし空き地ばかり。
こんなとこに店があるとはね、、、
黒川: おー、蛭田、20年ぶり。立派なおっさんになったな。
蛭田: お前こそ。いいおやじだ。白井は、、、あまり変わってないか。
白井: いやあ、僕も人並みに老けたよ。
蛭田: そうか? 20年前と全然変わってないぞ。まあ、お前は昔から大人びた雰囲気あったからな。あれ? 主催者、日本のバフェットは?
黒川: まだなんだよ、あいつが呼び出したのにな。
蛭田: しかし、驚いたよ。突然の招待状。耳より情報ってなんだろうな?。
黒川: 今、その話をしてたところ。やはり株関係じゃないか?、、、
蛭田: だろ。俺もそう思って来た。インサイダー情報だったらフルレバ勝負いくぜ。
みんな億り人になれるかもよ。
黒川: だよな、FIREだぞ。定額働かせ放題のクソ会社とはおさらば。
ざまーミロのヴィーナスよ。みんなで世界一周。
蛭田: 一周じゃもったいない。三周くらいしようぜ(笑)
しかし高木の奴、遅いな
黒川: いつまで待たせるんだ。
マスター: 彼はいらっしゃいません。
黒川: えー、今なんて言った?
マスター: 高木様はお見えになりません。
蛭田: 何でそんなこと知ってんの? あんた高木の知り合い?
マスター: 知り合いも何も、以前大変お世話になった者でございます。
黒川: どうして高木が来れないのよ? どういうこと?
マスター: 高木様ははるか彼方、遠い世界へお出かけになっていらっしゃいます。
【一同(黒川、白井、蛭田)、顔を見合わせる】
蛭田: 何だよ、意味わかんねー。俺たちは1週間前、高木から招待状を受け取ったの。
それでここに来てんだからな。
マスター: あの招待状は私が出したものです。
【一同、顔を見合わせる】
マスター: 私が高木様の名を騙って送ったものなんですよー(笑)
黒川: ふざけんなよ。何言ってんだ、あんた。
【マスター、マスクを外す】
マスター: 私を覚えていますか?
蛭田: 知らねえな、誰だあんた?
黒川: 見たことないけど。
マスター: (喜色満面で)お久しぶりー。20年ぶりですね。
【一同、マスターの顔をじーっと見る。白井が気付き始める】
白井: もしかして、もしかして、、、サカキ?
黒川: サカキ? サカキって、どこのサカキ?
白井: ほら、中三の二学期に転校してきた、、、酒の鬼って書く、酒鬼聖斗だよ。
蛭田: そういえば似てるなあ。
マスター: 似てるも何も本物ですから。転校してから皆さんには大変お世話になりました。連日、殴る蹴るの暴行、嫌がらせの数々。あれで学校が怖くなり、人間が怖くなり「不登校」、「引きこもり」、「昼夜逆転」、「家庭内暴力」、「リストカット」、「オーバードーズ」の王道パターンを歩んきた酒鬼聖斗です。
僕の人生は皆さんによって見事に破壊されました。
(嬉しそうに)ありがとうございまーす。
蛭田: だから何なんだよ。俺たちに因縁つける気か?
てめーが勝手に学校来なくなっただけだろ。
黒川: 引きこもりの奴らってさ、みんな人のせいにするんだよな。単なる臆病者、弱虫、意気地なし、根性なしなだけだろ。俺たちはそいつらの根性を叩き直してやってんの。
蛭田: 酒鬼、いい機会だ、またボコボコにしてやろうか。なあ黒川。
黒川: 最近、体なまってるし、いい運動になるかも。
マスター: 君たち、高木君みたいになりたいですか?
蛭田: なんだよ、意味わかんねえ。




