第一話 ジャニーさん
「さあゲームの始まりです」
― 20年後の復讐劇
作 印具米
★あらすじ
転校した中学校で壮絶ないじめを受け不登校、引き込もりとなり人生を奪われた男。20年後、積年の恨みをはらすために凶器を用意し復讐を始める。
★登場人物
・黒川
いじめグループ(四人組)の一人。面倒見がよい。
・白井
いじめグループ(四人組)の一人。気が弱く、黒川の子分的存 在。
・蛭田
いじめグループ(四人組)の一人。
・マスター(酒鬼聖斗)
転校先の中学校で4人のいじめグループから壮絶ないじめを受 け不登校、引き こもりとなった。現在は人里離れた辺鄙な場所でスナックを営んでいる。
(舞台)人里離れた安っぽいスナック。カウンター席に座る黒川と白井
黒川: 白井、どうだ仕事、うまくいってるか?
白井: 大丈夫だ。職場の仲間、みんないい奴でさ、今度は長く 続けられそうだ。
黒川; それは良かった。前のとこ、3日でやめたんだろ。ムリモー使ったんだって、、、
白井; 退職代行ね。俺、気弱いからさ、そういうの苦手なんだ。それでムリモーに頼んだ。
黒川; いくらかかった?
白井; 3万くらいかな。
黒川: えー、ウソだろ。そんなとられんの? 退職代行って「あの人やめます」って伝えるだけだろ。それで3万? 俺もその商売始めようかな。「ムリモー」の逆で「モームリ」ってどう?
白井: 「モームリ」か、、、いいね。 でもどこかで聞いたような気も、、、
とにかく今の仕事に就けたのはクロちゃんのおかげ、感謝するよ。
黒川; たまたま知り合いが人事やっててさ。 「いい奴いない?」ってこぼしてたんだ。
それですぐお前のことが頭に浮かんだ。仕事なくて困ってただろ。
白井; そうなんだ。家賃滞納しててさ。追い出される寸前だった。助かったよ。
クロちゃんみたいな友だちがいてよかった。
黒川; お前と俺の仲だ。これくらいどうってことないよ。
白井; ずっと世話になりっぱなし。恩に着るよ。
黒川: お前とは小学校からの付き合いだもんな。困ったことあれば何でも言って来い。
悪いようにはしない。
白井: ありがとう、クロちゃんみたいな友だちがいて幸せ者だ。これからもよろしくね。
黒川; あったりめーよ。お前と俺は「刎頚の友」だからな。
白井: 「刎頚の友?」、何それ?
黒川: 相手のためなら自分の首をはねられてもいい、それほどの仲良しってこと。
中国の故事から来ている。
白井: へー、よくそんなこと知ってるね。
黒川: 俺、三国志とか中国の歴史が好きじゃん。それで知った。
刎頚の友。だから俺はお前を裏切らない。お前も俺を裏切んじゃねえぞ。
白井: 当たり前だよ。クロちゃんは俺にとってかけがえのない友だち。絶対に裏切らない。
黒川: これからも仲良くやっていこうぜ。
ところで高木の奴、なんでこんな店に俺たち呼び出したんだろう。
白井: だよね。突然、家に招待状が届いてびっくり。だって高木君とは中学卒業してからずっと音信不通。最初、誰かのいたずらかと思った。
でも俺たち四人組の合言葉が書いてあったでしょ。それで高木君だと確信した。
黒川: そうそう、俺たち秘密の合言葉。懐かしいな。
「掘るのは」
白井: 「ジャニーさん」
黒川: 「掘られるのは」
白井: 「ヒカルゲンジ」
黒川: 20年ぶりだな、この合言葉使うの。これ考えたの誰だっけ?
白井: 高木君だよ。
黒川: あいついいセンスしてるな。結局、合言葉、事実だったもんな、びっくり。
白井: 高木君には時代を見る目があるんだね。だからあんなに大儲けしたし。
黒川: それだよ。高木の奴、株で儲けて今や資産3億超えだって? スゲーな。
白井: 本当すごいね。四菱重工、四井物産、四越、ヨンリオとか、高木君の買った銘柄、軒並み5倍、10倍になった。
黒川: ヨンリオって、サティーちゃんの?
白井: そうサティーちゃんの会社。
黒川: へー、あんなおもちゃ会社の株も上がったんだ。
でも高木銘柄ってみんな四がついてんな。四菱重工、四井物産、ヨンリオ、、、
白井: これからは「四の時代だ!」とかXで言ってた。
黒川: 何だ「四の時代」って?
白井: 高木君、4月4日生まれだし、昔から4が好きだったじゃん。
俺たちグループを「四人組」と名付けたのも彼だし、、、験かついだんだと思う。
黒川: Xでは今や日本のバフェットって呼ばれてるらしいな。スゲーな、もう雲の上の存在だ。ところで招待状にあった「耳より情報」って何だろうな。
白井: それなんだよ、もしかして、、、




