第124話 ☆"王女"イーリア
性描写があるため、改変しています。
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イスニア要塞を掌握した俺達は、
まず降伏した蠍座騎士隊の整理から取り掛かった。
1人1人を縛り上げ、
広場に設けた捕虜区画へ順に移送していく。
リーダー達と話し合った後で処遇を決めるつもりだ。
捕虜の数はおおよそ240名。
混乱に乗じて何人か逃げたが、特段追う必要もない。
“本命”を手中に収めたからだ。
ブルスター家の三男、エドワード・ブルスター。
ふてぶてしい態度のまま拘束されている。
一応、挨拶しておくか。
「おう、お前がブルスター家のエドワードだな」
―――――――――――――――――――
・エドワード・ブルスター
└人間族:ケルティア人:♂:16歳
└ブランの息子、三男、男爵。
└蠍座騎士隊:隊長
―――――――――――――――――――
エドワードは顎を上げ、鼻で笑った。
「ああ、そうだ。星王国の大貴族だ。
てめえはカナンとかいう、
ドラコニス山脈の田舎者らしいな」
挑発するような笑みを浮かべ、続ける。
「へへ……今てめえらの住処が
どうなってるか知らずによ……
こんなところで油売ってていいのかよ?」
?
あぁ、そういうことか。
乙女座騎士隊がカナンを攻めていると
思い込んでいるわけだ。
「連れて来てくれ」
俺がそう言うと、兵が一人の少年を連れてきた。
―――――――――――――――――――
・パトリシオ・ブルスター
└人間族:ケルティア人:♂:8歳
└ブランの息子、四男、男爵。
└乙女座騎士隊:隊長
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「丁寧に運ばんか!
……っ!………兄上」
捕らえられたパトリシオをチラリと見せると、
エドワードの顔色がみるみる変わっていく。
先ほどまでの余裕は消え失せ、
代わりに焦りと恐怖が滲む。
「もっ、もうすぐルート叔父さんが助けに来る。
貴族の扱いには気を付けた方がいいぞ」
震えを隠しきれない声でエドワードが言い放つ。
「ふーん」
ベラトルムにいるルート・ブルスター頼みって訳だ。
この様子じゃ、俺の知らない別動隊はいなそうだな。
エドワードに興味を失い、
俺は捕虜たちが集められている広場へと足を向かわせた。
その途中、耳障りな怒声が飛び込んでくる。
「おい!女ぁ!
俺は特別に扱った方がいいぞぉ!
後でたっぷり可愛がってやるからなぁ」
ひときわ太った捕虜が、
移送中のネイに向かって下卑た声を張り上げている。
(……なんだこいつ)
―――――――――――――――――――
・ドラン
└人間族:ケルティア人:♂:16歳
└騎士
―――――――――――――――――――
こんなナリでも、一応"騎士"らしい。
駆け引きしているつもりか?
敗者のくせに状況を理解していない愚かさと、
人間としての浅ましさが滲んでやがる。
他の捕虜達もそうだ。
ニヤつきながら、どこか余裕を見せている。
自分たちが未だ狩る側の人間だと信じ込んでやがる。
どうも、ブルスター家に仕官するってのは
余程特別なことらしい。
「ネイ、武器を貸せ」
「えー。ダメだよぉ……」
口では文句を言いながらも、
ネイは渋々短刀を差し出してきた。
―――――――――――――――――――
★ 短刀 【地獄痺刃】
└突撃+80 / 斬撃+50 / ☆貫通+80 / ★麻痺+100
―――――――――――――――――――
短刀を受け取ると、
俺は捕虜たちの元へと歩み寄った。
視線の先には、
先ほどネイに下卑た声を浴びせていたドランがいる。
「そうだな、ドラン。
特別な役目に命じてやろう。
お前は捕虜たちの責任者だ」
「お♡話の分かる奴もいるじゃねぇか」
ニヤついた顔。
この瞬間はまだ、自分が“特別”だと思い込んでいる。
俺は短刀を軽く振り、
その切っ先をドランの足へ軽く突き立てた。
※プス※
「あんぎゃぁあああ」
悲鳴が石壁に反響する。
「俺が捕虜どもの事で不快な思いをしたら、
その度にお前を刺しに来る。
ルート・ブルスターが来るまで
健康な体でいられるといいな」
ドランはその場に倒れ込んで悶絶している。
聞こえているかわからんが、
まぁいい、続けよう。
「俺様は優しいからな。
今日は8回で勘弁してやる」
そう言って、ドランをめった刺しにした。
一応、死なないように急所を外したが、
死んだら知らん。それまでだ。
周囲の捕虜たちの顔は、すでに凍りついている。
「何か申し出があれば俺に言え。
………検討してやる」
短刀についた血を軽く払うと、
俺はそれだけ言い残して捕虜区画を後にした。
背後では、誰一人として息を呑む音すら立てない。
さっきまでのニヤついた空気は完全に消え失せ、
要塞の一角は、まるで氷のように静まり返っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後、俺たちは再び顔をそろえ、
今後の方針について協議を始めた。
―――――――――――――――――――
・アレク・ペンドラゴン Lv.167
└人間族:イーシス:♂:16歳
・フィズル・ペンドラゴン Lv.67
└妖精族:ノーム:♀:22歳
・イーリア・アレオス・スタルディア Lv.51
└人間族:ノルド:♀:16歳
・ラグナル Lv.57
└妖精族:ドワーフ:♂:131歳
・カラドク Lv.62
└人間族:ケルティア人:♂:40歳
・タリオン Lv.72
└エルフ族:ウッドエルフ:♂:120歳
―――――――――――――――――――
地図が広げられた卓を囲むと、
最初に口を開いたのはフィズルだった。
「蠍座騎士隊も組み込みますか?」
俺は即座に首を横に振った。
「いや、あいつらはダメだ。
略奪の味を覚えちまってる」
短く言い切ると、
卓を囲む仲間たちも同じ反応を返してきた。
略奪の快楽に溺れ、
いつまでも“狩る側”だと勘違いしている連中。
そんな奴らを味方にすれば、後で必ず禍根を残す。
同じ旗の下では戦えない。
その認識は、この場にいる全員の間で一致していた。
「そうなると、捕虜達は金食い虫でしかないな。
いっそのこと、あいつら全員処刑しちまうか」
俺が何となく口にした提案に、
ラグナルはすぐに首を振った。
曰く、生き物というのは必ずどこかと繋がっており、
無闇に殺せば、どこから恨みを買うか分からない。
その恨みは、いずれ災いとなって返ってくるだろう。
――とのことだ。
「それも……そうか」
老練の言葉は、妙に腑に落ちた。
わざわざ余計なヘイトをまき散らす必要はない。
俺は素直にラグナルの意見に従うことにした。
こうして、捕虜たちの扱いは決まった。
一旦人質として保有するが、機会があれば引き渡す。
懐事情などを鑑みて、解放することも視野に入れる。
――それが、俺たちの出した結論だった。
次に俺達は地図に視線を落とし、
これからの方針について話し合った。
■地図:スタルディア星王国
俺はベラトルムを指差しながら、
勢いよく提案した。
「次はルート・ブルスターをやっちまおう。
みんなどうだ?」
「イケイケじゃのう。アレク」
ラグナルが半ば呆れたように笑うと、
カラドクが静かに口を開いた。
「俺は……反対だ」
カラドクはどこか緊張した面持ちで主張した。
「そもそもの目的は、
カナンへの脅威を取り除くことだ。
俺達はすでにそれを達成している。
………となれば、俺には
ここまで付いて来てくれたダークエルフ達を
エル=ネザリの村まで無事に帰す責務がある」
なるほど。
カラドクの言葉には筋が通っているし、
その声には仲間を思う誠実さが滲んでいる。
「私も、ネガティブですね」
これにフィズルも同調すると、
地図に手を添えながら続けた。
「保有する戦力に対し、戦線が広がり過ぎています。
仮に都市を落とせたとしても、
我々に統治能力はありません」
「…たしかに」
淡々とした口調だが、
正論過ぎて、ぐうの音もでない。
フィズルはさらに言葉を重ねた。
「今重要なのはガルフ・バウとの連携だと思います。
北方での戦いを一旦区切り、
ガルフ・バウへ目を向けるべきかと」
「………そうだな」
――ここまでか。
俺達はまだ都市を落とし、それを維持する力はない。
今は一度兵たちを村に返し、ガルフ・バウに目を向ける時だ。
スタルディア星王国に攻め込むとすれば、
ガルフ・バウの問題が片付いたその後だな。
こうして、方針は定まり会議はお開きとなった。
イーリアは終始反対することなく、
静かに皆の意見に同調していた。
だが、会議が終わるや否や、
沈んだ目を伏せたまま、ふらりと部屋を出ていった。
……星王国の元王女だ。
この決定が、胸に刺さらないはずがない。
少し気になって、俺はその後を追った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
イスニア要塞の塔の最頂部へと続く階段を上りきると、
冷たい風が頬を撫でた。
最上部では、ペンドラゴンの紋章旗が高々と掲げられ、
夕風を受けて大きくはためいている。
■紋章旗:ペンドラゴン
外はすっかり夕焼けに染まり、
空は赤から紫へとゆっくり色を変えていく。
風は少し肌寒く、
石造りの塔の上は静寂に包まれていた。
そんな中、外套を羽織り、
ひとり佇む女の姿が目に入る。
「ここに居たのか、イーリア」
■イーリア
夕陽に照らされた横顔は、どこか儚げで、
それでいて凛とした美しさがある。
まったく、絵になる女だ。
「アレク…」
振り返ったイーリアの瞳は、
夕焼けの色を映して揺れていた。
「会議の結果、不満か?」
俺がそう切り出すと、
イーリアは小さく首を横に振った。
「いえ、攻め入るのは私も反対です。
私たちはまだ、小さすぎますから。
むしろ、ここまで来れたのが夢のようです」
その声音は穏やかだったが、
どこか自分に言い聞かせるようでもあった。
そしてイーリアは塔の縁へ歩み寄り、
方角を指し示しながら口を開く。
「――あの先がベラトルム」
夕陽に染まる地平線の向こう、
山影のさらに奥にあるはずの都市を見つめる。
「あちらはタウルガルドで、
あの向こうには、王都アウルヘイム――」
そう説明するイーリアの指先は
いつの間にか震えており、
気が付けば、涙が頬を伝い落ちていた。
(お……おいおい)
胸がざわつき、嫌な予感がする。
飛び降りかねないと思って慌てて近づくと、
イーリアは涙を流しながら俺の胸の中に飛び込んで来た。
(ちょっ)
腕の中で震えるイーリアに、
どうしていいか分からず固まってしまう。
というのも、イーリアはファザコンなのだ。
■イーリア:生殖
フェンリカと同じく、
俺にはまったくなびかないタイプ。
俺の天敵みたいなもんだ。
そんな彼女が、今は俺にしがみついて泣いている。
生きているかどうかも分からない母―――
ユリアナ女王の事を思い出してしまったのだろう。
王都まで攻め込む戦力がないのに、
なまじ要塞を落としてしまったのが、
彼女の心を揺らしたのかもしれない。
イーリアは涙を拭うこともせず、
胸元に顔を埋めたまま、小さくつぶやいた。
「"雷の魔法"…」
「えっ?」
予想外の事を言い出したので、
思わず間抜けな返事を返してしまった。
(今度はなんだ!)
胸にしがみついたままのイーリアは、
涙をこぼしながら語り始めた。
イーリアの祖父―――
金星初代皇帝:アレオス・スタルディアは
"雷の魔法"の使い手だった。
そしてその息子、
二代目皇帝:ハロルド・アレオス・スタルディアは
同系統の"電気魔法"を操った。
だが、その血を引くはずのイーリア自身は
何の魔法も使えない。
王家の象徴たる魔法も持たず、
母ユリアナを助ける術も無い。
イーリアは、ただ逃げることしかできなかった自分を、
ずっと胸の奥で責め続けていたらしい。
そして初代皇帝と同じ"雷の魔法"を使える
俺の事を、ずっと羨ましく思っていたのだとか。
「私には何もない」
その言葉が、妙に奥に響く。
まるで転生前の俺じゃないか。
■イーリア:魔法
確かに、イーリアは希少な魔法を持っていない。
どれだけ特訓しても、習得できないだろう。
しかし血統ゆえか、人間族にしては魔法の潜在能力は高い。
人より優れているのだから――
……そんなことを今言ったところで
なんの慰めにもならないか。
俺は腕の中で震えるイーリアの頭を撫でながら、
次にかけるべき言葉を必死に探していた。
慰めの言葉なんぞ得意じゃないが、
それでも、何か言わなきゃならんと思って、
喉の奥から無理やりひねり出した。
「全部俺様に任せておけ」
……そしてひねり出した言葉がこれだ。
我ながら情けなくなってきた。
「アレク……」
!?
しかし、顔を上げたイーリアの頬は妙に赤い。
明らかに夕焼けのせいじゃない。
涙の跡が残る瞳も、どこかトロンとしている。
これ、発情してないか?
(あれ、もしかして……)
"よしよし"か?
"頭よしよし" がファザコンに効くのか?
……攻略法見つけたかも!
そんな期待が胸をよぎり、
俺はイーリアの頭をさらに優しく撫でながら、
甘い言葉を吐いた。
「これは秘密だけどな。
"雷の魔法"だって与えることが出来るぞ。
まぁ、俺が愛した女限定なんだが」
「ほんとぉ?」
イーリアの声は、どこか甘ったるくて、
完全に俺に寄りかかってきている。
さっきまでの悲壮感はどこへやら、
今じゃまるで子どもみたいに甘えてやがる。
イーリアを見つめていると、
呼応するように瞳を閉じたので、キスをする。
舌を入れると、絡ませて来やがった。
(これはもろたで)
「場所、移そっか」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺とイーリアは、要塞の奥にある司令官私室へと移動した。
ここは俺専用の寝泊まり部屋で、
厚い石壁に囲まれた静かな空間だ。
当然、ふかふかのベッドも配置してある。
「もう……こうやって女性を連れ込んでいるのね」
「まぁな」
まずいな。魔法が解けかけている。
俺は再度イーリアを抱き寄せ、
頭を撫でながらキスをする。
「私、こういったことは初めてなんだけど……」
「俺に全部任せておけって言っただろ?」
そう言いながら、イーリアの服を脱がせていく。
しばらく一緒に暮らしてきたが、
裸を見る機会は無かった。
どんな乳首をしているのか妄想したこともある。
ずっと見たかった裸が、ようやく見れる。
嫌でも期待に胸が高まる。
(さあ、我の前に姿を現せ!!)
☆☆☆☆☆☆ !見せられないよ! ☆☆☆☆☆☆
ミッドナイトノベルズで掲載↓
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☆☆☆☆☆☆ !見せられないよ! ☆☆☆☆☆☆
…
……
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺は寝落ち寸前の意識を、
ギリギリのところでつまみ上げるように保ちながら、
イーリアのステータス画面をいじっていた。
隣では、当の本人が
幸せそうに寝息を立てている。
(イーリアの奴、意外と攻め気があったな。
まったく、とんだお転婆な王女様だぜ)
そして魔法のステータス欄。
7ポイントを消費すると、無事に"雷"の文字が刻まれた。
(もしこれで習得できなかったら、
マジでえらいことになってたぞ)
よかった……これで安心して眠れる。
暖炉の火がぱちりと弾け、
俺の意識は静かに闇へ沈んでいった。
■イーリア:魔法
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