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夜明けの星の黙示録【R15】  作者: アレクサンドル・スケベスキ
第七章 スタルディア星王国編

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第117話 ☆偵察3

略奪を終えた俺とヨルは、古民家の方へと移動した。


”ワープ”


……

現れたのは、石畳の床とレンガの壁に囲まれた空間。

隅には薪が無造作に積まれている。

どうやら、俺達が移転した先は村の共同釜らしい。


扉のない勝手口の向こうからは談笑が聞こえてくる。

奥は広い空間になっているようだ。


村の集会所なのだろうか?

建物自体はかなり古びている。


"探知魔法"


外から探知するより、はっきり分かる。

手前に8人、テーブルを囲んで酒盛りをしているな?

そしてその奥に30人ほどが固められている。


村の家々が焼かれた中で、この古民家が残されたのは、

村人たちを捕虜として監禁する為だろう。


問題は外の奴らだ。数が多すぎる。

屋内の敵だけなら何とかなりそうだが、

外の奴らになだれ込まれたら終わりだ。


※カシャンッ!※


突然、鋭い音が室内に跳ね、

俺とヨルは反射的に顔を合わせる。


……酔っぱらってグラスでも割ったか?

このまま気を緩めてくれていればありがたい。

気配を殺したまま、ヨルと短く情報を共有した。


※全員()るぞ。音を立てるなよ※


※それは無理だ。

 そもそもお前、暗殺の経験はあるのか?※


ヨルは、暗殺が如何に難しいのかを

熱を帯びながら語り始めた。


まず、敵に声を上げさせず無力化するには、

一瞬で戦闘を終わらせる必要がある。

――その時間、わずか1秒以内。


方法はいくつか考えられるが、

首筋に刃を入れ、声帯を断つ方法が主流だ。

急所である頭や腹、心臓を狙うのは適していない。


そして最も難しいのが、

徹底的に音を発生させないよう努めなければならない点だ。


まず、敵の正面に立つのは論外。

素早く戦ったとしても、防御を取られて声を出される。


次に、素早く詰め寄るのもダメだ。

駆け足というのは本能的に注目を集める。


最後に、殺した敵はそっと床に転がさなければならない。

敵が倒れる音が響けばその時点でアウトだからだ。


つまり…

1.足音を消して敵に接近。

2.背後から首に刃を入れ、声帯を断つ。

3.倒れる音すら立てずに処理する。

この一連の流れを、

誰にも気づかれず完璧にやり遂げなければならない。


最後に、ヨルは諭すように言って来た。


※連中から聞こえてくる微かな音……鎖帷子(くさりかたびら)だ。

 首は守られている……暗殺は無理だ。撤退しよう※


その声には、どうしようもない悔しさが滲んでいた。

ヨルも、できれば助け出したいのだろう。

だが、現実がそれを許さない。


フッ……ヨルの奴、

目の前にいる男を一体誰だと思ってやがる。


女の涙の天敵にして、誰よりもチンポに誠実な男、

アレク・ペンドラゴン。

いずれ女神ヴィーナスをも抱く男。


※まぁ、見ておけ。サポートは頼んだぞ※


※お、おい!※


俺はヨルの静止振り切り、勝手口をくぐった。

そのまま連中が待つ方へ歩みを進める。


広間の奥が視界に入ると、

正面に縛られている村人たちの姿が見えた。


村人たちにも俺に気付いたようで、動揺が走る。

俺はシッーと指を立て、そのまま静かに歩み寄った。


敵は壁の向こう、右前方に集まっている。

その距離、およそ5メートルって所か。


最上級魔法……"エクシミウス(特別級)"

――”時間魔法(クロノス・マギア)


時がゆったりと流れ始める。

視界に入った敵は、全身を固めた騎士が8人。

物理防御なんて関係ない。こいつをくれてやる。


"麻痺の矢(ヴィム・サギッタ)"×8


そして魔法の矢が刺さるのと同時に、

妖刀で斬りかかった。


―――――――――――――――――――

★ 妖刀 【冥狂血吸(めいきょうちすい)

└斬撃+100 / ☆切断+80 / ★MP吸収+50 / ★HP吸収+50

―――――――――――――――――――


※スパンっ!※

※スパンっ!※


冥狂血吸(めいきょうちすい)】の前では、鎖帷子など無意味。


むしろ俺が気を張るのは、

首を完全に切断してしまわない事だ。

首が落ちると、大きな音を立ててしまうからな。


※スパンっ!※

※スパンっ!※


こうして俺は、妖刀を8振りしてから魔法を解除した。

――時間にして1秒以内。(多分)


「ぅがぁっ!」


背後から声がして、慌てて振り返る。


(しまった。浅かったかっ!)


っと思いきや、

ヨルが男の背後から鎖帷子をめくり、

首を一突き。絶命させた。


「ふぅ…助かったぜ」


作戦成功を喜び合う場面の筈が、

ヨルの方はお怒りの様である。


「おまえっ…無茶をするなと言っただろ!

 それに結構な音を立ててしまったぞ!」


そうなのか?

まぁ、確かに二人位床に倒れてしまったが…

しゃーない。切り替えて行こ。


それに、先ほどグラスが落ちて結構な音が響いたが、

外にいる連中は誰も様子を見に来なかった。

ある程度は大丈夫なんだろう。


「まぁ、その時はその時さ」


そう言って、今度は村人の方へ振り返った。


「俺はカナンのアレク・ペンドラゴン。

 助けに来た。ここ以外に村人はいるか?」


村人たちは互いに顔を見合わせ、

やがて小柄な少年がぽつりと呟いた。


「ねぇちゃんが…連れていかれた」


あの広場でレイプされていた女で最後か。


「そうか。後は俺に任せておけ。

 ひとまず、お前らは俺の村に退避してろ」


そう告げて、カナンへの接続口を作る。


"ワープ"


俺が縄を切り、ヨルには先導を任せた。

こうして二人で手分けしながら、

村人たちを次々と逃がしていく。


ここの村人たちが殺されずに

監禁されていたことを考えると、

奴隷として売るつもりだったのだろう。


(しかし、なぜ自分の国の村を襲う?)


元の世界で言えば、

警察や自衛隊が略奪しているようなものだ。

そんな状況、想像すらできない。


……この世界の治安は、俺の想像以上に崩れている。

だからこそ、人々は神を信じるのかもしれない。

他人を信じることが難しい世界で生きている――

その事実を、改めて突きつけられた気がした。


「全員、避難終わったぞ」


先導を終えたヨルが帰って来た。


「よし、着いて来い」


……


※おまえ……正気か※


ヨルが緊張した面持ちで話しかけて来る。

俺とヨルは、堂々と外を出回っていた。


※ビシッとしてろ※


蠍座騎士隊(ステラ・スコルピオ)の服装が

バラけ過ぎている点は、潜入した時に把握済みだ。

こいつらに、一瞬で敵を判別する術はない。


そして、女がレイプされている広場までやって来た。


(こいつ、まだヤッてやがるのか)


"解析"

―――――――――――――――――――

・エドワード・ブルスター

 └人間族:ケルティア人:♂:16歳

―――――――――――――――――――


わざわざ女を見せつけるように犯しており、

かなり執着しているようだ。

何だか気分が悪い。


「お前のおかげで長い軟禁生活だったぜぇ~

 抜かずの3連発、最後の1発行くぞこらぁー!!」


(しょぼい理由だな。俺なら20発はイケるぞ)


そんなどうでもいいことを考えながら、

魔法を展開する。


"麻痺の矢(ヴィム・サギッタ)"


「はぅんっ!」


エドワード・ブルスターは

一度ビクンと跳ねた後、その場に倒れた。


周りからは笑い声が上がっている。

派手にイッたと思われたのだろう。


何にせよ、これで女は解放された。

すぐに別の魔法を展開する。


火の魔法(イグノ・マギア)

×

召喚魔法(オラクル・マギア)


"王威なる(レガーリス)――召喚・火の精霊"


■火の精霊

―――――――――――――――――――

・精霊(幻獣種):マグマゴルゴン Lv.77

・精霊(上位種):フラマトル Lv.52

・精霊(上位種):フラマトル Lv.49

・精霊(下位種):イグニス Lv.18

・精霊(下位種):イグニス Lv.13

・精霊(下位種):イグニス Lv.12

・精霊(下位種):イグニス Lv.8

―――――――――――――――――――


突如、広場に火の精霊が現れた。


下位種のイグニスは素早く動き回り、

宝箱のあったテントと、村人が監禁されていた古民家へと火を付けに行く。


「うおっ!なんだ!?」


上位種や幻獣種は広場で暴れまわり、

その場に急速に混乱が広がる。


(よし、狙い通り)


「大丈夫っすか!?エドワードさーん!」


俺はわざとらしく声を張り上げながら、

味方のフリをして女のもとへ駆け寄った。


そしてヨルと共に女を抱え、

逃げ惑う群衆に紛れてその場を離脱する。


(よし、ここまでくれば大丈夫だろう)


振り返ると、テントと古民家から火の手が上がっていた。

賊どもは精霊に追われ、騎士たちは消火に奔走している。


いい気味だ。

……いや、そうでもないな。

さっきからなんか気分が悪い。


今日は久々に暴れただけあって、疲れたのだろう。

早くカナンへ帰って体を休めよう。


後は蝶の様にカナンへ舞い戻り、

蜂の様にチンコを刺すだけだ。


俺は召喚魔法を切って、空間魔法に切り替えた。


"ワープ"

………あれ?


ウンともスンともいいやしない。

というか、魔力を練成するイメージが湧かなかった。


まさかと思い、自分のステータスを確認する。


■アレク

―――――――――――――――――――

HP:2285 / 2510 MP:52 / 2520

―――――――――――――――――――


「し、しまった!!魔力が枯渇した!」


さっきからどうも気分が優れないなと思っていたら、

魔力が枯渇していたでござる。


ここはカナンよりマナ(魔素)が薄く、

魔力の消耗が激しい事を忘れていた。


「おい!どうするんだ!!」


ヨルがブチギレ気味に詰めてくる。


どうするったって…おまえ……

そんなもん、奥の手を使うしかないだろ。


「キェェェェェ!!」


俺はキチガイさながら、その辺の賊に襲い掛かった。


―――――――――――――――――――

★ 妖刀 【冥狂血吸(めいきょうちすい)

└斬撃+100 / ☆切断+80 / ★MP吸収+50 / ★HP吸収+50

―――――――――――――――――――


※スパンっ!※


「悪霊退散!悪霊退散!」


※スパンっ!※

※スパンっ!※


「てめぇ!何しやがる!!」


まずい。注目を浴び始めた。

早く退散しなくては!


■アレク

―――――――――――――――――――

HP:2328 / 2510 MP:127 / 2520

―――――――――――――――――――


(頼む!いってくれっ!!)


"ワープ"


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「~という、完璧な作戦だったワケよ」


俺は自分の城で、食後の紅茶を(たしな)みながら、

愛奴達に今日の武勇伝を得意げに語っていた。


「嘘つけっ!!」


ヨルが即座にかみついて来る。

まったく、いちいち細かいところを気にする女だ。


食事中もずっとケチをつけてきたせいで、

せっかく盛った話が全部バレたじゃないか。


「仕方ない、ヨルには分からんか。

 ―――"このレベル"の話は。

 早く上がって来いよな…俺のいる高みまで」


「フンッ…随分足元のぐらついた高みだな」


!?


それから俺とヨルは口論になると、

自室に戻っても止まらず、


………そのまま朝まで激しく求め合った。


ブクマ・評価いただけると大変助かります(>ㅅ<)

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