第116話 偵察2
――乙女座騎士隊はおよそ400。
"エドワード"とかいう奴との合流を待てず、
単独で動くつもりらしい。
パトリシオの言うエドワードとは、
ブルスター家の3男、エドワード・ブルスターの事で間違いないだろう。
となると、残り800は蠍座騎士隊か。
一体どこにいる?
「心当たりはあるか、ヨル?」
■ヨル
「…」
無視された。
というか、ブチギレである。
さっきまであんなに喘いでいたのに…
“女心と秋の空”とはよく言ったものだ。
移り変わりが激しい。
ふぅ…ヤレヤレ、仕方ないな。
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・☆☆☆希少な 「ルビー・ブドウ」 ×1
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「フンッ!甘味でほだせると思うなよっ!」
※モグモグ※
(食うんかい)
「イスニア要塞を占拠していたのを見かけたぞ」
(教えてくれるんかい)
「そんじゃ、行ってみるか」
こうして俺達は、
探知魔法と空間魔法を駆使しながらイスニア要塞を目指した。
"ワープ"
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
■地図:イスニア要塞
要塞に近づくと、星座の旗が掲げられているのが見えた。
さそり座の旗らしい。
俺は敵の人数を探るべく、
なるべく要塞に近づいてから探知魔法を念じた。
「う~ん…20から50人ってところか?
よくわからん」
要塞の中に何人か居ることは分かるのだが、
遮蔽物の奥に潜んでいるせいで、反応がぼやけている。
だが、ここに蠍座騎士隊の本隊が居ない事は間違いない。
「他に心当たりはあるか?」
ヨルは静かに首を横に振る。
仕方ない…偵察はここまでだな。戻るとするか。
一応、すれ違っているかもしれないので、
俺たちは、軍隊が通れそうな道沿いを下るようにして、
帰路に着くことにした。
”ワープ”
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
道沿いを移動してきたが、
ここまで蠍座騎士隊は見つけれず。
空も日が落ち、茜色に染まって来た。
このままカナンに直帰するかと思ったその時、
ふと、遠くに煙が上がっていることに気付く。
■地図:偵察帰路
――トラブルの予感。
今日は、世界樹から離れた所で魔法を使いすぎた。
ここも大気中の魔素が薄いと感じる。
見に行く前に、自分の状態を確認する。
■アレク:ステータス
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名前:アレク・ペンドラゴン Lv.167
HP:2308 / 2510 MP:1215 / 2520
種類:亜人類 種族:人間 種別:イーシス
性別:♂ 年齢:16歳 身長:186cm
ジョブ:
・「バーサーカー」:Lv.5
・「ウィザード」:Lv.15
・冒険者見習い:Lv.27
・「猟師」:Lv.10
・「山菜採集士」:Lv.11
・【アドニス】
・【英雄】
スキル:
・「狂瀾」
・「三重奏」
・察知
・「大猟」
・「希少採集」
・【ポイント付与】
・◆任命:【愛奴】(2)
・【無詠唱】
・【精密解析】
称号:
・《オリハルコン級:冒険者》
・《竜を統べる》
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魔力の消費が激しく、もう半分を下回っている。
行けるか…?いや、行くしかないよな。
「向かうぞ、ヨル」
「お、おい」
"ワープ"
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――ここに居やがったか。
小さな村は焼け、黒煙が風に流されていた。
そんな災禍の中で、さそり座騎士隊が
ふんぞり返るように村を占拠している。
中心には大きな焚き火があり、
騎士たちはその火を囲んで酒を酌み交わしていた。
周囲には村人らしき男たちの亡骸が転がっているが、
彼らの関心はそこにはなく、
焚き火の前にいる一人の女へと注がれていた。
そこでは、一人の男が見せつけるように女をレイプしていた。
"解析"
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・エドワード・ブルスター
└人間族:ケルティア人:♂:16歳
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(こいつがエドワード・ブルスター……
なぜ自国の村を襲っている?)
ヨルが気配を消しながら近づいて来る。
「救出に行くとか言い出すなよ…
さすがにこの人数ではどうにもならん」
「ヨル、ワープでカナンに繋ぐ。
襲われている村人たちの保護の準備をするよう、
サクラに伝えろ」
「お、おい……!」
"ワープ"
空間がひらき、カナンへと続く道が現れると、
ヨルはしぶしぶ足を踏み入れ、姿を消した。
(さて、今のうちに現状把握に努めるか)
"ワープ"の空間魔法を維持したまま、
同時に"探知魔法"を展開する。
魔力の波が円形に広がり、やがて戻ってくると、
認識:Lv.62の能力が、周囲にざっと800人いることを教えてくれた。
うじゃうじゃ居やがるが、
騎士の装いをしているのはほんの僅かだ。
大半は服装もバラバラで、寄せ集めの集団という印象が強い。
構成そのものは乙女座騎士隊と大差ないのだろう。
騎士:50人、従士:100人程度が、騎士隊の中核を成していると見た。
だが、明らかに乙女座騎士隊よりも、荒っぽい連中が集まっている。
【精密解析】スキルで数名を調べてみると、
"冒険者"や"傭兵"だけではなく、
"荒くれ者"、"盗賊"、"山賊"が大量に入り混じっていた。
(なんじゃこいつら…
随分程度の低い連中が集まっているな)
ここまで多いと、騎士隊と言うよりも
賊の寄せ集めだなこりゃ。
(あの配置はなんだ?)
騎士たちの配置を良く観察すると、
警備が厚い箇所が2カ所あることに気付く。
一つは、生命反応が全く無いテント群と、
もう一つは大きめの古民家だ。
古民家の方は奥に30人程の生命反応が確認できる。
そこに村人たちが捕らわれている可能性は高い。
って事は、テント群は――
そんな思考を巡らせていると、ヨルが戻ってきた。
「サクラ村長に話を通してきたぞ」
「おし。それじゃ行くか。音を立てるなよ」
"ワープ"
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺とヨルは、騎士たちが厳重警備するテントの中へと直接飛び込んだ。
だが、中にあったのは食料の山だけで、目的のものは見当たらない。
※ここは備蓄庫か?※
※うーん。そのようだな。
ハズレだ。次いくぞ※
"ワープ"
…
……
※おっ!あったぞ♡※
そこには豪華なベッドと、大きめの宝箱が5つ並んでいた。
エドワード・ブルスターの寝床なのだろう。
俺は"収納"と念じてアイテムボックスを開き、
ヨルに指示を出す。
※ここの宝箱、全部アイテムボックスへ入れろ※
※おい、こんな時に金を漁っている場合か?※
まったく、ヨルは分かってないな。
寄せ集めの生命線――それは資金だ。
蠍座騎士隊が連中を集められたのは、
潤沢な資金があるからに他ならない。
その金が底を尽きれば、どうなるか想像に容易い。
※いいから手伝え。ここの金は全て俺様のものだ※
こうして、俺とヨルは手分けして
宝箱をアイテムボックスへ放り込んでいった。
■アイテムボックス
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・大金貨 ×35
・金貨 ×286
・大銀貨 ×5,870
・銀貨 ×35,607
・青銅貨 ×4,582
・銅貨 ×1,858
[合計]:15,838,378 Rb
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奪った金はおおよそ1,400万Rb。円換算で約14億円だ。
ムホホ♡ 随分溜め込んでやがる。
宝箱の中身は銀貨の比率が高かった。
支払いとしての主要硬貨なのだろうか。
均して日当1万円=銀貨1枚として、
800人をひと月維持できる資金は。
ええっと……
銀貨1×800人×30日 = 銀貨24,000 = 240万Rb。
つまり、800人を6か月間維持できるだけの資金を
エドワード・ブルスターは持っていたことになる。
まっ、全て俺様が頂いたのだが♡
※次は戦闘になる。準備しろ※
※あまり無茶はできんぞ※
俺がアイテムボックスから妖刀を取りだすと、
ヨルもグラントハルの短刀を構えた。
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★ 妖刀 【冥狂血吸】
└斬撃+100 / ☆切断+80 / ★MP吸収+50 / ★HP吸収+50
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いざ、古民家の方へ。
"ワープ"
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