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夜明けの星の黙示録【R15】  作者: アレクサンドル・スケベスキ
第七章 スタルディア星王国編

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第115話 偵察1

「行ってらっしゃいませ、旦那様」

「おう」


朝食を終えた後、

俺とヨルはイヴ達に見送られながら、カナンを後にした。

南下して来るという、1,200の軍勢をこの目で確かめに行く。


"ワープ"


■地図:カナン

挿絵(By みてみん)


「ヨル、心当たりはあるか?」


蠍座騎士隊(ステラ・スコルピオ)乙女座騎士隊(ステラ・ヴィルゴ)が最有力だ」


"ステラ"か――

イーリア達との暮らしの中で、

スタルディア星王国について少しずつ教わってきた。


この国の貴族たちは"ステラ"と呼ばれる

300人前後の騎士隊を保有しているらしい。


さらにブルスター家のような大貴族ともなると、

"ステラ・グランデ"という騎士団を有しており、

その規模は騎士隊10個分に相当するという。


今回、ガルフ・バウへ向かったのは、騎士団らしく、

俺達の所にやって来るのは"ステラ"の連合…

騎士隊の連合だと見込んでいる。


カナンへやって来るという軍勢が本当に1,200もいるのか、

誰が率いているのか、

隊列はまとまっているのか、それとも散開しているのか――

それを確かめに行くってわけだ。


「何とか赤竜が戦える場所があればいいんだが」


「確かに、赤竜なら軍勢を止められるかもしれないが、

 射手座騎士隊(ステラ・サジタリウス)が参戦していれば話は変わって来るぞ」


射手座騎士隊(ステラ・サジタリウス)――

追われていたイーリア達を匿ったという、弓の名手達。

規模こそ100人前後の少数らしいが、

あの圧倒的戦力を誇るブルスター家に対しても、一歩も引かぬ姿勢を見せたという。

どう考えてもやべぇ奴らだ。


中でも、ひと際異彩を放つのが、

冒険者の頂点:"オリハルコン級"にして、

七大至聖のひとり――

弓聖(きゅうせい)】 ロイド・ボーウェン。


その戦力は、あのラエルノアと同等と考えていいだろう。

赤竜がやられる可能性は十分に考えられる。


「そう言えば、スタルディアには弓聖以外にも

 七大至聖っているのか?」


「それなら心配いらない」


ヨルの話によれば、

スタルディアにいる七大至聖は“弓聖”ただ一人らしい。


金星七大至聖きんせいななだいしせい

―――――――――――――――――――

・【剣聖(けんせい)】"無貌(むぼう)"のレイフ:グリム=ガルド剣王国

・【聖杖(せいじょう)】"偉大なる(イス)" ラエルノア:ラエルノア魔法教団

・【弓聖(きゅうせい)】"心眼(しんがん)" ロイド・ボーウェン:スタルディア星王国

・【槍聖(そうせい)】"破滅(はめつ)"のセラフ:マグナ・オルク覇王国

・【盾聖(じゅんせい)】"神の子(かみのこ)" ガラハッド・イオウェルス:ブラスデン騎士団

・【拳聖(けんせい)】"拳侠(けんきょう)"のタルガルス:マグナ・オルク覇王国

・【叡聖(えいせい)】"虚空(こくう)" ルシエン・バエル:神聖ロザリ法王国

―――――――――――――――――――


「ふーん」


(よかった…ラエルノアみたいなやつが

 二人もいたらさすがに降参するぜ?)


俺とヨルは雑談を交えながら北へと移動を重ねていく。


"ワープ"


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


■地図:グレイリッジ盆地

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「懐かしいな、ここ」


俺とイーリア達が初めて会った場所だ。

あの時は馬車がやられ、残骸が散乱していたはずだが、

今では影ひとつ残っていない。


魔獣が持ち去ったのか、あるいは風が運び去ったのか、

これが"自然"の力というものか。


ヨルが周囲を見渡しながら口を開く。


「ここは確か、グレイリッジという盆地だな。

 カナンへ侵攻する場合、軍隊がここを通過する可能性は極めて高い」


"グレイリッジ"と言うのか。

俺よりも地形に詳しいじゃないか。

改めて周囲をよく観察する。


東西を山に囲まれた開けた平地で、

地面は灰色の腐植土に覆われている。


一見、東側の山は登れそうに見えるが、

実際には川が削った谷があり、侵入は難しい。

カナンへと向かう南は険しい山道で、

大人数の移動には向かないだろう。


――なるほど。

ここは待ち伏せにも撤退に向いている。

それに、赤竜が暴れ回るだけの広さも十分だ。


敵を迎え撃つ候補地を抑えた俺達は、

更に北へと向かった。


"ワープ"


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


■地図:国境付近

挿絵(By みてみん)


スタルディア星王国の国境に迫ろうかといった所で、

ようやく探知魔法が大量の生命反応を示した。


「見つけたぞ」


掲げられている軍旗には、何かの星座が描かれている。

…よくわからん。

俺は助けを求めるように、ヨルの方へ視線を向けた。


乙女座騎士隊(ステラ・ヴィルゴ)……

 ブルスター家4男、パトリシオの騎士隊だ」


川沿いの広場に陣を敷き、そこで各々体を休めている。

その数、およそ400。


”解析”を使い、大まかな構成を把握する。


乙女座騎士隊(ステラ・ヴィルゴ)

―――――――――――――――――――

・使用人 ×20

・騎士  ×30

・従士  ×50

・冒険者 ×300

―――――――――――――――――――


「冒険者が多いみたいだぞ?」


「軍はどこも十字軍の傷から立ち直れていない。

 正規の騎士を揃えられず、雇われに頼っているんだ」


それにしても、随分気が抜けた様子だ。

何かを待っているのだろうか?

近くの冒険者達の話に耳を傾ける。


「なあ、聞いたか?

 ブルスター家の使者がボコられて帰ってきた噂…

 バケモノがいるらしいぞ」


「ああ、その噂なら俺も聞いた。

 それに、この先の山脈にはあの赤竜もいるんだろ?」


「……帰ってこれるのかよ、俺達」


どこか悲観的な空気が漂っている。意外だ。

冒険者たちはあまり乗り気ではないらしい。


う~む……赤竜で一掃してやろうと思っていたが、

こんな話を聞かされると、同情しちゃうだろ。

あまり聞かないほうがいいかもしれない。


気持ちを切り替え、

この集団の頭を確かめるべく、

ひときわ目立つ天幕のそばにそびえる山へと移動した。


"ワープ"


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


その豪勢な天幕は、

上から覗けば中の様子が丸見えだった。


視線を落とすと、

使用人らしき女性たちを侍らせた子供が一人、

天幕の中心に確認できる。


(お、いたいた)


"解析"

―――――――――――――――――――

・パトリシオ・ブルスター

 └人間族:ケルティア人:♂:8歳

 └ブランの息子、四男、男爵。

 └乙女座騎士隊(ステラ・ヴィルゴ):隊長

―――――――――――――――――――


※パンッ!パンッ!パンッ!※


(ん?)


よく見ると、1人の女が尻をはだけさせて

パトリシオに突き出している。

そしてパトリシオはその尻を掴み、腰を振っていた。


「おい!あいつガキのくせしてSEXしてやがるぞ!」


パトリシオ・ブルスターが犯しているのは、

自分の身の回りの世話をする乳母(うば)であった。


「…ふぅ」


事が済むと、尻を足蹴りして乳母(うば)を追い払った。

そして天幕の外へ出て、近くにいた騎士の一人を呼びつける。


「おい、()()との連絡はどうなっている?」


―――――――――――――――――――

・アラン

 └人間族:ケルティア人:♂:24歳

 └騎士

 └探知魔法使い

―――――――――――――――――――


パトリシオから呼びつけられた騎士のアランは、

不快感を押し隠し、淡々と答える。


「ハッ。エドワード様とは

 今だ連絡が付いておりません」


「まったく、時間も守れんとは。

 アレはもう見限るしかないな…

 明日、補給物資を受け取ったら進軍するぞ」


「合流を待たれた方がよろしいかと」


その一言に、パトリシオは露骨に顔をしかめて

不快感を露わにした。


「お前、()を誰だと思っているのだ?」


――勘違いも甚だしいただの子供

喉まで出かかった言葉を、

アランは噛み砕くように飲み込んだ。


「失礼いたしました」


一礼し、その場を離れたアランの胸中には

重い影がじわりと広がっていく。


――士官先を間違えた。

名門、ブルスター家の4男。

本来であれば、家の威光に守られ、

喧騒とは無縁の穏やかな人生を歩むはずだった。

だが現実は、

自分の事を王だと思い込んでいる子供のお守りだ。


それも、最近は自分の事を()などと言い出し、

その勘違いぶりに拍車がかかっている。


アランは深く息を吐いた。

ため息というより、胸の底に沈んだ何かを押し出すような呼吸だ。


歩き出そうとしたそのとき、

近くの山肌がわずかに揺れたのに気付く。


(魔獣か?)


反射的に探知魔法を展開する。

自身から放たれた魔力の波長が、

やがて何かに触れ、震えたように戻ってきた。


!!


そこでアランは、

山中に潜むアレクの強大な反応を捉えた。


(なんだ…この反応は…っ!!)


生命力と魔力が、常識の枠を越えている。

それは、今まで感じた事の無い強大な"力"。


「10人、付いて来い!」


短く命じると、アランは部下を引き連れ、

駆け足で山中へと向かった。


「アランさん、いきなりどうしたんすか?

 そんな汗かいて」


だが、既にそこには何も無かった。


「……勘違いだったようだ。戻ろう」


土に刻まれた足跡だけが、

つい先程まで“何か”がいたことを告げている。


(何者だ……?)


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「あぶねぇ~。

 勘のいい奴もいるようだな」


「探知魔法使いが居ると言っただろう!!」


ワープ先でアレクとヨルが喧嘩していた。

潜伏がバレたのは、パトリシオのSEXを見たアレクが

興奮してヨルに襲いかかった為である。


「せめて…場所を考えろ!」


「何だよ~"どこでもこの体を好きにしていい"

 って言ったじゃないかよ~」


「"どこでも"とは言っていないだろ!

 勝手に条件を追加するな!!

 そのチン…粗末なモノをいい加減しまえ!!

 ま……待て!!」


「んお゛お゛♡!!」


……


「ふぃ~。

 なぜ世の中から戦争は無くならないんだろうな…」


「フーっ♡!フーっ♡!」


(こいつ…いつか殺す)

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