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異世界に持ち込んだのは幻想生物の肉体だった件。  作者: 青髭
第一章【異世界転生者達】
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DRAGON CARNIVAL 6

 エラーと言われて肩までで成長が止まった篭手に戸惑いを隠せないアルト。

 いや、一応は装備が進歩しているので一概にエラーとは言い切れないがどういう事なのだろうか。

 しかし現状、アルトにはそれを考えている暇はなかった。


「無いよりはマシと思うしかないな」


 呟き、アルトは唸り佇むドラゴンに殴りかかった。

 ドラゴンもやられまいと口を開けて噛み付こうと迫り来る。

 それをアルトは殴りつけることでドラゴンを後退させることに成功した。

 仰け反り一歩二歩と下がるドラゴンは頭をブンブンと振るうと目標を再度アルトに定めた。


「喰らえトカゲ野郎!」


 アルトは左手で右腕を掴んで真っ直ぐにドラゴンの方へと向けた。


「ロケットパンチⅡ!!」


 そう言うとアルトの右腕は肘辺りから外れドラゴンの顔目掛けて文字通りロケットのような速さで飛んでいった。

 ドラゴンはそれを飲み込んでやろうと口を開けて噛み付こうとするが寸でで加速して頭を貫いた。

 ドラゴンは戸惑った様子でぐらりと仰け反り倒れた。


「次はどいつだ、来るなら来い!」


 飛んで戻って来た腕を元に戻して吠えるアルト。

 と、そこへケインがパチパチと拍手をしながら空から降りてきた。

 フィエロに蹴られて吹き飛んだ割にはどこにも怪我はなく土埃も無い。


「いや、お見事お見事、その歳でドラゴンを倒せるなら問題は無いよ。この世界でそれなりに戦えるね、流石フィエロの弟子だ」

「モウ、イイノカ?」

「ああ、成長は促せれた。これ以上は無理と分かったしね」

「ソウカ、ナラドラゴンタチモモドソウ」


 そうドゥヴァが言うとドラゴンたちが揃ってその場から飛んで山頂の方へと帰って行った。

 アルトはそれを見るとキースのもとへと戻った。

 ケインもそれを見て駆けつける。


「どれ、回復薬を使おう。アルト君は下がってなさい」


 ケインは懐から赤い液体の入った四角い小瓶を取り出すとコルクのような蓋を外して噛まれた肩辺りに振り掛けた。そして薬を広げるように塗り始めた。


「助かるよな?」

「見て分かる通り噛まれただけだ。私たちも命を取ろうとしてたわけじゃない。だから君の腕もそこまでしか成長しなかったのだろうね」

「詳しいみたいな言い方だな」

「そりゃ少なくとも君よりはね。今回こんなことをしたのは君の腕に疑問を感じたからだよ」

「さっき言ってたロックってやつか?」


 塗り終わったのかキースを持ち上げてフィエロの方へと歩くケイン。


「そう、だから強引に君の腕の成長を促したんだ、目に見えて分かる自信より上位の存在と戦うことである程度の枷は外れるからね…フィエロ後は頼むよ」


 ケインがフィエロにキースを預けてドゥヴァの方へと戻っていく。

 既にドゥヴァも先程の鎧姿に戻っていた。


「二度と面を見せないで貰いたいな」

「そうカリカリしないでくれよフィエロ、私たちはいつだって君の見方だよ、それこそいつまでもね?」

「タノシミニシテテクレ、トモヨ」

「ふん…」


 しばらくすると二人の姿は見えなくなった。

 フィエロはそれを確認するとキースを地面に下ろした。


「傷はもう消えているようだな」

「え?」


 そう言われて見ていると確かに服に歯型はついているが肌には何事もなかったかのように元通りになっていた。


「あの人たちって本当に何者なんですか?」

「…元仲間だ…」

「仲間…」


 昔何かあったのだろうか、そもそもケインという転生者は一体いくつなのだろうか。

 見た目はフィエロと変わらず若々しかった。少なくとも30以上はあると思っている。

 彼ももしかすると人ではないのかもしれないとアルトは思った。


「今日はもうこのぐらいで戻るぞ」

「あ、はい」


 そう答えるとアルトはキースを担いで屋敷へと戻った。

 その日は疲れたのか深く眠ることが出来た。


 ―、

 ――、

 ―――。


 声がする。

 しかし声がするという割には耳に入ってくる感覚とは違った。

 強いて言うのなら頭にとか心に直接といった感じだろうか、兎に角そういう感じなのだ。

 

「やぁ明人君、元気にしてたかな?」


 突然目の前にあわられた男に驚いて飛び起きる。

 と、辺りに気がついて戸惑う。

 そこは何もない空間だった。真っ暗で引きずり込まれそうな恐怖がある。

 しかしその場にいる自分の姿は鮮明に見えるし目の前の男も鮮明に見えていた。


 装飾過多の極みを貴族の服にあしらい、金髪の頭にはゴーグルが二つ付きそのゴーグル部分をかぶらないように懐中時計がぐるりと周りについたシルクハットを被った男、間違いなく俺をこの世界に転生させたかみさまだ。

 そんなやつがなぜ今頃になってまた現れたのだろうか。


「何しに来たんだ?」

「何しに来た?そう聞かれると見に来たというのが正解かな?あと助言」


 アルトはなんとなくだがこのまくし立てる言い方が嫌いとまではいかないにしても苦手意識を感じていた。


「助言とは?」

「そのまんまの意味だよ。読んで字の如く助ける言葉さ、簡潔に言おう一度故郷に帰った方が良い、それとあまり不用意に他の転生者に接触しないことだ、彼らが言ったように特異体質者を殺せばそれだけで力が付く、私は君に死んで欲しくないのさ、それを踏まえた上で行動して欲しい。ではまた機会があれば…」

「ちょっ、まっ!」


 こちらの返事も待たずしてかみさまは深々とお辞儀して消えるのだった。

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