ちいさな冒険者 5
キースと冒険者組合の机であれやこれやと依頼について話していると見ず知らずの冒険者に話しかけられた。
その冒険者は五人組の女性からなるもので上は三十ぐらいで下は十五ぐらいの見た目だった。
一つ言えるのは五人とも違った方向で美人だということだ。
「坊や達暇かい?」
「え?」
「誰、おばさん?」
「おばっ…」
それを聞いたとたんフリーズする女性冒険者。
すると隣にいた別の盗賊風の冒険者が出てきた。
「あぁー、ダメっすよ坊や、最近のリーダーはそういうワードに弱いっすから。リーダー大丈夫ですて、十分美人っすよ!ただ子供は素直ってだけじゃないっすか!」
お前が十分酷いよ。心の中でそう呟くアルト。
てか何しに来たんだこいつら。人拐いの類じゃないだろうな。
と、立ち直ったのかリーダーと呼ばれていた女性冒険者が再び話しかけてきた。
「坊や達、これから私らと一緒に依頼を受けてみないかい?実は…」
「実はっすね、坊や達が冒険者組合に入ってきたあたりから見てたんすよ」
「エリナ、人のセリフをとるんじゃない!」
エリナと呼ばれた盗賊風の女性はてへと下を出して笑う。
「と、すまないね。そういう訳なんだ、初依頼でどれにするか迷ってたんだろ?最初だ、ただの採取依頼じゃ冒険者になる意味が無い。かといって討伐依頼は二人じゃ荷が重い。なら私らが手を貸してやるさ」
「なるほど…」
「お、気分が乗ったかい?」
そう言うと五人はこちらの隣に座ってくる。
まだ受けるとは言ってないんだけどなぁ…。まぁ聞くだけでもいいか、こういうのはやっぱ人脈も必要だしな。
「とりあえず話を聞かせて欲しいです」
因みにキースはというと先程から他にいる美人のお姉さん方にちょっかいをかけられて顔を赤くしている。
やはりまだまだ子供なのだ。けしからん、なんて羨ましいんだ!
「んじゃ軽く自己紹介でもしようかね。私はオーレリア・ガリール、職業は銃士だ」
オーレリア・ガリール。見た目年齢三十ほどの女性だ。
この中では一番の年上であろう。黒瞳に肩まであるウェーブのかかった赤髪、そして少し男勝りな感じという印象だ。ガンナーというだけあって腰には二丁の拳銃がある。
「私はエリナ・フォーゲルバイツっす。職業は盗賊っすね」
エリナ・スーシャイン。見た目年齢十五ほどの女性だ。
身軽そうな感じが更に盗賊っぽく、黄色い瞳にショートの黒髪と猫のようだ。
ノリも軽くフレンドリーである。腰周りにナイフがいくつかある。
「俺はクリスティーヌ・スーシャインだ、剣士をしている」
クリスティーヌ・スーシャイン。見た目年齢二十ほどの女性だ。
キリッとした麗人といった風貌で女性受けも良さそうだ。紫の瞳に長い金髪を後ろでまとめている。
腰にはロングソードがあった。
剣士というよりは騎士のような雰囲気を出している。かっこよくて美人で騎士…くっころ…。
「私はカレン・ウィステリア。同じく剣士です」
カレン・ウィステリア。見た目年齢十八ほどの女性だ。
こちらはどちらかというと無愛想な感じである。
黒瞳に黒髪ポニーテールで、クリスと違い腰には曲刀があった。
「はいはーい!私はキャッサ・アルバトロスだよー!聖職者やってまーす!」
キャッサ・アルバトロス。見た目年齢十五ほどの女性だ。
ザ・元気一杯といった感じで常にキラキラしている。
空色の瞳に茶髪のショートで手には杖、腰にはメイスがあった。
と、簡単な説明である。一度咳をして喉を整えてからこちらもしっかりと自己紹介する。
「俺はアルト・リバイク。知っての通り冒険者に成り立てて職業は…戦士です」
そういえば自分は職業はなんだろうと思って考えてみるがさしてなかったので無難な戦士、ファイターにする。
「え、えっと俺はキース・キンブリーです!職業はこいつと同じ戦士です!」
未だに緊張しているのか少し顔が赤かった。
誠にうぶである。
「それで受ける依頼というのは?」
「これさ!」
バン!と机の上に出された依頼書にはこう書いてあった。
依頼名、洞窟に潜むネクロマンサーを討伐せよ。難易度B+、首都北西にある洞窟に凶悪と名高いネクロマンサー、トーラス・ケンブリオンが住み着いている。これを討伐せよ。報酬は金貨一枚と銀貨五枚。
という内容だった。
「無理です死んでしまいます」
即答で断った。キースなど首を高速で振って拒絶している。
そもそも難易度の時点でおかしい。こいつら本当に俺たちが今日登録したのを見ていたのだろうか。
「守るよ私ら?」
「ムーリー」
「んじゃこっちは?」
と、出されたのは難易度Cの討伐クエストだった。
首都近隣の森で増殖したモンスター、ジャイアントビーを討伐せよ。報酬は銀貨五枚というものだった。数は二十だがこれくらいならいけそうである。
「俺はいいと思うけどキースはどうする?」
「うーん、いいかな?」
「なら決まりだね、私らはちょっと準備があるから二人は先に門の所に行ってていいよ」
「わかった。じゃあ先に行って待ってます」
そう言ってアルトとキースは冒険者組合を出て行った。
オーレリア達が舌なめずりをしていたとも知らないで。




