学食での包囲網と、鳴り響くSOS
お昼休み。真鈴(中身)が学食でラーメンをすすっていると、俺の所属するサークルの女子メンバーたちが席にやってきた。「あれ、今日なんか雰囲気違くてカッコいいね! 髪型変えた?」「あ、あのさ、今度のサークルの新歓ポスター、作ってくれたりしない……?」いつもならパッとしない俺が、なぜか女子に囲まれている。真鈴は内心で(男の子って、ちょっと姿勢を良くして清潔感出すだけでこんなに変わるのね……単純)と呆れつつも、適当に話を合わせていた。その時、ポケットの中で、俺のスマホ(真鈴の本来のスマホ)が激しく振動した。液晶を見ると、HAL名古屋にいる俺(中身は男)からの緊急通信だった。『世古! 助けてくれ! 3Dデータのインポートでエラーが出て、プレゼンまであと45分しかない! メンバー全員が俺の顔を見てる、もう限界だ……!』イヤホンから聞こえる、真鈴自身の焦りきった声。真鈴はラーメンを食べる手を止め、一瞬で「プロの顔」に戻った。周りの女子たちを鋭い一瞥で牽制し、低い声で素早く指示を出す。「……落ち着きなさい。今から私の言う通りにツールを動かして。デスクトップにある『backup_0829』のフォルダを開いて」大学の学食の片隅で、男の身体に憑依した天才クリエイターによる、リモートでの絶体絶命のデータ修正作戦が始まろうとしていた。




